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カオスとうつろいの世界で見た〝夢〝 外伝 その3――運命のカウントダウン――

氷倉礼人ひょうくら・れいとは、屋久島を訪れていた。

特別な理由があったわけではない。ただ、なぜか「ここに行かなければならない」という感覚だけが、胸の奥に残っていた。


昼間は観光客らしく主要な名所を巡り、明日は縄文杉のツアーに参加する予定だ。

そして今、観光を終えた礼人は、森に囲まれた静かなペンションのテラスに立っていた。


夜は深く、空気は澄んでいる。

見上げた夜空には、満月の上半分だけを切り取ったような月――上弦の月が浮かんでいた。


しばらく、礼人は何も考えずに月を眺めていた。

だが、ふと何かを思い出したように、ポケットから携帯電話を取り出す。


画面を操作すると、無機質なAI音声が流れた。


『――0地点までの猶予は、あと七百八十万三千……秒』


続けて、同じ言葉が繰り返されようとした瞬間、礼人は画面を閉じた。


「……ここに、探し物はあるのか?」


自分でも意味のわからない言葉が、口からこぼれ落ちた。


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