外伝その8 6
「よおっ!」
ジャックがメノスの前に立つ。
「お前、メノスとか言ったか?」
「私は、メノス!」
即答だった。
「で、そのメノスは――」
ジャックが腕を組む。
「一体、何者なんだ?」
「私は、ランドローネの防衛システムのサブ・ユニット」
「サブ・ユニット……」
ジャックが眉を上げる。
「じゃあ、人間じゃないんだな?」
「私は、ランドローネの防衛システムの補助をする為に設定された人工生命体」
一拍。
「ランドローネの防衛システムの稼働とともに覚醒する様に設計されている」
「なるほどね……」
ジャックが小さくうなずく。
「で、その防衛システムは」
「どんな時に稼働するんだ?」
メノスは迷いなく答える。
「ランドローネに、必要以上の破壊や衝撃を与えた場合」
一瞬、間が空く。
「防衛の為に稼働を開始する!」
ジャックが、さらに考え込む
「じゃあ、お前がここにいるって事は――」
「ランドローネの一部が破壊されたって事か?」
「今回」
メノスは即答した。
「ランドローネの中央広場付近で、大規模な破壊行為が発生している!」
「そして、防衛システムが活動を開始している」
「停止コードは確認されていない為」
一拍。
「防衛プロジェクトが現在進行中」
「わかった!」
ジャックが手を上げる。
「ちょっと待ってろ!」
「私は、急いでいるの!」
「それはわかったから!」
ジャックが片手で制す。
「ちょっと待ってろ!」
そして言った。
「急がば回れ、って知らないか?」
「急がば回れ……?」
メノスは考えた。
そして――
その場で回り始めた。
くるっ。
くるくる。
くるくるくる……
「……よし」
ジャックが満足そうにうなずく。
「しばらく回ってろ!」
そのまま三人の所へ戻る。
「今の話し、聞いたか?」
「うんっ!」
三人が同時にうなずいた。
「とにかく、防衛システムってやつが稼働する程の事態になってるみたいだ」
ジャックが状況を整理する。
「だから軍艦がうろついていたんだ!」
さらに続ける。
「これは、かなりの破壊活動が起こっている様だな?」
「何か……嫌な予感がするわっ!」
リーフが小さくつぶやく。
「でも」
ケンが首をかしげる。
「メノスの口から、レノアって言葉が出てきたのは何でだろう?」
「聞いてみましょう!」
リーフが振り向く。
「ねえ?レノアって、クリーク・レノアの事?」
メノスは即座に答えた。
「クリーク・レノア……」
少しだけ間。
「彼女の思考が、メノスに流れ込んできた」
「彼女を助けないといけない!」
「これはメノスの第二次優先事項に基づいた有効手段」
リーフはうなずく。
「わかった」
「もう少しだけ待ってて」
「メノスは急いでいる」
メノスが言う。
「だから回った」
さらに言う。
「だから、急ぐべき!」
「ごめん!」
リーフが手を合わせる。
「もう少し、回ってて!」
メノスは素直に――
また回り始めた。
くるくる。
くるくる。
その隙に、リーフは三人の所へ戻る。
「やっぱり」
リーフが言う。
「クリーク・レノアで間違いないみたい」
少し真剣な顔になる。
「で、悪いんだけど」
「私、メノスについて行きたい!」
ケンとジャックが顔を上げる。
「なぜか気になるの……」
リーフは続ける。
「地表復興計画には、おそらく私のお父様も関係していた!」
「だから……」
一瞬、言葉を探す。
「何があるのか、確かめたい!」
ジャックがニヤッと笑う。
「ふっ……いいぜ!」
腕を組む。
「決めたのならば、付き合ってやるよ!」
ケンも笑った。
「リーフに付き合うよ」
肩をすくめる。
「別に急いでアルメニアに帰る必要もないしな!」
レイドが穏やかに笑う。
「じゃあ、私だけ残っても仕方ないね」
リーフは両手を合わせた。
「みんな、ごめん!」
少し頭を下げる。
「私に付き合ってくれる?」




