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プロローグ①

更新は不定期です。

それと、作者は超豆腐メンタルなので出来れば優しくしてくださると嬉しいです。

 満天の星空の下、金色に輝く長髪を地面に広げ、背中の大きく開いた血の様に赤いドレスを身に纏った小柄な少女が、大の字で仰向けに寝転がりながら星空を眺めていた。

 美しい天使のような少女が星を見上げるその姿は、まるで一枚の絵画のような美しい光景だった。

 最も、少女の周りに転がっている無数の死体がその光景を台無しにしているのだが。


「早いものね、いきなりこの世界に飛ばされてもう直ぐ一日経つのね」


 そう言いながら少女は小さな口の端を上げて静かに笑う。

 まるで、この状況が心の底から楽しいかのように。


 少女はそのまま、気持ち良さそうに目を瞑る。

 そして、少女は思い返す。少女がこの世界、エデンへとやって来た今日一日の事を--。




 榊原さかきばら有栖ありすはその日、何時ものようにリハビリを終えると、既に自分の家と化している病院のベットの上で、日課であるVRMMOをプレイしようとしていた。

 ゲームの名前はConquestWarOnline。主人公は最初に勇者と魔王どちらかの勢力を選び、勇者なら魔王、魔王なら勇者の治める領土を侵略しあうというゲームだ。

 このゲームの一番の売りは、魔王軍と勇者軍による数千人、下手したら万を越えるプレイヤーとNPCが同じ戦場で戦い合う、大規模戦闘だ。

 それ以外にも数百を越える種族、百に迫る職業、数えきれない程に豊富なスキル等、自由度の高いキャラメイクも売りの一つだ。

 発売から八年がたったが、人気は衰えず、今でもVRMMOというジャンルの中で最多のプレイ人数を誇っている。

 生まれたときから、殆ど体を動かすことすら出来きず、病院の個室で、終わる事の無いリハビリの日々を送っていた有栖は、九歳の時に初めて会った父親からVRギアとこのゲームを貰い、自由に体を動かせる快感に魅了され、見事にゲームに嵌まっていた。

 有栖は魔王側の勢力でこのゲームを始めており、ゲームの中ではその種族と七大魔王に数えられるその実力、それと容赦なく前線で範囲魔法をぶっ放し、敵を殺していくその様子から『破滅の天使』と呼ばれ、魔王側からは希望の象徴として、勇者側からは絶望の象徴として、語られており、アリスの名前は初心者以外には知らぬ者が居ないほどの知名度を誇っている。


「今日は何処で狩りをしようかしら」


 最も、本人はそんな評判を全く気にしていないのだが。有栖としては自由に動けて強い敵と戦えればそれで良いのである。


「決めた、今日はディアボロスの塔に潜ったら、適当に強そうなプレイヤーを襲って周りましょ」


 さらっと恐ろしいことを言いながら、思い通りに動かない体にイライラしながらも、苦労してヘッドギアを被り、スイッチを入れる。

 すると、視界が黒く染まり、全身を倦怠感が包んでいく。


「変ね」


 そこで有栖はある違和感を覚えた。

 何時もならスイッチを入れて数秒で、自身のプライベートルームに転送されるのだが、今日は何時までたっても、この暗闇が晴れないのだ。

 ゲームの故障かと思い自分の体を見てみると、体はちゃんとゲームのキャラであるアリスのものになっていた。

 メニュー画面もちゃんと出るし、装備品もきちんと装備してある。


「読み込みが遅いだけかしら」


 そう思い、そのままもう暫く待つことにしたが、待てども待てどもいっこうに闇が晴れる気配が無い。

 流石にこれは可笑しいと思ったアリスは、メニュー画面を呼び出し、ログアウトを押す。


「どうなってるのよ」


 しかし、いくら押してもログアウトすることは無い。

 今度はGMコールもしてみるがこれも反応が無い。ダメもとでフレンドリストの友人にメールを送ってみようとするも、これもダメ。

 ゲームの世界に行くことも、現実に戻ることも出来ないと分かったアリスはこの何も無い空間で途方に暮れるしかなかった。


「もしこのままだったらどうしよう」


 普段はどんな時も強気なアリスだが、このときばかりは、このどうしようもない状況に、弱気になりかけていた。

 その時だった。


「あれは……」


 暗闇の中に、突如として光源が現れた。

 初めは小さかった光源がどんどんと大きくなり、やがてそれは門の形へと変貌していく。


「これってもしかして……」


 それを見てアリスの顔が喜色に染まっていく。彼女はゲームの他に二つの趣味があった。その内の一つがアニメを見ることである。特に異世界召喚もののアニメを彼女は良く見ており、自分が異世界に行く、という妄想をすることはゲームやリハビリと同じく彼女の日課になっていた。

