外伝その8 2
「あらっ!あなた1人じゃないみたいね?」
「あっ!どうも、ケン・トーマと言います!」
「ども、ジャック・ルノーです!」
「あらっ!」
少し間があく。
「一緒にお亡くなりになったメンバーが一緒なのね?」
そして、優雅な声で続けた。
「どうも、この度はご愁傷様で……」
「いえっ……どうも……」
思わずハモる二人。
ケンとジャックは、顔を見合わせた。
(なんだこの会話……)
「えっ、お母様!」
リーフが慌てて割り込む。
「勝手に死んだ事になったら、困るんですけど……」
「そうね……」
少しだけ声が落ちる。
「でも、あの地震で、たくさんの方が亡くなったの……」
一拍。
「だから学園側もつらい立場でね」
さらに一拍。
「ほら、私も理事長だから……わかるでしょ?」
ホホホホッ――
楽しそうに笑っている。
(この人は……自分の立場を守ったな……)
リーフはそう推測した。
「じゃあ、もういいですから……」
リーフはため息をつく。
「新しい市民コードを用意してもらえます?」
「はいはい!わかったわ!」
即答だった。
「すぐ用意させるわね!」
そして、ふと思い出したように続ける。
「それと――」
「ケン君とジャック君も一緒にどお?」
「死んだままじゃ、何かと不便でしょ?」
(不便って……どういう感覚なんだ?)
ケンの頭に疑問が浮かぶ。
だが、顔は笑顔だった。
「えっ、俺もいいんですか?」
「あのっ!俺もいいんですか?」
ジャックが身を乗り出す。
「叔母様?」
「もちろん!」
即答。
「……叔母様じゃなくて、マリナよっ?」
「あっ!お美しいマリナ様っ!」
ジャックの声が弾む。
「あらっ!」
マリナは嬉しそうに笑った。
「あなた見どころがあるわね!」
オホホホホッ――
完全に上機嫌だった。
その時。
横から鋭い声が飛び込む。
《奥様!どなたと話されているのですか?》
《あっ!アリサさん!いえっ、なんでも……》
《ちょっと、失礼致します》
ド・ガチャ――
携帯端末を取り上げる音がした。
次の瞬間。
声のトーンが一変する。
「もしもし?」
冷静で鋭い声。
「リーフ様ですよね?」
「あっ……アリサさん、お久しぶりです……」
「お久しぶりじゃありませんよ!」
間髪入れず叱責が飛ぶ。
「どこで、何をなさっていたんですか?」
「お母様がどれだけ心を痛めてらっしゃったか!」
さらに続く。
「それに――」
「わたくしの武術指南の日も、かなり溜まっております」
リーフの顔が青くなる。
「溜まった日数は」
一拍。
「すべて消化していただかないと!」
リーフは、
両手で耳をふさいでいた――。




