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第一章 アンダーズユート ・アルメニア
オゾン層の崩壊と地磁気の消失――二重の大災害は、地球全体を激変させた。地表のほとんどの生物は絶滅し、生き残った者たちも知性を失い、凶暴化してしまった。自然はかろうじてその形を留めていたものの、もはや人が暮らせる環境ではなくなっていた。
地下への避難を余儀なくされた人類は、初めは慣れない環境で苦しんだが、半世紀を経てようやく生活に順応し始めた。そして、五つの巨大な地下空洞――「アンダーズ・ユート ・アルメニア」と名付けられた――の中で、人々は新しい希望を抱いて暮らしていた。
その一つ、アルメニア・サードのコーダ地区にあるコーダ・セントラル・ミドルスクールに通う、17歳のケン・トーマは、今日も朝の光に包まれながら元気よくつぶやいた。
「うんっ!今日も気持ちいい朝だっ!」
昼間照明が空洞の底から上壁へ差し込み、光コケに反射して緑の光が広がる。夜には夜光性コケが青く輝き、幻想的な光景が広がるアルメニアの空は、地表の青空にも負けず劣らず美しかった。




