外伝その8 5
「なんだよ!いきなり殴るなよな?」
ジャックが頭を押さえる。
「痛ぇだろ!」
「あの子、なんか変でしょ?」
リーフが小声で言う。
「普通に話しても埒があかないわっ!」
「あれは……」
レイドが静かに口を開いた。
「まず、普通の人間ではないね」
一拍。
「多分、人工的に作られた何かの端末じゃないかと思う」
「ええっ!?」
ケンが目を丸くする。
「そんなものが存在するのか?」
レイドは肩をすくめた。
「いや、現に私とかキミ達は」
少し笑う。
「そんな物の部類に入るんじゃないかな?」
「……まあ、いいわ!」
リーフが話を切った。
「とにかく、私があの子と話すから!」
指をさす。
「あなた達は、よく聞いていて!」
「じゃあ、わかった……」
ケンが小さくつぶやく。
「なんか、ディスられた気分……」
「同感」
ジャックもうなずいた。
――数秒後。
「お待たせ?」
リーフがメノスの前に戻る。
「で、何の話しだっけ?」
「私と一緒に来て欲しいの!」
「で、どこへ?」
「中央制御棟へ」
「中央制御棟って、ランドローネの施設の事ね?」
「そう」
メノスはうなずく。
「私は案内する為に来たの!」
「なるほど……」
リーフが腕を組む。
「で、何のために行くのかな?」
「ある人達を助けて欲しい」
「その人達は、あなたの知り合い?」
「知らない人!」
「そっか……」
リーフは首をかしげる。
「で、助けるって、その人達が何か困っているの?」
「知らない!」
「うーん……」
リーフは考え込む。
「じゃあ、だれか困っているの?」
「レノア……」
「レノア……?」
空気が少し変わる。
「ごめん、ちょっと待ってて!」
リーフは振り向いた。
「あのっ?」
メノスが小さく言う。
「急いでる……」
「わかった、すぐだから!」
リーフは急いで三人のところへ戻る。
「どした?」
ケンが聞く。
「……?」
リーフの表情が少し変わっていた。
「あの子……」
ゆっくり言う。
「レノアって、言ってた……」
「それが、どうかしたのか?」
ジャックが眉を上げる。
「だれか知り合いか?」
「以前に――」
リーフは息を整えた。
「地表復興計画っていうプロジェクトを立案した人がいるの!」
「その人が、クリーク・レノアっていう女性の環境学者だった」
少し声が落ちる。
「でも彼女は、権力者側から反発をくらって……」
「プロジェクトを断念したの」
さらに続ける。
「それで、学界から姿を消したの……」
「レノアって、そいつの事か?」
ケンが言う。
「わからない……」
リーフは首を振る。
「でも、噂では」
一拍。
「ランドローネへ移り住んだ……って話もあるみたい」
その時。
「ちょっと、待ってろ!」
ジャックが立ち上がる。
そのままメノスの方へ歩いていった。




