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僕と葬儀
夜が明けるまでは長かったが、
朝が訪れると葬儀は直ぐに始まった。
半分も聞こえない弔辞が過ぎて僕や従姉は花を手向ける。母の手が、父の手が、何度も何度も往復し細い祖父の体が飾られていく。
なぜだか暗い棺の中で祖父のトレードマークの黄色いネクタイだけが妙に明るくて、それが花に隠れていくのが妙に切なくて。
蓋をされた棺が僕や父の手であっさりと持ち上がる。棺は軽かった。あんなにたくさん花を入れたのに、棺は軽かった。
すぐ隣の火葬場に運ばれて合掌のあとにくべられる火。
一、二時間もすれば白くてキレイな木目の入った棺も手向けられた花も燃え尽きて、
木屑と黒い灰の混じった真っ白な乾いた祖父は、
親戚の伯父さんや伯母さんに木でできた箸でつつかれる度にカサカサと、時々パリンパリンと音を立てて、
その姿があんまり脆くて
その姿があんまり悲しくて
僕は泣いた。
ただただ泣いた。
僕はきっとこのことを一生忘れることはないだろう。




