最終章 副題は読者の心の中に
やっと終わった……。
最終章 副題は読者の心の中に
(副題手抜きとか言わないでください)
☆ 不明
ここはどこだろう?
周りはどこもかしこも本、本、本。
本棚が規則正しくどこまでも並んでいる。
題名を読む。
『死』とだけ書かれている。
どの本も全部同じように『死』とだけ書かれている。
ああ、僕は死んだんだなとだけ思う。
手を使って中を見ても死が列を並べて埋め尽くしている。
ちょっとここは嫌だなと
思
っ
て STORY ERROR?
☆ 不明
●その願いで、いいんだね?●
「うん」
●じゃあ、●
●『殺人鬼』の体内残響の消去、その願いを、●
●叶えましょう●
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☆ 自問
生きているとはどういうことだろうか?
心臓が動いていること?
脳が正常に働いていること?
体を動かすことができること?
心があること?
何かを夢見ること?
何かに満足していること?
答えは無い。いつでも、どこでも、だれでも、どうしても。
どれでも?
☆ 尾崎家医務室 PM 6:43
「何でお前生きてんの?」大山に聞かれる。
「その言葉は今日聞いただけでも4度目だよ」
レンに、楽に、お前に、……後1人は誰だったっけ?
まあ、とりあえず、
「さあ? 何か御都合主義な能力でも発動したんだろ」
僕としてはあんまりそういう物語を受け入れがたい傾向にあるんだけどな。
本当に、何が起きたのやら。
「とか聞いておきながら、既にもう『侵入者』で調べ終えているんだけどね」
「じゃ、聞くなよ」
つか、あれからまだ1日しか経過してないんだけど。
仕事早いな。
ちなみに、ここはレンの屋敷――なんか部下の能力で一部分の医務室だけ復元したらしい――医務室。
布はすべてシルク、中に何が入っているかは知らないがとても弾力のあるクッション、支柱は金色に輝いている。
…………。
まあ、いいや、今使っているのは僕だし。
蟲はどうやって追い払ってんのかなとか思ったり。
「んで、僕はどうして生きてるのさ?」
「『起原』」
「ん?」
レンと同じ話法だ。まあ、偶然だろう。
「とりあえず何らかの能力による干渉があったことだけは確かだよ」
「何らかって、それ以上は調べられなかったのか?」
「うん。まあ、調べられなかったことは知らないよ」
「というか、あの戦いの流れで少しだけ分からないことがあるんだけど……」
例えば、
「僕が最初に死んで目が覚めるまで何があったんだ?」
「ああ、」
大山は軽く微笑んでから、
「10分間くらい素粒子レベルまで分解されてたよ」
「……………」笑って言うな。いや、本当に。というか原子以下か。
「残り5分のうち30秒ぐらいは目が覚めたのが『ごめんなさい……!』って全力で抱き締めながら何故か死んでるのに元通りになったお前の頭をトマトジュースにして、それに気付いてからは、4分間くらい混乱して周囲の空間をメチャクチャにして、残った30秒間で何を思ったのかイソイソと膝枕して頭を撫でてた」
「……………」操女……、何故に膝枕? いや、嬉しくなくもないよ?
「他に何か質問は?」
「……じゃ、2度目の死の後は?」
「何かお前の体が光りだして、月無さんも一緒に包み込んで、何見えなくなって、30秒くらいかな、そのまま。そして、光が見えなくなったらお前と月無さんが離れてうつ伏せの状態で倒れてた」
「……ふぅん」
まっ、物語だと偶にあるよな。そういうの。
「それより死後の世界ってどんな感じだった?」
うげっ
皆聞いてくるんだよなぁ…………。
レンも、楽も、レイヤも、僕の質問に答えず、ずっとそればっかり聞いてくるからさっき聞いたことも大山に聞くまで全く知らなかったし。
まあ、正直に言おう。
「全く覚えてない」
「……1つもか?」
「うん」
思い出せないんだもん。
「使えねぇヤツだ」
「酷っ!」
そこまで言うことないんじゃないかな!
まあ、ちなみに他の2人はキレて暴力に訴えてきたからそれよりはマシだけど。
「じゃあ、オレはもう家に帰って寝るから」大山は椅子から立って言う。
大山は思い出したように
「……ああ、色々と情報とか曼殊沙華は所有者が所有者の好きな人と向かい合って、所有者が何らかの意志を所有者の好きな人に向けると、強制的に所有者の好きな人を含めた半径5キロ以内の所有者うぃ除いた人間を殺す花だから回収しといた方がいいよ。そして、前回の説明は全て嘘。じゃあね」
とか言って去っていった。
「? ? ?」
何か混乱してしまった。
つまり、操女が、昨日のまま、髪にあの花を挿して僕と向き合い、何らかの意志を僕に向けたら、僕を含めた半径5キロ以内の人間を殺させる……と言った?
