第四章 12
「ふは~~~~っ……
……危なかったな~~っ!!!」
ジャックが、ようやく肩の力を抜いた。
「ああ……
かわされてたら、終わりだったかもな……」
俺もバットを下ろし、深く息を吐く。
そのとき――
「大丈夫っ!!!」
リーフが、ベンチの奥から顔を出した。
「ああ……
なんとかな!」
俺は、無理に笑って応えた。
しばらく、誰も口を開かなかった。
スタジアムに残っているのは、
俺たちの荒い呼吸音だけだ。
「……しっかしさ」
俺は、バットの先で床を軽く叩きながら言った。
「命を張るほどの“何か”が
本当に、ここにあるのかな?」
ジャックを見ると、
彼は小さく肩をすくめた。
「まぁ……
さっきのヤツが、
もう近寄ってこなくなるなら」
「それなりに、意味はあるんだろ?」
「まぁな」
俺は頷く。
「少なくとも……
バットは手に入った」
金属の感触を確かめる。
「あとは、食料があれば、言うことないんだがな」
「うーん……
食料は、ありそうもないわね」
リーフが、周囲を見回しながら言った。
「そうだな……」
一瞬、迷いがよぎる。
だが――
「まぁ……
せっかく、ここまで来たんだ」
俺は前を向いた。
「もう少しだけ
探してみよう」
軽い調子で言ったその言葉の裏で、
胸の奥が、わずかにざわついている。
――あの変異種。
――本当に、逃げただけだろうか。
そして、
この場所は――
本当に“空っぽ”なのか。
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