第四章 6
「おっ!
確かにそれは、使えそうだな……」
俺たちは揃って、
グラウンドの方へ向かおうとしていた――
次の瞬間!
……ドン。
……ドン……。
床を叩く、重い振動。
姿は見えない。
だが、大型の何かが、
こちらへ向かってきているのは、音で分かった。
「ジャック!
なんか、ヤバいぞっ
何かが来る……!」
声を落として叫ぶ。
「リーフを連れて、先に行ってくれ、
急げ!!!
グラウンドの方へ!!!」
俺は振り返り、
近くに積まれていた組み立て式の椅子とテーブルに手をかけた。
考えている余裕はない。
ただ、
遅らせる。
それだけでいい。
乱暴に積み上げ、
通路を塞ぐように押し倒し、
さらに足元に散らばるように撒いた。
「少しでも、役に立てばいいが」
そう呟いた瞬間――
影が、動いた。
暗がりの奥。
黒く、歪んだ輪郭。
四足――
いや、もっと低く、
もっと不自然な――
“けもの”のような何か。
「……っ!!!」
背筋が凍る。
「やべぇ……!」
反射的に、俺は走り出した。
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外へ飛び出した瞬間、
視界が一気に開けた。
グラウンドは、明るい。
照明もなく、ただ空から降り注ぐ昼の光だけ。
――暗闇よりは、ずっといい。
「……っ!」
背後を気にしながら走る。
そのとき――
「ケン!!!
こっちだっ!!!」
ジャックの声。
視線を向けると、
彼は選手たちのベンチの影に立っていた。
――まだ、追ってきてはいない。
だが、
来ない保証もない。
これは、
ただの廃墟じゃない。
この場所には――
狩る側がいる。
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