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なんか変なことになった@  作者: 良正 儚
.
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第二章 とある世界の決定事項 ぱあと2

これで第二章は終わり。

更新全然できなかったけど久しぶりにやれてよかったです。

     ☆12月26日金曜日 PM10:05

 我が家にはこんな母親がいる。

「12月30日までに冬休みの課題を全て終わらせなさい」

「無理だよ!」

 冬休みが半分しかないし! 全く時間が足りないよ!

「終わらなかったら今年の旅行には行かせないわ」

「なんで!?」

「なぜならあなたは成績がとっても悪いから」

「それ理由になってないよー、母さん?」

 できることと、できないことが、あるんですが。そして、今回は確実に後者だ。

 しかし成績のことに対してはあまり反論できない。

「だから2回まわりやりなさい」

「無理です!」

 もし残りの日付でなんとか1回目やり終えても、残り6日間で2回目やるのは、はっきり言って不可能だ。

「あら、2回目は1度見た問題だからできるわよね」

「量がハンパないんだよ!」

 丸日丘の宿題量は、はっきり言って多過ぎる。答えを写したとしたら多分ギリギリ間見合うと思うが。

「あと答えはちゃんと渡しなさいよ。何の宿題があるかはちゃんと学年通信の播種で確認するから」

「殺す気だ!この人僕を殺す気マンマンだ!」

 このままでは衰弱死してしまう!

「じゃあ、がんばってね」

「たすけてぇえええええええええ!」

 母親が悪魔に魂を売ったかもしれない……。

     ☆12月27日土曜日 AM10:03

 とりあえず、翌日の土曜日、ギリギリの日程をさらに削って遊びに出かけることにした。

 本屋である。

 ストレス死してしまう。

 禁断症状を起こし暴れる前に読書分を補給しないと。

 ちなみに母さんに学校や図書館で借りた本は全て取り上げられています。

 歩く最中に昨夜の操女との初対面を思い出す。

 実は初対面ではないけど。

 小学校は同じなのでもちろん擦れ違ったり、一緒にグループ作って活動したこともあるはずだ。多分、その間1度も意識したり話し合ったこともないと思うけど。

 小学校3年生にして既に美少女、昨今の日本に大人しい女子はまずいないと絶望していた男子達の唯一の希望といった立ち位置――いや、もちろん男子とはいえ小学生の時点でそんなこと思っているヤツはいないだろうけど、無意識の内には分かっていたんだと思う、成績優秀、スポーツは多分手を抜いていたのだろうけど、ニブかったが、それも男心をくすぐりまくり、性格も悪くない、なんて女の子、まずいないということに。

 というか小学2年生から6年生まで告白されまくっていた。

 同じく美少女であった楽の助けで、ストーカーとかはなんとかしたらしい。

 本題がズレた。軌道修正しとこう。

 まあ、そんな操女に対して、我が母校、三毛田(みけだ)小学校の癌細胞とまで呼ばれることになった僕との接点が生じる訳がない。

 女子には避けられやすい性格だが、別段女嫌いではなかったから可愛いなぁくらいは遠目に見て思ったかもしれない。

 もうその時のことはよく覚えていないが。

 名誉のために告白して玉砕なんてことはないとは言っておこう。

 というか、僕はその時既に本の奴隷だった。なので、知人(ごく一部)≧本>>>>越えられない壁>知人>>知らない人。

 読んでたのはまだ漫画だけだったけど。

 ちなみに、小説を読み出したのは小4だ。

 うーん。どうも話題というか頭の中の思考路線がハッキリしないなぁ。軌道修正しないとすぐまた他のことを考えている。

 とりあえず、まとめると僕は操女と本当の意味での交流をしたのは名古屋での迷子の時である。

 まさか、髪は銀色、瞳は真紅に変化して、ブッ殺されることになるとは思わなかったが。

     ☆残洋堂書店内 AM 11:25

 そして普通に滞りなく本屋に到着した。

 残洋堂書店。残洋って何だろう? 残陽の間違いじゃないのか。

 1階は自動販売機くらいしか無く、2階は普通に本屋、3階は百均ショップである。

 ジュース買う金も小物買う金も全くないので普通に二階へGO。

 一応、模試で2位とったので賞品として1000円だけあるが。

 誤解を招かないために書くが、元々2位を取ったら5000円もらえるのだが、大失態を直後に犯したので4000円減っただけである。

 あっ、そうそう。読者の中にはそんなに金がないのに本買うの? とか思ってそうな人がいるかもしれないから書くけど、立ち読みするために来たので関係ない。僕は古本屋で本を買うし。あと、じゃあこの本屋では漫画を立ち読みできるとか早合点しないで欲しい。というか多分もう絶滅したでしょ、そんな本屋。

