第4章:片翼の騎士、希望を抱く
「また会ったな、アルク」
「……王子様だったとはな」
運命的な再会。互いの正体を知った俺たちは、もはや迷うことはなかった。俺たちは銀河連合打倒という共通の目的を掲げ、固い握手を交わした。俺はリアンを支えるため、連合の補給路を徹底的に叩くことに注力した。特に、新型兵器の輸送を阻止した戦いは、連合軍を震え上がらせた。この戦いは、俺が「片翼の悪魔」として、もはやただの復讐者ではないことを証明する、最初の戦いだった。
リアンの理想に触れてから、「シマカゼ」のブリッジは変わった。かつて故郷を失った悲しみが漂っていた空間に、今は未来への希望が満ちている。全員の顔が、わずかに上を向いている。それは、終わりの見えない復讐の旅路から、確かな目的地を見つけた者たちの顔だった。
「船長、敵は次のセクターで、補給艦隊と合流するようです。新型兵器のデータ、入手しました」
副長のエルフィがコンソールを操作しながら、冷静に報告する。流れるような長い髪が、彼女の動きに合わせて揺れる。
「新型兵器か。面白そうじゃないか!」
掌砲長のルナが、子供のように無邪気な笑みを浮かべ、照準器を覗き込む。彼女の瞳には、かつて燃えていた復讐の炎ではなく、ただ純粋な戦いの歓びが宿っていた。
「新型の試射には、熟練の腕を持つパイロットが使われるわ。ルナ、気をつけて」
エルフィの忠告に、ルナは力強く応じる。
「任せな! あんたのデータがあれば、負ける気がしないよ!」
二人の間に流れる、互いを深く信頼する空気は、張り詰めた戦場の空気に、かすかな安らぎをもたらした。
戦いが進むにつれ、俺たちは幾度となく、連合のエリザベート・ヴァルハイト提督と刃を交わした。腐敗した連合の中にあって、彼女だけは真の騎士の精神を失っていなかった。
「船長、敵艦隊の旗艦です。どうやらヴァルハイト提督が指揮を執っているようですね」
機関長のライカが、いつも通り書物を片手に、優雅な仕草でコンソールを指さす。彼女が指し示したモニターには、生物的なフォルムを持つ連合の軍艦が映し出されている。提督の座乗する戦列艦は、ひときわ優雅な曲線を描いていた。
「彼女の戦術は、乗る艦と同じくいつも美しい。まるで、古い叙事詩を読んでいるような気分になりますね」
ライカは静かに目を閉じ、詩でも朗読するかのように呟いた。俺は静かに頷く。彼女も敵ながら、ヴァルハイト提督に敬意を払っているようだ。
ある戦闘の後、俺たちはヴァルハイト提督の艦隊を撃退し、捕虜を得ることに成功した。その中には、ヴァルハイト提督の副官も含まれていた。尋問を担当した海兵隊長の少佐は、いつもと変わらぬ無表情で、捕虜にカトラスを突きつけた。
「はーい、情報でーす。吐いてくださーい。早くしないと、このカトラスで、あなたの歯を全部抜いて、お酒のつまみにしちゃいますよー」
少佐の奇行に、捕虜は恐怖のあまり、震えながらすべてを話したという。後からその話を聞いたエーテル観測長のコトハは、「少佐、マジでヤンキーより怖いじゃん」と震えていたが、少佐は捕虜の心を弄んで遊んでいるだけだ。
俺の戦いぶりに触発され、輸送業者だったボルガをはじめ、同じように故郷を奪われた者たちが次々と俺の元に集い始めた。リアンの理想に共感し、そのために力を尽くしたいと願う者たちだった。俺は彼らをまとめ上げ、艦隊を組織した。司令官には俺が、副司令にはボルガが就任した。




