第四章 10
「うん……!
ケンたち、無茶しないでよね!」
リーフはベンチの奥で、防具に包まれたまま、
顔面蒼白で叫んだ。
「とりあえず……
ちょっと戦ってみる!!!
ダメだったら、すぐ逃げよう!!!」
ジャックが前に出る。
「ジャック!!!
少しでいい
気を引いてくれるか!!!」
俺は、瞬時に判断した。
「俺は……
奇襲をかけてみる!!!」
「いいけど
あんまり長い時間は、勘弁してくれよ!!!」
「了解だ!!!」
俺は走り出し、
二階の観客席へと駆け上がった。
高所から見下ろすと――
あの“変異種”の全体像が、よりはっきり見える。
筋肉の塊。
無駄のない動き。
本能で生き、殺すために最適化された身体。
「ジャック!!!
ここの真下へ連れて来てくれ!!!」
俺は大声を張り上げる。
「上から、飛び降りて
頭を一撃する!!!」
「無茶言うな~~っ!!!」
そう叫びながらも、
ジャックは歯を食いしばって頷いた。
「……分かった!!!」
ジャックはバットを構え、
一定の距離を保ちながら、後ろへ後ずさる。
変異種は、低く唸りながら、
その動きに合わせて距離を詰める。
――速い。
――そして、隙がない。
ジャックが何度か、
牽制で頭部を狙う。
だが――
軽い。
あまりにも、軽く。
獣は、それらを難なくかわした。
――やはり。
――野生動物だ。
いや、
それ以上だ。
「……くそっ……!」
ジャックの動きが、わずかに鈍る。
上から見て、はっきり分かる。
――一撃で倒さなければ、
勝ち目は、ない。
次の瞬間が、
すべてを決める。
俺は、
手すりに足をかけ、
バットを握り直した。
――今だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・




