第四章 11
「ジャック!!!
……いち、にの、さんで飛び降りる!!!
同時に、ヤツの気を引いてくれるか?!」
二階から、声を投げる。
「分かった!!!
……じゃあ、行くぞ!!!
いち、にの……」
一瞬の間。
「……さんっ!!!」
「さんっ!!!」
俺は、
二階から身を投げ出した。
重力が、一気に身体を引きずり落とす。
バットを振りかぶり、
狙うのは――後頭部。
同時に、
ジャックが正面から踏み込んだ。
変異種は、
目の前の敵に反応する。
低く唸りながら、
大きく口を開き、
ジャックに噛みつこうと――
その瞬間。
――ドゴォォォンッ!!!
金属が骨を打つ、
鈍く、重い衝撃。
俺の一撃が、
正確に、
後頭部へ叩き込まれた。
「――グギャァァァァッ!!!」
獣は、
悲鳴とも咆哮ともつかない声を上げ、
身体を大きくよろめかせる。
次の瞬間――
踵を返し、
猛スピードで走り去った。
床を蹴る音だけが、
スタジアムの奥へ、
遠ざかっていく。
――静寂。
俺は、
着地の衝撃に膝をつきながら、
荒い息を吐いた。
「……当たった……」
完璧ではない。
倒してもいない。
だが――
追い払うことは、できた。
それだけで、
今は、十分だった。
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