 小説やライトノベル、あと雑誌を読むためである。

 友達にキ○ガイと言われる所以である。

 というか何故僕はこんな頭の中で説明しているのだろう?誰だ、読者って。

 別に誰も僕の頭の中を見ている訳じゃないのに。

 まっ、いいか。

     ☆残洋堂書店内 AM 11:42

「…………クッ」

 必死で笑いをこらえる僕。少し漏れたが。

 僕のハマる本は基本的にギャグである。あっ、拷問用のギャグではなく。何の釈明だ。

「…………ふぅ」

 やっと小説のギャグパートが終了し、シリアスパートなので一旦落ち着くことにする。

 数秒後、読書を再開する。

 本屋に置かれている椅子に座ってだ。

 段々と小説の世界に潜り込み、周りが見えなくなりだす。

 そして完全に見えなくなった午後2時頃のこと。

「ラル…」

 誰かに呼びかけられている。無視。現在本>人。

「ねぇ、ラルってば…」

 ゆすられる。でも無視。マジで読書の邪魔しないで欲しい。

「うーん、どうしよう……?」

 何かが横にいるということには気付いたが見えない。どうでもいい。

 というか今の僕なら三次元の人に興味はないとか平然と思う。

「しょうがないよね…。読み終わるまでラルをBL妄想……で」

「うおおう!?」

 大声を出してしまった。周りがビクッとする。

「すみません、すみません」と軽く謝り、危険なセリフを言った張本人を見る。ハハハと笑ってやがる。……ん?

「誰?」

 操女じゃなかった。

     ☆残洋堂書店内 AM 11:44

「いやいや、すまないね。本当は1巻で登場する気はなかったんだけど。ちょっと待ち切れなくてね」 目の前にいる僕と同じくらいの背の女の子が告げる。

「…………」

 灰色の髪に青い瞳、でも顔は明らかに日本人。しかも美人。

「ボクのことはアクマとでも呼んでくれ。ついでに人の真似が趣味だ」

「はぁ……」だから、さっき操女みたいな呼び方をしたのだろう。

 また変人か……。さっきも1巻とか言ってたけど普通は話しかけたくなったんだよというところである。この世界は現実なのに。

「あまり時間を取らせたりしない。月無さんが可哀想だしね」

「えっと……、操女の知り合いなのか?」

「いや、違うよ」

 否定された。

「ボクが一方的に知っているだけ……。まあ、月無さんも全くボクのことを知らない訳ではないはずだがね……」

 何だか、よく分からない言い方だ。

「まあ、あまり気にしなくていいよ。そうそう、渡しておきたい物があるんだ。後で絶対君に必要になるものだ」

「……えっと、いらない」なんか逆に嫌なことが起きそうだから。

「残念。もう渡しておいた。ボクは儚に怒られないうちに帰るよ。じゃあね。」

「えっ?」今の話の間にどうやってだ? さっきゆすられた時だろうか。

 と思った時にはもう既にアクマは去っていた。

     ☆残洋堂書店内 AM 11:48

 さっさと読書を再開することにした。

 ちなみに、ポケットの中を探ったり、椅子の裏を見たが、財布以外何も無い。財布の中も見たが何も増えてないし、減ってもいなかった。僕は今日、服と財布しか持っていない。財布だって学校へ登校するのに必要な多治見、高蔵寺間までの定期券と多治見市図書館利用者カード、1枚のテレフォンカードと、1028円しか入ってない。

 結局、何がしたかったのだろうか。ていうか何者だったんだろう?

