第六章 2
あまりにさらりと言われて、しばらく誰も言葉を返せなかった。
「えええっ!? それって……冗談だろ?」と、ジャックが声を上げる。
「冗談? それは……どういうものだ?」と、レイドは本気で首をかしげた。
俺はため息をついて、二人の方を見た。
「ジャック、リーフ……レイドは、普通の人間じゃないんだ」
「そもそも、この地表に“普通の人間”が存在してると思うか?」と、俺は続ける。
「それは……そうだけど」と、リーフは腕を組んだままレイドを見つめた。
「見た目は普通に見えるけど……じゃあ、レイドも何かしら変異しているの?」
「それは、私にも分からない」と、レイドは正直に答えた。
「さっき言った通り、特別な能力があるのは確かだけど……それ以外は、普通なのかもしれないけど・・・結局、よくわからないんだ」
少し間を置いて、レイドは続ける。
「自分が何者なのかを、はっきり説明できるほどの記憶も、確信も持っていないんだ」
その言葉に、場の空気がわずかに静まった。
「……まあ」と、ジャックが肩をすくめる。
「考えても仕方ないか。家があるなら、行かない理由もないしな」
「そうね」と、リーフも頷いた。
「このまま野宿するよりは、ずっといいわ」
「決まりだな」と、俺は言った。
「レイド、頼む」
「分かった。じゃあ……少しだけ、驚くかもしれないけど」
レイドはそう言って、俺たちの方に手を差し出した。




