第六章 5
「僕の分まで、たくさん食べてよ」
レイドはそう言って、穏やかに微笑んだ。
それから俺たちは、久しぶりに腹いっぱいになるまで食べた。
その後は順番に風呂を借り、張りつめていた体の力が、ようやく抜けていくのを感じる。
もう――十分すぎるほど満足だった。
「それにしても……ここ、窓がないんだな」
俺が周囲を見回しながら言う。
「ああ。ここは地下なんだ」
レイドはあっさり答えた。
「簡単なシェルターみたいなものだよ。といっても、そんなに深くはない。地上から五メートルくらいかな。出口の階段を上れば、すぐ地上に出られる」
「なるほど」
リーフが納得したようにうなずく。
「だから、あんなに食料がたくさんあったんだね」
「もともとは、自分のために備蓄していたものなんだ」
レイドは少しだけ視線を落とした。
「でも……こんな体になってしまったから」
「じゃあ……ここは、もともとレイドの家だったのか?」
俺が聞くと、レイドは静かにうなずいた。
「そうだよ。そこだけは、はっきり覚えている」
それから、言葉を選ぶように続ける。
「他にも、バラバラな記憶の断片はあるんだけど……意味がわからないものばかりでね」




