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第五章 10
〝私は、現実へ“干渉”しているだけ〟〝
〝世界の法則を、少しだけ“ずらしている”〟
次の瞬間――
ズンッ
低い音と共に、
大木の周囲に、透明な“壁”が完成する。
バケモノたちが、
見えない何かに弾かれ、次々と転倒した。
「……すげぇ……」
〝これは、防壁〟〝
〝長くは持たないけれど……今は十分だ〟〝
〝さあ、キミ〟〝
〝約束だ。逃げるよ〟〝
「どうやって――」
そう言いかけた、その瞬間。
俺の身体が、ふわりと軽くなった。
重力が、ほどける。
「うおっ?!」
足が――
地面から、離れた。
〝私の“家”は、ここから少し離れている。〝
〝今はとりあえず、少し避難をしよう!〝
「ちょっ……
心の準備とか――」
〝大丈夫〟〝
その一言と同時に――
世界が、一気に引き伸ばされた。
景色が線になり、
光が流れ、
音が消える。
バケモノの咆哮も、
大木の軋みも、
すべてが――遠ざかっていった。
最後に聞こえたのは、
レイドの、どこか楽しそうな声だった。
〝ようこそ、キミ〟〝
〝ここから先は――
この世界の“裏側”だ〟〝
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