 自分の栞を挟んでおいた場所からパッと開き、本の世界に潜り込み出す。

 数分後、

「ラル……」

「ん?」

 まだ潜り始めて5分後なので普通に返答。

 また、さっきのアクマとかいう子の演技かもと身構えていたら、普通に月無操女本人だった。チェックのセーターにマフラー。腰にポーチがある。似合っている。

「良かった……。すぐ気が付いてくれて…」

 嬉しそうに顔を綻ばす。うん。三次元の女も捨てたもんじゃありませんね。

「3回目を潰すくらいの覚悟はあったけど…」

 前言撤回。二次元の方がいいと思います。3回もしなくていいよ。1回で十分、というかやるな。

「……あんまり驚いてないね……?」

「うーん? 予行演習があったからかな」不要にも程があるが。

「……? まあ、いいですけど…」

 うーん、やっぱり丁寧語になる法則が全然掴めない。機会があったら、そのうち本人に聞くか。

「この前の話の続き…、場所を変えて話しませんか……?」

「…………」本心はマジで嫌なんだけど。本読む時間が減るし。

「仕方ない。我慢しよう」ウェーン。栞をポケットに入れる。

「とか言ってるのに、栞を回収してから体が全く動いてないんだけど……」

 違うんだ!コレはきっと、そう! 金縛りなんだよ! やだなー、最近の金縛りは突発的でアグレッシブだなー、アハハハハハー。

 結局、操女はなおも体だけはその場に留まろうと必死に抵抗する僕の体を店の外まで引き摺ってくれました。

 ありがとう、操女さん! あれ? 目からNaClが……

     ☆残洋堂書店周辺 AM 12:01

 流石に店の外まで出れば本の呪縛も解けて、後ろ髪引かれる思いをしながら、操女が話す場所に指定した多治見市福祉センターへ向って歩いた。

 正確にはその建物の二階にある中高生スペース。

 パソコン、エアコン、少量の漫画、雑誌、何種類もの楽器、CDコンポ、卓球台、ピンポン、ラケットまで完備しているという家庭の厳しい僕にとって、漫画がそんなに無いことを除けば天国のような場所である。

