最終章 7
「さあっ、ちゃんと縛って下さいね!」
「怪我をさせない様に。大事な商品ですからね!」
黒ずくめが、淡々と言う。
「くっそう!」
「もう……ひどい仕打ち!」
「なんだ、これは!」
ジタバタする3人。
腕を押さえられ、膝をつかされ、完全拘束。
(困ったな……)
その瞬間――
ヒュンッ!!!
黒い影が、視界を横切った。
〝みんな!お待たせ!〝
レイドだ。
影のように空間を滑り、ロープを――
シュパッ!シュパッ!シュパッ!
一瞬で切断。
同時に――
ドッ!バキッ!ゴッ!
周囲の男達の急所を正確に打ち抜く。
致命傷。
しかし殺さない。
全員、その場に崩れ落ちる。
動き、完全停止。
「えっ……あなた達にお仲間がいたとは聞いてませんが?」
黒ずくめ、眉をわずかに動かす。
「これは、始末書案件ですかね……」
「俺達が知るかっ」
ケン、ビシッと指を立てる。
「地獄へ落ちろ!」
ジャックも、なぜか同じポーズ。
「へ〜んだ!根暗!!!」
リーフ、方向性の違う悪口。
黒ずくめ、一瞬だけ本気で困惑。
〝さあ〜皆んな、長居は無用だよ!〝
〝私に捕まって!〝
レイドが叫ぶ。
4人の体が、ふっと光に包まれ――
スッ。
静かに消えた。
残されたのは、倒れた武装集団と、呆然と立ち尽くす黒ずくめ。
・・・・・・・・・・・・
次に視界が開けた場所。
鉄の匂い。
低い振動音。
倉庫のような空間。
「でっ、レイド!ここはどこなんだ!」
ケン、辺りを見回す。
「ここは、ランドローネへ向かう無人貨物船の中だよ」
レイド、実体化。
「へぇ〜っ!移動中の貨物船に転移できるのか?」
ジャック、目を丸くする。
「さっき、この船のコンピュータに侵入して、色々データをもらったからね」
「現在座標さえわかれば、転移は問題ないよ」
さらっと言うレイド。
「じゃあ……今度はランドローネへ行くのね」
リーフ、少しだけ視線を落とす。
ほんのわずかに、寂しさ。
「さっきみたいな変なヤツらもいるし」
「しばらく地球を離れるのも、悪くないと思ったんだ」
レイド、穏やかに続ける。
「ランドローネに着けば、地球との連絡も取れる」
「家にも連絡できるし、いい方法も見つかるかもしれない」
少しだけ、笑う。
「ポジティブにいこうよ」
リーフ、ゆっくり微笑む。
「そうね!皆んなで頑張りましょう!」
「そうだなっ!」
ジャックとケン、同時にうなずく。
貨物船の小さな窓。
その外には――
静寂の宇宙。
無数の星。
遠くに、青く光る地球。
4人は、しばらく何も言わずに眺めていた。
新しい物語の気配だけが、静かに漂っていた。
ーー第一部、STEーー
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