第四章 5
「ガチャ……!」
入口のドアノブを回すと、
金属が擦れる嫌な音を立てながら、ドアは開いた。
錆びついてはいたが、完全に固着してはいない。
中は――薄暗い。
ところどころに設けられた窓から、
細く差し込む昼の光が、埃を照らしている。
それがなければ、昼間でも真っ暗だっただろう。
バッテリーは貴重だ。
こんな場所で、コミュニティ端末の灯りを使うわけにはいかない。
「誰かいますか~~……
……いませんよね~~……」
ジャックが、
返事が返ってこないと分かりきった問いを、闇に投げる。
そのとき――
……コトッ。
奥の暗がりから、
確かに、何かの音がした。
「えっ?
今、なんか……聞こえなかった……?」
リーフが、俺の服の裾をぎゅっと掴む。
さっきまでの軽さは、もうない。
「……ああ。
確かに、何か音がしたな……」
俺は視線を闇から離さない。
「まぁ、生き物がまったくいないってわけでも
ないんじゃないか?」
ジャックはそう言ったが、
その声にも、さっきまでの余裕はなかった。
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「とりあえず
何か、武器にできそうなものを探そう」
俺は低い声で言った。
「そうだな
スタジアムの中に行けば
バットとか、あるかもしれない」
ジャックは辺りを見回す。
「キャッチャーの装備が残ってたら、
防具にも使えるかもしれない」
理屈は正しい。
だが――
なぜだろう。
この場所には、
“道具だけが残っている”気がしなかった。
何かが、
まだここにいる。
そう思わせる、
説明できない圧が、
闇の奥から、こちらを見ているような気がしてならなかった。
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