 確かに土曜日でこの時間帯なら誰も利用者はいないので、話すには打って付けの場所だ。

「でも管理者というか、担当者がいるんじゃないか?」

 いつもカウンターに1人座っているはずだ。

「大丈夫…。下調べで今日の担当者は風邪を引いて休んでて、代わりの人が開けたけど、すぐ元の仕事場に戻って行ったから誰もいないの…」

「ならいいけどさ……」

 そうこうしているうちに辿り着く。

     ☆三年前 名古屋

 その目が見る間に真紅に染まり――

 避ける間もなく僕はその女の子の腹を貫かれ、すぐ引き抜かれる。

 痛みはない。即死だ。

 僕のお腹から噴水のように血がドバッと吹き出る。

 この女の子の瞳が黒色に戻るのを見ながら、僕の体は後ろに倒れる。

「えっ……? あっ……、まっ…………またやっちゃったの……? あっ…………、うっ……うっ……うう……うううう……」

「泣くなよ」僕は思ったことをそのまま言う。まぁ、泣かれるとうるさいからだったと思うけど。

「う……、え…………?」目を見開いた。当たり前だよな。

 僕は思い体を持ち上げる。胸に風穴は開いたまま。

 5秒後、回復が始まる。

「なんで生き……てるの……?」

「…………」

 正直言って自分でも分からない。

 何でかな? ……というか腹の痛みが段々と酷くなっていくので答えられない。

「どっ……、どうなってるの…………? どんどん穴が、……塞がっていく……」

 全く分からない。うっ、無理に答えたから腹に響くなあ。

「…………」

「…………」

 沈黙。

「あのさ」僕は口を開く。もう穴は塞がったけど、痛みがきついので紛らわしたい。

「えっと……何かな……? に……しめぐり君……?」

「月無、操女ちゃんかな……?」

「えっ……? どうして……私が分かるの……?」やっぱりか。

 と言うかなんで操女が僕の名前を知っているのか問い詰めたい。

「新聞で、行方不明の子だよね?僕の学校の子で髪が銀色なところ以外は、僕が前に見た通りの外見だから、そう思ったんだけど」

 あまり新聞は見ない方だが、父がわざわざ僕に見せてきた。

「私……なんか、どうして見てるの……? クラスも違うし……。あんまり……人に興味ないって感じなのに……?」

「別に興味がない訳じゃないよ。人よりも本が多少好きなだけ。まあ、操女ちゃんを見てたのは、ま あ、……普通に可愛くて目だったし……。あれ? どうかした?」

 操女|(?)は、いつの間にか顔を伏せていた。耳が赤い。

 自分の言ったことが他人に対しどんな影響を与えるか全く考えない性格だった(今も)ので、普通に言った。……もしかして恥ずかしかったのかな? と思うが、あれだけ容姿が十分ならもう可愛いなんて聞き慣れていると思ったが……。

「あのね……」

 いきなり操女ちゃんが口を開く。顔は伏せたまま。

「……んと、何かな?」

 そういや、僕、迷子だけど、今ここで母さんに来られたらどうなるかなと思い、直後に即刻死刑は確実だとか考え始めていた時にいきなり声をかけられて戸惑った。

「私は……、ね…………、なぜか……、ね、おとーさん、や……おかー……さんもね……ころ…………したくなんて……なかった、のにね…………。からだが……かってにみんな……みんなころ……そうとするの…………」

「…………」

 日差しがキツくなってきたのかトンネルの闇がとても強くなる。

 父の見せた新聞記事は失踪事件についての記事じゃない。

 月無家で起きた一家惨殺事件についての記事だ。

 そして、操女1人だけが行方不明となっているはずだ。

「……わたし……かわいくなんか……ないよ……。……わたし……は、わたしは……、ばけものなんだ……。いえに……いたひと……をころ……ころしたあと……ずっと……ずっとはしった……にげてたの……。わ……たしを……みかけた……ひとも……めに……はいった……ひとも……みんなころし……た…………。そのひ……とた……ちはわたし……をみて……ば……けものっ、て! きゃう!?」

 伏せていた顔を無理に上げて口に左手を当てる。これ以上喋れないように。

 聞いてられなかったから。

 そして左手を操女の口からはなして、右手を操女の頭にのせて、撫でる。

 撫でておく。とりあえず。

「うっ……? えっと……? 何……?」涙が流れている。

「小説の真似だよ」

「…………」

 涙は止まった。

 結局、彼女が帰ると言うまで撫で続け、彼女はされるがままで、何も抵抗しなかった……。

 シュン、と音がして、操女が消えた直後に、母親がやってきてど叱られた。

というか人生初の拷問体験。石を正座しながら抱かされた。

 惨ぇオチ……。

     ☆太平公園 児童福祉センター 2階 AM 12:14

 ここは中高生スペース。

 テーブルを挟んで向かい合って僕と操女は座る。

「んで? 話の続きって?」

 さっさと本題を話し出す。

「ん…、えっと…、私は……ラルに……」

「何だ?」


「男の人とピ――――してもらいたくて……」


「そっちの話かよ!」

 それはもうとっくの昔に終わった話題のはずだ!

「私の中では終わってないです!」

「お願いだから終わらせてください!」

 お前は、……お前だけが唯一僕の話というか人の話をまともに聞く人だったのに……。

「……うっ、残念です……」

「とりあえず、本題は何だよ」

 さっさと話を終わらせて本を読もう。

「さっきのは副題じゃないのに……」

 恐ろしいことを呟くなよ。涙が出る。

「この……、世界をどのようにラルは思いますか…?」

「…………」

 いきなりシリアスになるな。せめて何かフラグ立てろよ。視線を一回床に落とすとか。

「……まあ、それなりに辛いこともあれば、ちゃんと幸せがある僕の世界はそれなりにいい世界だと思うけど……」一応個人としての世界で。

「……なら大丈夫です……。良かった……」

 安堵した表情をする操女。

「?」訳が分からない。

 話変えますね…、と前置きしながら操女が話し出す。

「この日本には約6000人程の能力者がいます…」

「そりゃ、多いな……」

 とっくの昔に日本のニュースで放送されていてもおかしくない。

「日本中で多くの殺し合いが行われているってことなの…」

「…………」

「能力者は日本に人間が生まれた時から存在していたけど…、千人を超えたのはほんの三年と半年前のことです……」

「ん?」

 何か引っかかるなあ。3年と半年前? 何かあった気がする……。偶然か思い違いだろうか。

「ロキは何故かこの時代に能力者が一番増えるようにしたみたいで、今じゃ能力者で他の能力者を殺したことがない人は、ほとんどいないの……。一億はやっぱり……多いし、人を、…増長させて狂わせ る……」

