第11章 35
小さい頃――
なぜか俺は、皆んなとつるまなかった。
皆んなとは、近所の同い年くらいの子供たち。
なぜか、気が合わなかった。
この日も、そうだった。
気がつけば、ひとりで歩いていた。
道端に、小さな野良猫の子供。
ニャア、ニャアと鳴いている。
持っていたお菓子を、そっと差し出した。
子猫は、嬉しそうに食べ始める。
それを見て、俺も少し嬉しくなった。
しばらく、眺めていた。
その時――
横から、大きな猫が現れた。
子猫を、追い払う。
胸が、ざわっとした。
許せなかった。
今度は、俺がその大きな猫を追い払った。
だが――
それを、見ていた親子がいた。
近所に住む親子。
子供の方は、知っている。
俺を、よく思っていない女の子だった。
「あ〜っ、ママ!ケンちゃんが猫をいじめてる!」
「しっ……あの子とは、あんまり関わっちゃダメ」
「評判が、よくないんだから……」
その言葉。
胸の奥が、熱くなった。
イラッとした。
持っていたお菓子を、そのおばさんに投げつけた。
振り向かない。
そのまま、走った。
家に帰り、部屋に閉じこもる。
しばらくして――
さっきのおばさんが家に来た。
一方的に、俺の悪口をまくし立てる。
おふくろは、ただ謝りながら、じっと聞いていた。
やがて、おばさんは帰った。
俺は、呼ばれた。
おふくろは、話を聞きたいと言った。
怒ってはいなかった。
だが、俺は思い込んでいた。
大人は、みんな俺の話なんて聞かない。
おふくろも、同じだと。
でも――
違った。
おふくろは、ちゃんと聞いてくれていた。
それが――
今、目の前にある、この場面だ。
客観的に、その光景を見つめながら――
気づけば、俺は涙を流していた。
……そうか。
俺は、勝手に人を悪く思う癖があったのかもしれない。
今は、ジャックやリーフが、俺の話を聞いてくれている。
でも、本当は――
他にも、俺の話を聞いてくれていた人はいたんじゃないのか?
俺が、勝手に
「そんなヤツはいない」と
決めつけていただけじゃないのか?
ふと――
そう思った。
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