まあ、僕が操女の好きな人だったらの話だが。
そこまで考えたところで、
「ラル……!」操女が入ってきた。
ハイ、死んだー。
☆ 不明
●いや、1回しか死んでないから何も叶えないよ?●
「ですよねー」
☆ 尾崎家医務室 PM 7:49
1時間後、
「操女、その花を渡してくれ」
「え?いいですけど……」
ポイッと渡された。
アム。食べた。
まずい。ゴクン。
「キャアアアアアアアアアアア……!」
おや、けっこう逝ける。
「意識をしっかり……! 何か私に心臓貫かれた時よりも危険な感じがするよ……!」
●いや、もう平気だ●
「声がすごく変だよ……!? あっち側の住人みたいに……」
顔を真っ赤にして慌てている。
可愛いなぁ。
「ふう。何とか生き返った。あれ、操女さん?」
死んでいる。
☆ 尾崎家医務室 PM 8:52
1時間後に操女さんが意識を取り戻すまで僕が何をしていたかというと思い出せない。
何してたんだろう。
「まっ、いいか」
心なしかベッドがグチャグチャだけど。
さっきトイレ行ったし気分爽快。
「んで、操女、もう大丈夫か?」
「平気だって……。さっきレンちゃんに聞いたけど、その花で死んでも1時間後には生き返るって……」
「いや、そっちじゃなくて。体内残響の方」
大山め、説明が足りないじゃないか。
「ああ、もう全くないよ……」
「そりゃよかった」
肩の荷が下りた感じ。
「ラル……」
「ん?」
「ありがとう」
操女はその場から去っていった。
…………………。
そこは去り際にキスとかあったらなとか思ってしまう僕だった。
まあ、いいや。
あの花のおかげでまあ、あっちが僕のことを好きというのは分かったんだし。
僕の方は分んないけど。
(いや、さっき証明されたじゃん。思い切り操女死んだじゃん。)
いつものように幻聴の声は無視するで、安定。
まあ、あの花自体胡散臭いから全部嘘かもしれないけど。
☆ 尾崎家隠れ家近くの自動販売機前 PM 8:54
「レン~、あの花ってさ~」
「ん?」
いきなり何だ? さっきまで無言だったのに。
「本当は好きな人に限らず過去に大きな罪を犯した人に対しても反応するんだよ~」
…………………。
「何で知ってるの?」
「さあね~」
楽は少しだけイジワルな顔で笑った。
☆ 回想
操女に体の半分をブッ飛ばされた時、昔のことを1つ思い出せた。
僕が抱えている一番大きな罪。操女も知らない償いの始まり。
それは多分全ての始まりと言ってもいいだろう。
淡い死の物語。
☆ 伏線回収?
4年前、僕が小学3年生の頃の学校帰り。
何月何日までは覚えてないけど、僕が電車に轢かれる1ヶ月くらい前だったと思う。
タッタッタッ
普通に1人で歩いて帰る最中、
「もういい加減にしなさい! 仰空!」
偶然側を通りかかった家から、若い女の人の叫び声が聞こえた。
僕は足をとめる。
そして、
「うぇえええええええん! わぁああああああん!」
女の子の泣き声。小学1、2年生だろうか。
当然当てにならないけど。年齢とかを判ずるのは昔から苦手だし。
「そんな現実と空想をごっちゃにしないで! この世界は小説じゃないの!」
「うわぁああああん! ちっ、違うの! うっ、うっ、小説だよ!」
「この子は……!」
「……………ふーん」どうやら二階で親子が言い争っているらしい。妄想癖とか?
僕は表札を見る。
書斎塚
読み方は当時「書」以外読めなかったけど、多分今思うにショサイヅカと読むのだろう。
螺旋より珍しい名字だ。(そうかぁ?)