 治安はあんまり良くなかったな、日本。

「能力の内容は本当に様々で…、火を生み出すから、時間に干渉したり、呪いをかけたりとか……」

「うん。まあ大体分かるよ」

 本格的に僕の人生がライトノベルっぽくなってきた。

 つまりは異能力が主題。

 たくさん本を読んどいて良かった。役に立つじゃん。ちゃんと。

「それでね…、能力の内容は大体闇元素が何の元素かによって決まってくるの…」

「へぇ、どんな風に?」

「単一金属原子だったら、肉体系とか物質系で……」

「ちょっと待って。長くなりそうなんで、表にまとめられない?」

 なんか複雑そうだったのでストップをかけた。

「分かった…」

 と操女は言って腰にあるポーチから紙とペンを取り出す。

 そしてテーブルの上に置いてサラサラと書いていく。

 2分後、

「できた……」

 パッと見せてくる。闇元素に対する能力の系統を示した表だ。

 内容はこんな感じ。

 単物質金属系(金・イリジウムなど)は自然物質系能力(火を出す・土を操るなど)

 または、身体能力増強系(筋力強化、回復力上昇など) 結構いるらしい。

 単物質非金属系(硫黄・水素など)は心を操るタイプ(相手を操る・感情操作など)か精神操作系(記憶を奪う・錯乱させるなど) ほとんどいないらしい。

 化合物複数金属・合金系(ジェラルミンなど)は概念系(存在しか知られていないが、食という概念で人を食べるなど)と特殊系(文字を操ったり、超能力が使えるなど)とか。

 化合物イオン結合系(塩・酸化鉄など)は呪詛系(相手を三日後に殺すなど)

 または、運命操作系(自分の運を良くし、周りを悪くするなど) よくいるらしい。

 化合物分子結合系(アルコール・二酸化炭素など)は肉体変化系(変身、腕が増えるなど)

 または、人工質系(縄や剣を作り出せるなど) 結構いるらしい

 混合物系(空気・海水など)は多重能力者となり、何でもあり。(ただし、闇元素が安定しないので、そのうち使えなくなる)

 といった感じ。

「ちなみに操女の闇元素って何? というかどういう能力?」

「……鋼です……。それ以上は……言いたくないかな……」

「へぇ、格好いいじゃん。まあ、どういう能力かはそのうち分かるか」

「…………」

 なんか微妙な顔をしている。まっいいや。

「とりあえず僕の闇元素は何だ? アルミニウムとかの単一金属か?」

「いえ普通どんなに回復力が高くても、四肢全部バラバラにされた後にひとりでに集まって復活は無理です…」

「……じゃあ、青銅とか」

 特殊系とか、概念系なら死なないという概念で……。

「特殊系にしてもその回復力は度が過ぎているし、概念系だと体が小さくなるっていうのはありえないかな……」

「じゃ、何なのよさ?」

 質問の仕方がピノコになってしまった。

 

「正直に言うと……、分かりません……」

 

「帰ろうか」椅子から立ち上がる。

 進展無さそうだし。

「ああ……! 待って……くれ……ないかな?」目が潤んでる。

「ごめん。操女。一言言うよ」僕は操女の両肩を持つ。

「……ん? 何……?」


「本を読みたいんだ。」


「…………」操女沈黙。

 フッ、決まった。

 さて本屋へ向かおう。

 

「この、大馬鹿野郎がああああ!」

 

