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第四章 15
「まあ、あんなのがぞろぞろいたら、危なくて歩けないなっ!」
俺は、乾いた笑いと一緒にそう言った。
「それこそ、銃でもなきゃな」
ジャックも肩をすくめる。
「ふっ、弓矢でも作るか?」
冗談めかして言うと、
「あんなバケモノに通用するもんが作れるならな」
ジャックは、口の端をつり上げてニヤリと笑った。
その後、ジャックは静かに焚き火に火を入れた。
パチパチと乾いた音を立てて、炎が闇を押し返していく。
俺たちは、残り少ない食料にほんの少しだけ手を伸ばした。
食料が見つからない以上、
このわずかな量が――命そのものだ。
無駄にはできない。
噛みしめるように、慎重に口に運ぶ。
燃やすものだけは、妙に豊富だった。
紙類や不要な木片を次々とくべると、
焚き火はまるでキャンプファイヤーのように勢いを増していった。
大きく揺れる炎。
その明かりに照らされて、
俺たちの影が、壁や床に不規則に踊る。
この火が消えたら――
また、あの静かな闇が戻ってくる。
俺は、揺れる炎を見つめながら、
ここが「安全」と呼べる場所なのかどうか、
まだ判断できずにいた。




