第四章 16
「今日も、無事に済んでよかったわねっ!」
リーフが、焚き火の向こうで明るく言った。
「ふっ、無事だったかどうかは正直、わからないけどな」
俺は苦笑しながら答える。
「しかし、いつまでもこんなことをしていられないな」
ジャックの声は、少しだけ低かった。
「ランドローネってあるだろ」
ジャックは、炎を見つめたまま言った。
「あの、星間大陸っていうやつか?」
俺が確認すると、
「ああ、あそこで作られた農作物を、アルメニアへ運ぶための“入り口”が、地表のどこかにあるはずなんだ」
「そこへ行ければ、アルメニアへ戻れる」
少し間を置いて、ジャックは続けた。
「まあ、軍の管轄らしいが……この際、文句は言えないだろ」
「そうだな、それしかアルメニアへ帰る方法はなさそうだ」
俺も、静かに同意した。
「問題は、その入り口がどこにあるか、だが……」
ジャックは言葉を切る。
「コミュニティ端末のレーダーには、出てないの?」
リーフが、少し身を乗り出した。
「ああ、今のところはな」
ジャックは首を振る。
「バッテリーが切れるまでに、
入り口がレーダーに映る場所まで、近づければいいんだが……」
「結局そこは、運ってことか」
俺が言うと、
二人は、黙ってうなずいた。
揺れるキャンプファイヤーの光に包まれながら――
その夜は、静かに、そして確実に過ぎていった。