 いつの間にか現れた楽に思い切り顔面を跳び蹴り、通称ライダーキックされた。お前は涼宮○ルヒか。

「カナちゃん……!?」

 そのまま楽の足の裏―もちろん靴―を自分の頬で受け止めながら僕の後頭部はリノリウムの床に叩き付けられ、頭蓋骨は砕け散り、脳ミソは骨と一緒に高速でシェイクされた。

 5秒後、楽の声が聞こえだす。

「ちゃお! 長らくお待たせしました。読者様、みんなのアイドル、桜木楽だよ! スポンサーは零社提供。製作監督者は良正儚ですよ! いやー、出番なかなかやってこないんで読者の方々に忘れられてるかもと現在ビクビクしております。反応見ることができないのがとても辛いですねー。あっ、そうそう私は偽第一章に登場する人ではありません!そこんとこヨロシク! さてさて、この本>ヒロインの馬鹿主人公をコンクリ詰めにしといた方がいいのかな! 次巻から私が主役? みたいな! 逆に売れそうだよね!」

「おいおいおおい! 何言ってんの?!」~はどこ行った!

 ここは現実だよね! そのはずだよね!?

(潔く認めろよ……。な?)

「なぁ、操女か楽、今喋ったよな!?」

「いや、言ってないよ……」

 クソ、今のは幻聴だ! この世界の創造主の声では決してないはず!

「っていうか~」

 楽が僕を見つめてくる。

 うっ。目をそらして後ろを見る。

 目の前に楽が現れる。

「瞬間移動か!?」

 さっきまで一メートル位離れて僕の前に立ってたよね?

 ガシッ。

 僕の頭が楽の両手で固定される。

「ヒィィィィ!」

 怖いよ、楽さん!

「やっていいことと悪いことがあると思おうよ~」

 そんな! ニッコリ笑ってとても可愛いらしい顔のままドス黒いオーラを出さないで!

「ご、ごめんなさい!」

 パッ、両手を頭から離される。

 グテッ、力が抜けてその場で僕は倒れる。

「別に~、ドSって訳じゃないかたこれ以上やんないよ~。アヤに謝りなさいね~」

「ごめんなさい」

 土下座しました。そりゃ全力で。

     ☆太平公園 児童福祉センター 2階 中高生スペース AM 12:22

「まあ、カナちゃん、そんな怒らなくても…。昔からあんな感じだったじゃない……」

「ん~。まあ、ガラじゃないけど~。たまには反省させるべきかな~って」

 うん。まあ、自分でも他の人よりも自分のことを最優先するのはいい加減直すべきだとは思ってたし。

 まあ、家族に拷問されてもまだ直せないからまず無理だと思う。

 つか、……拷問している時点でもう家族と言えるのだろうか……。

 まあ、どっちでもいいか。実際、全部自業自得だし。

 あんまり深くは傷つかないようにしないと。

 どうかこの状況を誰かに壊れているなんて言われないように願うのみだろう。言……われてもまたあきらめるだけかもしれないが。

「んで、アヤ~。ヒガミンの闇元素どうやって調べるの~? それ分かるだけでも結構違うよ~」

「そうだね…。手っ取り早く、あの方法を……」

「ああ、あれか~。まあ、それは仕方ないね、機械じゃ絶対分かんないんだし~」

 …………。

「いや、ちょっと待ってくんない?」

「…………?」

「あのさ、なんで楽が能力とか分かるの?」

「あ……」操女は今気付いたような顔をしている。忘れてたのか?

「あ~、なるほどねぇ~。説明してないのかな~? まあ、つまりは私も『極楽天使』の能力の所有者だってことさ~」

「えっ、そうなの?」

 つまり、あの奇天烈な二つの名も全部ロキが考えてそれを広めたのか。

「ちなみにレンも能力者です…。詳しくは本人に聞いて……」

「マジか!?」

 レンが!? あの楽のことになるともう見てて殺意しか覚えられなくなるようなあのバカが!?

「何で黙ってたんだ!」

「…………」操女は黙り込み、

「いや~メンド臭かったから~」

「え!? そんな理由で僕は幼馴染達から大事なことを隠されてたのかよ!」

 ショック!