 異世界に召喚されるパターンというのは大まかに分けて二つだ。死んで異世界に転生するか、何か不思議な事が起こり、異世界に飛ばされるか、その二つである。

 そしてこれは明らかに常識では考えられない不思議な事だった。


「多分これは異世界に通じるゲートね」 


 そう判断したアリスは駆けるようにその光源に近付いていく。そこに未知のものに対する恐怖は無い。何せ、これで叶う筈がないと諦めていたアリスの夢が叶うかもしれないのだ。恐怖する理由がない。

 そして、アリスが門の前に来たところで、突如、門の中から無数の手が延びてきてアリスの体に掴みかかり、アリスを門の中に引き摺り込もうとする。

 しかし、それでもアリスに恐怖は無い。自分の夢を叶えてくれる使者に恐怖を抱く訳が無かった。


「良いわ、さあ早く私を連れていきなさい」


 アリスはそれに一切の抵抗をせず、笑みを浮かべながら門の中へと消えていった。






 とある場所に厳かな雰囲気を醸し出す祭壇が置かれている大部屋があった。

 その祭壇にはあるものを召喚するための魔方陣が書かれており、祭壇の周りには、魔法が使える高位のスケルトンであるスケルトンウィザードが36体、何やら一心不乱に呪文を唱えていた。


 彼らは、千年前にあった魔王と勇者の戦争にて、敗者である魔王軍側で戦った者たちの成れの果てだ。

 千年前、勇者軍と魔王軍の戦争で優勢だったのは魔王軍の方だった。しかし、戦争も終盤に差し掛かったあの日、、突如として魔王と勇者が双方ともに消えてしまい、戦局は逆転する。

 圧倒的な数を誇る善の種族達と勇者達が残していった子供により、絶対強者である魔王達が居なくなった魔王軍は殲滅されてしまったのだ。


 あの戦争から千年。既に元の肉体は死に絶え、自分の体をスケルトンに変えながらも彼らは生きた。全ては勇者達に復讐するため。魔王軍を復活させ、この世界を手に入れるため。

 そして、時は来た。この千年の間で、強い敵と戦う必要の無くなった勇者達の子孫は弱体化し、敵の戦力は大幅に下落した。


 今が正に好機。今こそ、古の魔王を復活させ、今度こそ魔王軍が世界を手に入れるのだ。


「おお」

「見ろ、祭壇が……」


 呪文を唱え始めて数分が経った頃、これまで何の変化も無かった祭壇に変化が起きた。

 祭壇の中心部に輝かしい光源が現れ、それが人の形に変わっていく。

 やがて、ゆっくりと光が収まり祭壇の中心部に一人の人物が現れた。


 両脇で二つに括った黄金色の美しい髪、人ではあり得ないくらい白い肌、そして深紅のゴシックドレスに身を包んだ小柄な体。

 それは間違いなく彼らが知る、古の魔王の一人だった。


「間違いない、あの方は七大魔王の内の一人」

「『破滅の天使』アリス様だ!」

「バエル様の言った通り魔王様を召喚出来たぞ!」

「やった! この戦い我等の勝利だ!」


 魔王軍の中でも最強の七人の内の一人、数々の勇者を倒してきた魔王を呼び出し、スケルトン達は歓喜の声を上げる。

 その声に驚いたアリスが、目を開く。そして--


「モンスター!? なんでいきなりモンスターの前に召喚されるのよ! 消し飛べ、インフェルノストーム!」


 --アリスを中心に巨大な炎の竜巻が起こり、スケルトン達は抵抗することもできず焼き払われた。


 炎が収まる頃には、石造りの部屋もスケルトンも塵一つ残さず全て消え去り、半径数十メートルが焼けた大地の上にポツンと一人、アリスだけがその場に残された。

それぞれの軍について


プレイヤーの強さ:魔王>>>>>勇者

プレイヤーの数:魔王<<勇者

NPCの強さ:魔王軍<<勇者軍

NPCの数:魔王軍<<<勇者軍


勇者軍の特徴

養子システムがあり、自分の好きなように子を育てることができる

回復魔法が豊富

NPC(養子含む)の数が多い

イベントが多い


魔法軍の特徴

選べる種族が豊富

単純にキャラの性能が強い

攻撃魔法が豊富

ダンジョンが多い



作中で説明することも無さそうな事はあとがきに書きました。

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