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プロローグ2

畳、障子、それから卓袱台。


力の使いすぎでか気を失った太一が目覚めた場所は4畳半の和室だった。





「ここ…どこだ?」


呟いた後、太一は勢いで世界から自分を切り離したはいいが


その後、どうなるのか、どこへ行くのかについては全く考えていなかった事に気づいた。


「真っ先に出てくんのは、死後の世界ってパターンだけど…

 まあ意識があるんだから、生きてるも死んでるも大して変わらんだろ。

 ここがこれまでいた場所じゃないって事は確かだし、とりあえず探索でもしますかー」


楽観的な考えに聞こえるが、それが太一という人間である。


目覚めた所が知らない場所であっても取り乱さなかった理由が


これまでの彼にとっては快適に過ごせる場所の方が珍しかったからだとというのは


余りにも皮肉な話であるが。





こうして即座に落ち着きを取り戻した太一は、四畳半のその部屋をあさり始めた。






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「すげぇ・・・」


探索を始めて30分程が経過した頃、彼は呟いた。





この間に、太一が部屋の中で見つけた家具以外のものは3つ。


まず、目覚めてすぐに目に入った模型。


海、山、森、そして街にようなもので構成されたそれを言葉にするならば、


世界をかたどった精巧なパノラマ模型だろうか。


それが少なくとも地球の模型ではなく、


比較にならないほど自然豊かなものであったことから


太一は、これはゲームのマップか何かなのだろうと判断したようだった。





2つ目が次に押入れいっぱいに積み重ねられていた武具。


思春期真っ只中(若干の中2病あり)の太一から見て様々な装飾を施され、


鈍い光沢を放っているそれらは見つけた瞬間に奇声をあげ


思わず手にとってポーズを取りたくなるようなものだったのだが、


どうやら持ち上げる事ができなかったようで、


これでもかという程挑戦した後涙目になっていた。




そして3つ目が太一に詠嘆を零させた理由である。


それは悲しみから復帰した彼が開けた箪笥の引き出しにあった。


赤、青、黄、緑、そして白。


色鮮やかに点滅を繰り返すそれは、美しくも温かな光を放つ不思議な球体であった。


先の落胆を忘れるほどに感動した太一が発せたのはお粗末な一言であったが、


一概に彼のコミュニケーション能力が低いというわけではないだろう。



余りの美しさに呆けていた太一は、背後から近づくものに一切気づいていなかった。



「それが綺麗なのには、僕も同意するけどさ。

 人ん家の物を勝手に漁って文句を言われないのは

 ドラ○エの主人公ぐらいなんだぜ?」

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