「あんま気にすんなって~」

「隠していた本人が言うなよ!」

 と、そこへ操女が口を開く。

「えっと……、今回はあんまりカナちゃんを責めないであげて…。隠すようにお願いしたのは……私だから……」

「そうなのか? ……っていうか、何で今になってこんな異常バトルのことについて明かすんだ?別にずっと操女に守って欲しいとかいう意味じゃなくて、何かきっかけとか、あ ったのか? って意味だけど」

「……もしかして、ヒガミン~」

 ふと気付いたかのように楽が口を開く。

「ん? 何だ?」

「聞かされてないの?」

 語尾を伸ばさない、タレ目でも、少し真剣な感じの目。続けて、

「守られたって、どういう意味で?」聞かれる。

「えっ……、ちょっ、別に聞かされたって、何をだ? 守られたって、確か操女の口じゃ他の能力者が僕に近付いたのを代わりに相手していたとか……」

「アヤ!」

 楽が怒鳴る。初めて見た。顔は……、やっぱりタレ目だからかあんまり怖くないけど、怒っている。すごく真剣に。

 対する操女はビクッ! と肩を震わせて、申し訳なさそうな顔になる。そして、それは分かり切っていたことのように。

「……ごめんなさい……」

 今度は何故か僕から操女が怒られる番に変わった。

「……後で……、少なくとも…ラルの闇元素をちゃんと調べたら言いますから……。本当にごめんなさい……」

「ごめんなさい、は後でヒガミンに言いなさいよ~。……本当に言うのね~?」疑う目。いつもはずっと眠そうな目をしているのに。

「……うん……」

「よし~」

 とりあえず楽の顔が笑顔になった。いつも通りの感じに戻る。

 何となくあんまりこの話に僕から触れてはいけない気がしたので、僕はとりあえず、

「僕の闇元素って、結局何なの?」と聞いた。

     ☆太平公園 児童福祉センター 2階 中高生スペース AM 12:38

「古くから伝わる闇元素の調べ方を紹介します…」

「…………」

 なんか嫌な予感がする。とてつもない嫌な予感が。

 ガシッ、またもや楽に頭を両手で固定される。

「ぐっ!」えっ、何で全く頭が動かせないんだ?普通の女子が出せる腕力じゃないよね、コレ。

「ふぅ……」

 えっ、何で、操女さんの手に息を吹きかけているんですか。

「せーの!」

 ガン、

 操女の拳が僕の脳天に振り落とされた。

 いっ、意識が朦朧と……。

     ☆太平公園 児童福祉センター 2階 中高生スペース AM 12:22

「この方法は意識を朦朧とさせることによって、自分の内なる心の存在を感じさせてその絵を描かせる方法です……」

 多分非人道的なことを言っているのは分かった。

「さあ、ペン持って~」

 手に何かを握らされる。

「はい、テーブル見て~」

 頭をテーブルの上にある真っ白な紙を見せられる。

「さあ~、描いてね~」

 …………。グルグルする。カイテ? ……書いて? 描いて?

「雑念を払って……」

 とりあえず混乱した頭で適当に書く。

〔母さんのバカ! 父さんも人の話聞けよ! 兄ちゃんの根暗! クソがあぁぁぁ!!〕

「おびただしい程の雑念……!」

「ていうか、絵じゃないじゃん~」

 ガシッ、また頭を固定され、

 ガンッ、また殴られた。

「さあ、頭をカラッポにしてね……」

「描け~」

 …………。スラスラ。

「今度こそ……」

〔   ?   〕

「ボクハダレ?」

「あっ、記憶が……?」

「ヨイショ~」

 ドガン、

 グラングラン、

「お……、この感じなら描けそうだよ…! 目が虚ろだし…」

「いっけ~!」

 スラスラスラ……。

「「…………」」

 ガン、頭に衝撃。

 ? ? ? ? ? ?

「はっ、今まで僕はどうしてたんだ?」

 何か惨い目にあった気がするのだが……。

「ねぇ、ラル……」

「何だよ、操女? うん、何この絵?」

 操女の手のひらの上には、鉛筆で黒くて、何だか邪悪なものをほうふつさせるような渦が描かれていた。

「何か分かる~?」

「…………全然分からないけど……」

 こんなもの見たこともない。強いて言うなら・・・、何だろう、トイレの換気扇くらいしか思い浮かばない。台風とか銀河系とかもあるけど。

「ラルが描いたんだけど……。闇元素の絵で……」

「えっ、こんなのが僕の闇元素? ……というか頭がさっきからずっとガンガンするんだけど……」

「気のせい」

 本当か?

