第11章 31
「さあっ……お待たせだっ!」
「今からが、本当の勝負だっ!」
ケンは、ブレードの刃先をバギラへ向けた。
玉座の前。
バギラは、余裕の表情のまま――ゆっくりと立ち上がる。
静かに。
「さあ〜っ……」
「いい体験になれば、いいのだが?」
ぽつり、と呟く。
「目一杯、いい体験にしてやるぜっ!!!」
ケンは、渾身の力をブレードに込める。
青い光が、爆ぜる。
――だが。
バギラは、動かない。
まるで、無防備。
(受ける気か……!?)
ケンは、躊躇しない。
「地獄で、後悔しなっ!!!」
振り下ろす。
――バッキ〜〜〜〜ン!!!
金属を叩き割るような衝撃音。
刃は、正面から叩き込まれた。
〝袈裟懸け〟。
完璧な軌道。
・・・・・・・・・・・・
だが。
バギラの鎧には――
キズひとつ、ない。
「……えっ」
ケンの口から、空気だけが漏れた。
何故だっ!!!
思考が、空回りする。
バギラは、自分の胸元を軽く確認し――
やや残念そうに、ため息をついた。
「やはり、そうかっ……」
「私の予感は、間違っていなかったのだな……」
静かに呟く。
ケンの思考は、まとまらない。
無理矢理にでも、もう一撃。
それは、可能かもしれない。
だが――
気力が、湧かない。
「なんだっ……この結果は……」
それが、精一杯。
ドランに敗れた時とは、違う。
あの時は、悔しさがあった。
だが、今回は――
恐怖。
底の見えない、恐怖。
(俺は……ここで終わりなのか……?)
考えている暇などない。
だが――
考える力すら、削がれていく。
(俺は……どうしたら……)
思考が、停止しかける。
その時。
ふと。
(……ん?)
何かが、おかしい。
がばっと、顔を上げる!!!
周囲の様子が――違う。
色合いが、わずかに歪んでいる。
空気が、重い。
バギラの姿も、どこか不自然だ。
ケンは、集中して観察する。
(……止まってる)
(時間が……止まってるんだっ!!!)
これは――
以前、経験した覚えがある!
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