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プロローグ 4
「だから、候補地を残した……」
屋久島。
強力な磁場、太古の信仰、異常な生態系。
偶然にしては、条件が揃いすぎている。
もし、これが事実なら。
もし、“変わる”ことができる人間が存在するなら。
礼人は、グラスを置いた。
その瞳に、いつもの冷静な光とは違うものが宿る。
「……面白くなってきた」
彼は、ハッカーだ。
世界の裏側を覗き、触れてはならないものに手を伸ばす人間。
ならば次にやることは、決まっている。
——政府より先に、真実に辿り着く。
礼人は再び席に戻り、キーボードに指を置いた。
標的は、Zファイルの“先”。
屋久島に関わる、すべての情報。
この選択が、
彼自身を、そして世界をどこへ導くのか——
まだ、誰も知らなかった。




