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早朝の教室の不思議空間?・・・《5:5》








 ハラハラドキドキがいっぱい、夢と希望と草抜きの世界!今布団の中で憂欝な夢にうなされている方は必見、当イベントに参加すればもうそんなこととはオサラバ!集合、決行場所は双方同じく我らが高校の裏庭、花壇広場。

 みなさん、お友達を具して参加してみてはいかがですか?我々はみなさんの汗と涙を応援、期待しています!




 ……俺はこのようなツアー企画書を事前に配っておいたのだろうか?



 日が完全に昇った頃、俺は足取り重くも彼の地へ辿り着いた。


 大方の予想どおりたたみ二十畳分ほどのその裏庭は腰の高さほどにまで間延びしたすすきやら、菜の草やら、なんとかやら、やらやら……とにかく人(草)口密度MAXで生い茂り、もはや庭と呼べないほどにまで荒れていた。



 しかし俺がギョッとしたのはそんなことではない。その密林の中に、確かに十数人もの金髪野郎やらモヒカン野郎やらタバコ野郎…etc…の軍勢が屯していたのだ。



 俺は小さな箒箱入れの影に隠れ、片顔をチラリズムさせ様子を伺っている。どうやらこの学校の底辺、悪ガキどもの集団らしく、その中心には反抗的性格で有名な三年生番長格の生徒がいた。


 しかしよくよく覗いてみると、彼らは何かを囲んでつっ立っているように見える。目を少し大きく見開き、草木の合間を縫って視線を走らせ、その影を確認しようとした。



 ロックオン、ズームイン。



 被写体画像を確認、眼球にダウンロード残り所要時間5、4、3、2……完了。



「こ…小画山っ!?」



 なんとその不良集団のど真ん中に、尻を着き口をあうあうさせている我が知り合いクラスメート小画山の姿があった。



 ふと不良のうちの一人が何かを口にしていることに気付いた。急いで俺は聞き耳を立てる。



「オラァ!この写真バラ撒かれたくなかったらさっさと金だせよ!」



「や、やめろ!そ…その写真だけは!」



 ありきたりなシチュエーションにがっかりする俺。真剣な顔で喘ぐお前。お前はお前の為に、なのに俺はお前の為。


 何やら穏和な雰囲気ではない様子。もしやこれはイジメ、脅しの現場では?と俺は不謹慎にも心踊らす。


「しっかしこの写真がそんなに大事か?返してやるならいくら出す?」


「くっ…。樋口…いや、福沢一人までなら出す!だから何も言わず返してくれぇ!」



 真剣にまずそうな雰囲気だと、俺はやっと気付いた。小画山はきっと大切な人の写真…恐らくは無くなった親御さんやら祖父母さんの写真でも奪われ金ヅルにされているんだろう。



 その危険さを踏まえ、俺はさらに物陰から観察を続ける。



「見ろよこれ、笑えるぜ?」


 写真を持っていた不良が、隣の不良に写真を手渡す。



「ぷっ。ありえねぇ!」



「くそ、返せ!俺の大事な……大事な…」



 俺は静かに固唾を飲む。何を奪われているのか、それを知るため息を潜めその場の空気となる。



「ああん?そんな大事か、こんな女が」


「綾本ちゃんを馬鹿にすんなぁっ!!(プロローグ参照)」




「それかよっ!!」



 不良どもが一斉に俺の方に振り向いた。即座のツッコミ、それは危険を呼び込むものだ。


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