「普通、もっと具体的に描くのだけど……。例えば水なら……」

 スラスラと操女が紙に描く。

 水の元素モデルや蛇口から出る水の絵が描いてあった。

「分かりやすい!」

 僕とはケタ違いだ!

「どう考えても変……」

「…………」

「…………」

「…………」

 沈黙。どうしようもないか。

「さて、とりあえず調べるだけ調べたし~、アヤ、告白の時間だよ~」楽が仕切る。

「う…………」操女は何故かとても困った顔になる。

「なぁ、操女は僕に何か隠しているのか?」

 とても大事なことみたいだが。

「アヤ、早く言いなさい~」

「……分かった……」

 意を決したように僕を操女が見る。

「情報についてはもう話したよね……?」

「……うん。まあ、あるものってヤツを復活させたヤツらだろう?」

「その残党がねぇ……。ラルを狙っているの……」

「…………なんで?」

「あるものを生き返らせるためにね……」

 …………。

「僕の力はただ僕自身を不死身にさせるだけだけど」

「その力を利用するの…」

 本とかではよく見聞きする設定。

 おざなりな感じのする僕の世界。

 何故だろう、この先のことを聞かない方が幸せな気がする。

「確かに、私は……ラルに近付く能力者で襲いかかろうとするのを、今日まで追っ払ってきた……」

「……うん」

 それは聞いたが。……だから、何だろう。操女は無理に人の感謝の言葉をもらおうとする感じの女の子じゃないのだが。

「でもね……」

 …………。耳を今すぐ覆いたい。本当はなんとなく分かってはいるんだ……。

 自分の世界を壊したくない。

 そして操女が決定的で致命的なセリフを放つ。

 

「私は……ラルを狙ってきた情報の人間を追い払うだけじゃなく、」

 

「……殺しました……」

 

     ☆太平公園 児童福祉センター 2階 中高生スペース AM 12:34

「どうしてだ!」

 僕は怒鳴った。自分を抑えられない。

 いつの間にか中高生スペースに来ていた他の数人の利用者がビクッとする。

 …………。一応声を落として、

「操女が何で人殺しをする必要があるんだ……。わざわざ僕のために」

できる限り静かに聞く。

「…………」

「僕はまず確実に死なないだろう?」

「そういう問題じゃないんだよ~」

 そこで楽が口を開く。

「もうどんなことがあっても、絶対に会えなくなるからってのもあるし~、ラルがもし本当に連れていかれたら世界は確実に滅ぶってのもあるよ~。それに、」

「何だよ……。言っておくが、殺すまではしなくていいだろう? どう考えてもそれだけの理由じゃな……」

「殺さなきゃ、この世界、終わってるよ。とっくの昔にね」

~がない。怖い。タレ目なのに目がとても鋭く感じられる。

「…………」

 操女が殺す必要はないはずだ。小学校3年生のあの事件でもう十分だ。

 もう殺させちゃいけないんだ。

 僕のせいで殺させるのは。

 ガタッ、僕は椅子から立ち上がる。

「えっ……、ラル……? どこ行くの……?」

「…………」

 操女の反応はともかく、楽の反応は予想外だ。

 てっきりフザけて僕を止めると思ってたのに。

 僕は何も言わずに中高生スペースから出た。

     ☆太平公園 児童福祉センター 2階 中高生スペース AM 12:39

「カナちゃん……。どうしよう……?」

 私はアヤがオロオロしているのを見つめる。

 可愛いなぁ。

「うぅ……、追いかけた方が……でも……」

 そろそろ可哀想に見えてきた。涙の量がヤバいし。周りの視線も痛い。

「ねぇ、アヤ~」

「うっ、何……?」

「ヒガミンの顔見た~?」どうせ見てなかっただろうけど。

「えっ……? 下を見てたから……、見てないよ…?」

「どんな顔だったと思う~?」

「…………」

 ようし。教えてやろう。


「責任取る者の顔だよ~」


 どうするっかな、ヒガミンは。



タイプミスがあったらいつでも書いてくださると幸いです。

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