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今日はSt. Valentine's Dayです。

或る日のクレールクラング。

クレールクラング芸能事務所の所長、水無月(みなづき)綾乃(アヤノ)に集められたメンバーはクレールクラングに集まっていた。


綾乃は、両手を腰にあてて仁王立ちし、にっこり笑ってメンバーを見渡す。

隣には浦田(うらた)紫苑(しおん)が立っていた。


「さぁ、今年もやってきたわよ。この日が」


綾乃がそう言うと、糸水(しみず)(げん)がえー、というように声を上げる。

「えー、アヤノさん、今年もやるんスか!?」

「わくわく、ですの!」

それと対照的に(つづみ)津々(つつ)は笑顔で待ちきれないっ、といった様子だ。


「えっ、何、何やるの?」

新入りの羽波(はなみ)真琴(まこと)は何をやるのか全く分からず、首を傾げている。

それを見て、音無(おとなし)瑞羽(みずは)が思いついたように綾乃に言った。


「アヤノさん。真琴はまだデビューしてないから……無理なんじゃない?」

「あ、そうね! じゃ、真琴ちゃんはこっちへいらっしゃい」

そう言って綾乃は紫苑のいない方の隣のスペースを指差し、おいでおいでと手招きした。

それを見て、てとてと、と歩いて綾乃の隣へ立つ真琴。まだ、よく分からないなぁと不思議な面持ちをしていた。


それを見て、紫苑が始めの合図を出す。

「……じゃ、始める。所長」


「はいはーい! では……」

勿体ぶって、ごほん、と大きくわざとらしい咳払いをする。

「毎年恒例、ファンからのバレンタインチョコの量対決ー!!」



__そう、今日はバレンタインデーである。
















「では、順位を発表……」

クレールクラングではバレンタインはファンからのチョコの量を対決するという不思議ね恒例行事が行われていた。


紫苑の口から順位が発表される。

「……今年はどうだろ〜?」

「沢山あるかな……?」

いつでも余裕の表情の霧雨(きりさめ)詠斗(えいと)は、人気俳優なだけあって去年は大差を付けてチョコの量が一番であった。

また、甘いものが好きな瑞羽はバレンタインのチョコの量は密かな楽しみなのであった。


紫苑は手帳を取り出し、開いて中を見る。そこには順位が書いてあるのだった。

「では、第五位から……これは同立四位か。……絃と(がく)

絃はそれを聞きを少しがっかりし、樂はまぁまぁだな、といった様子だ。

「やっぱな〜……」


「……でも去年より多い」

紫苑の言葉で喜びの声を樂があげた。

「やったな、絃」

「まぁな、人気出たしなぁ」


「まぁ、二人ともまだまだ精進しなさい」

「「はーい」」

綾乃の言葉で締めくくられ、次の順位発表へと移る。


「第三位……津々」

「やったぁ!! でありまする!!」

着物姿で両手をパン、と合わせ。満面の笑みで嬉しがる津々。ほんわかした和やかな空気が流れた。


「今後も頑張ってね、津々ちゃん」

「はいですの!」

綾乃の言葉にもふふふ、と笑顔で返す津々。最年少でありながらこちらも有名な子役だ。


「では、第二位……。……瑞羽」

「……今年も抜かせなかったか」

少し残念そうな瑞羽だが、がっつりガッツポーズをしている。因みに去年も第二位であった。


「最後に、第一位と最下位……」

「なぁ待てよこれ結果見えてねぇか!?」

今まで黙っていた水谷(みずたに)(きょう)がむっとして声を上げる。

が、紫苑は華麗にスルーして先を続けた。


「第一位、詠斗……最下位は響」

「やったねぇ〜! 響くんお疲れ様」

「うっせー、人気俳優め!」


「今年も詠斗くんの圧勝ねぇ……凄いわ、本当に」

綾乃はあははは、と笑いながらそれぞれに届いたチョコレートを配布していく。





「……勝てる気がしない」

黙って見ていた真琴は、自分も来年はもらうのだろうか、いや、もらえるのだろうか……と心配になったのだった。

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