書斎塚仰空。
この時は、口頭なので青空だと思っていたが。
まあ、そんなことはどうでもいい。
僕はその下に配置されているインターホンのボタンを押す。
ピン、ポーン。
直後、女の子の泣き声以外の音が止む。
「ひぐっ、ひぐっ」
そして、
『お待たせしました。ご用件は何でしょうか?』
インターホンから聞こえる声。
とりあえず落ち着いた感じ。
僕は言う。
「近くに住む者ですが、そちらのお宅からの声が少し騒がしいので、もう少しだけ声を潜めては頂けないでしょうか」
『……はい……』
よし
続けて、僕は頭を家の2階に向けて、
僕は言う。
「自分の思ったことが少し世間とズレてると思ったなら、それは心の中にしまった方がいいよ! 青空ちゃん!」
ちなみに、青空が仰空だと知るのはその年の運動会の名簿を見た時に偶然知った。
というか、僕がこの時言った言葉を自分で実践していたら三毛田小学校の癌細胞と呼ばれることはなかったはずである。
自分はそもそも他人に何か言える立場じゃなかったのだが、まあ、ともかく、その声で女の子の泣き声も止んだ。
人のふり見て我がふり直せよ。
まあ、今も直せてないが。
言いたいことそのまま言っちゃう性格だし。
ふう、と息をついたところで、
「面白いことするのう。」
「ん?」
振り返るとおじいさんがいた。40~50代くらいだろうか。和服を着ている。
すごく元気そうに見える。小柄なようだけど。
というか、それより、何より、
「どうかしたかのう? 坊主」
「……………」
眼が怖い。
顔がいかつい。
少し怖がって無言でいると、おじいさんから話しかけてきた。
何か用件があったらしい。
「ここら辺に月無の家があるはずなんじゃが、知らんか?」
「……………」
どうだろう。2~3年前に引っ越してきて、挨拶に来た時、家がどこにあるか教えてもらった気がする。
どこだったっけ。僕の家からそんな離れてなかったはずだけど。
「それは忘れてしまったという顔じゃな」
心を見透かしたようにおじいさんは言った。
流石にこの時点で、このおじいさんが何となく普通じゃないことは分かるが、まだ逃げ出すには至らない。
逃げればよかった。
おじいさんは僕に近づいて、細い棒きれのような腕を僕の頭に乗せる。
「?」僕は何が何だか分からない。
「『森羅万象』」
おじいさんはそう言って、僕の頭から手を離す。
「…………」
何となく嫌な感じがした。
「ありがとうな、坊主」
そう言って歩いて去っていった。
いや、僕の家もそっちの方向なんだけど…………。
しばらく立ち止ったまま、おじいさんが見えなくなるまで待った。
その日、月無家に新たにおじいさんが一人加わったと知ったのは1ヶ月後の朝のことだった。
父と母が話しているのを偶然聞いた。
おおよそいい話ではなかったけど。
夜中に喚き散らすとか色々。
僕はその日学校帰りに記憶を頼りにして、人に聞きながら月無家を見つけた。
「ここか………」
普通の一軒家、壁は茶色で屋根は赤色。庭が小さいけどある。
普通、だ。
しばらくぼうっと眺める。
「あら、この家に何かご用?」
きれいな声。
昔は知らなかったが操女の母親なのだろう。
とても美人だった。
「いえ……、ちょっと見てただけです……」
緊張。
ほっ、普通に話せそうな感じだし、もう帰ろう。
「折角だからお話でもしましょう。丁度娘と同じくらいの年だし」
いや、それは別に話す理由にはならないと思うのだが。
後で知ったがお喋り好きな人だったらしい。
結局、断り切れず30分程話してしまった。
後で親に叱られたのはいうまでもない。
流石にこの時があまり暴力しなかったが。『最弱不滅』も知らなかったし。
そして、月無家惨殺事件が起きたにはその日の夜だった。
僕と操女の母親が話している最中、あのおじいさんが操女に何かをした。
それだけはレンから聞いた。
……………………。
それだけなら。
それだけならまだ良かった。いや、悪いけれど。最悪だけど。
9割くらいはあのおじいさんが悪いで終わりだ。
まあ、僕の基準だけど。
1割はちょっとずつ助ける。それだけで良かったのだと思う。
でも、僕は、
電車の事故の日、そのことについての記憶を忘れた。
☆ 決断
『最弱不滅』
その本当の体内残響は体が小さくなることじゃない。
元の大きさに戻るために払う、いや失う、
記憶。
それこそが僕の本来の体内残響。
たとえ1ミリまで縮んでも、精子と卵子に分割されても、1日分の記憶を捨てれば、元通りになるけれど。
その際にどの記憶を捨てるのか選別もできる。
僕の昔の記憶が普通の人よりもずっと曖昧なのはそれが原因である。
そして捨てた記憶が元通りになることは絶対にない。
そのせいでよく、○○約束したでしょと言われて、その時の記憶を失っていたりすると、してないよとけんかになった。最近は減ったけど。
ああ、つまり何が言いたいかというと、
僕が月無家惨殺事件を忘れたのは電車に轢かれて『最弱不滅』が発動したからじゃないということ。
