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第五章 9
一瞬、世界が――
弾かれた。
止まっていた色が、音が、重さが――
一気に、現実へと戻ってくる。
「――っ!!!」
視界が揺れた、その直後――
「ドゴォォォォンッ!!!」
例の巨体が、再び大木に激突した。
だが――
違う。
今度は、衝撃の“質”が違った。
「……あれ?」
確かにぶつかっている。
なのに、大木は――びくともしない。
いや……
正確には、ぶつかった瞬間だけ、何かに阻まれている。
空気が、歪んでいる
「ガ……ゴ……?」
象型のバケモノが、困惑したように後ずさる。
その時――
俺の足元、何もないはずの空間に、淡い光の輪郭が浮かび上がった。
「……これ……」
〝落ち着いて〟
レイドの声が、今度は外から聞こえた。




