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第四章 14
「……しかし、リーフ」
応接セットに腰を下ろしながら、
俺は気になっていたことを口にした。
「あんな“変なの”がさ
この辺りに、うようよいるってことは、ないよな?」
リーフは、少し考えるように視線を落とす。
「うーん……
そんなに沢山は、いないはずよ」
静かな声だった。
「だって
宇宙放射線を大量に浴びて
それでも生きている方が、不思議だもの」
リーフは続ける。
「あの生き物は
明らかに、変異している」
「でもね
変異って、普通は――
起きた時点で、死ぬはずなの」
その言葉が、
ゆっくりと胸に沈んでいく。
「あの生き物には
死ななかった理由が、
必ずあるわ」
俺は、息を飲んだ。
「……それが、何なのか……」
答えは、出ない。
夜のスタジアムに、
静けさが降りてくる。
外では風が吹き、
どこかで金属が小さく鳴った。
――変異種。
――死ななかった理由。
――そして、この世界。
それらはまだ、
闇の中にある。
俺たちは、
その闇の入口に、
足を踏み入れたばかりだった。
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