消した記憶は絶対に元通りになることはないのだから。
多分轢かれたショックで忘れたいと思った、思ってしまった記憶を自分で忘れてしまったのだろう。
心の中には多分残っていたから。
操女の殺した8人の責任をとって殺し直したんだろう。
何度殺されても誰に殺されても自業自得と割り切っていたんだろう。
今回も。
操女のために死のうと。
思ったんだろう。
それくらいは当たり前だろう。
いつもはあまり責任感なく、けじめをつけられない僕でも流石にここまで重い責任となるとやはり、取ろうと思う。
けじめを、つけようと思う。
これからも僕はできる限り操女を助けようと思う。
あの事件についての告白をまだ僕はしてないし、これからもするつもりはない。だって本人が知りたくないだろうし。
それ自体も罪だろうけど。まあ、だから、
操女をできる限りの力で救おうと誓った。
出来ないかもしれないけれど。
また悲しませてしまうかもしれないけれど。
絶対に失敗しないなんて言えない僕だけど。
それでも、
操女の物語を止まらせないように。
全力でそれを支えよう。
どんなことがあっても、
終わるまで、止まらせない。
☆ 尾崎家医務室 PM 9:28
永久はいやだなぁ。
つまり不老はいい、だけど不死は嫌。
まぁ、僕は不死だけど。
でも寿命はあるし、ちゃんと老衰するので永久じゃないけど。
とか何とか考えながら、僕はベッドから降りる。
「ん? もういいのか?」
様子を見に来たのかレンと会う。
「ああ、胸の傷ももう消えたし」
結局のところ今まで医務室に僕がいたのは心臓の回復を速めるためだけだったし。
「ならいいが……。ところで、力はどうなってる?」
「…………」
生き返ったら矛盾反応による能力の入れ替わりは消えていた。
反応は前より劣っていた。
まあ、元々運動神経は悪くないので実はそんなに大差はないんだけど。
「その力は元々操女のなんだからまあ、別にいいだろ」
「…………」
まあ、次、情報に襲われたら逃げられない気がするが。
多分レンもそれを心配しているのだろう。
というか、僕思い切り2回死んだのに結局来なかったな。
何かあったのだろうか?
「まぁ、どうせ操女の毒で4回は死んでるし、これからも呪いで何度も死ぬだろうからまたいつか元通りになるだろ」
「まあ、そうだろうな……」
「じゃあ、僕帰るから」
「ん」
僕は家に向かって歩き出した。
☆ 夜中家玄関 PM 10:22
「ただ 」
悲鳴すら上げられず、僕は父と母と兄のコンビネーションで、初、ピコの十億分の一の世界へと辿り着いた。
本当に、今度こそ、し、しっ、死ぬかと思った……。
☆ いらない段落
後日、僕は祖父のパソコンを使ってメールを送った。
件名、なんか変なことになった@
偽最終章 言い訳タイム
(いやー、書いた書いた、打ち込んだ、清書した!)
そうですねー
(? テンション低いな)
だって、私出番ないに等しいし。
(でも、ちょくちょく出てたぞ)
いや、あれを出てたと表現できるのはアッ○リーンとか黒子○ツヤとか日之影○洞とかしかいねぇよ!!!
(仕方ない。出せばいいんだろ出せば)
ん? どうやってですか? 本編終了してんのに。
祖父の家から帰る途中、蝉の死骸を見つけた。
いつか僕もああなるのだろうか。
無様に、理不尽に。
……さて、今日も本を読もう。
蝉だって、きっと自分の死を僕なんかに見られても嬉しくないだろうから。
(よし、出したぞ)
え? どこに?
(出たじゃん。ほら、蝉の死……)
んー? ぶっ殺すよ? 社会的に。あのお兄さんとの甘い日々を公開するよ?
(いやそんな日々なかったから!)
(あれは、兄が隠し持ってたゲームを出しながら『(ゲームを)やらないか?』って聞いただけだから!)
フフフ、あなたが何を言ったところで、いまさら書き込まれた事実は変わらない!読者から見れば、「どっちなんだ? でも書いたってことはもしかして」という疑問は拭いきれない!
くっ、だがこれから兄が彼女を作ったとか書けば……。
無駄だ! トラップカード、オープン! 『腐女子の妄想』! このカードの効果により貴様は永遠に『作者兄×作者』の妄想被害を受けることになる!
(嫌な遠回しの予言やめろ! 本当になったらどうする気だよ!)
私は何も知りませんでした……。あっ、ここ変声処理おねがします。
(何言ってんの!?)
いつかやるかと思ってたんですよね……。
(ちょっ、その悪ふざけマジやめろ!)
あっ、教会の鐘の音が!
(聞こえないよ!?)
お幸せに~~。
(黙れ! この国では同性愛は認められておりませんよ!)
さっさと国外逃亡しろよ……。
(しない!)
じゃあ、こんなところで。じゃあね~~。
(勝手に終わらせんなあぁぁぁぁああああああああああああああ!!)
完
これにて1通目の物語は終了……。
続きは書くかな……?
ここまだ見てくださった方、本当にありがとうございました!




