第10章:仲間との再会、そして奪還作戦
帝国軍との戦いは熾烈を極めた。かつての仲間たちが、帝国軍として俺の前に立ちはだかる。彼らもまた、リアンの理想を信じ、俺の前に立ちはだかっているのだ。
通信モニターに、クニヒロのホログラムが浮かび上がる。かつてのように水槽の中を優雅に泳いでいるが、その瞳は、昔の相棒としての親愛と、敵として対峙する緊張感が混じり合っていた。
『アルク、君と戦うことになるとはね!』
クニヒロの声は昔と変わらず明るい。だが、その声にはかすかな挑発が含まれていた。帝国の広報では、俺は建国の英雄、アルク・フォン・ドラグーンの名を騙る偽物ということになっている。だが、クニヒロは本物だと気づいている。
『アルクがボクに勝てるとでも?もう、過去の遺物となったその艦で!』
その言葉通り、クニヒロが率いる艦隊は、三次元的な軌道で俺たちを翻弄してきた。彼の天才的な航海術と、それに最適化された艦隊の動きの優秀さは、長年の相棒である俺が一番よく知っている。このままでは、ジリ貧だ。艦隊はクニヒロに翻弄され、徐々に追い詰められていく。
「ライカ、メインエンジンを分離しろ」
俺は一瞬の思考の後、ある決断を下した。船長席に座る俺の言葉に、ライカは驚きを隠せない。いつも片手にしている書物を床に落とし、目を丸くしている。
「えっ、船長!? この艦の心臓部をですか? それでは……!」
ライカの悲鳴のような声がブリッジに響く。
「かまわん、パージしろ! これしか手はない!」
俺の真剣な眼差しに、ライカは一瞬ためらったが、すぐにコンソールに手を置いた。「シマカゼ」の艦底から、轟音と共にメインエンジンが分離され、単独でクニヒロの旗艦へと向かっていく。クニヒロは、その意図を読み取れずに、わずかに動きを止めた。その一瞬の隙を、俺は見逃さなかった。
「少佐、スナイピングを。標的は、パージしたメインエンジン」
「了解」
少佐は一切の感情を顔に出さず、ただ静かに狙いを定めた。「シマカゼ」の低出力レーザーが、パージされたメインエンジンを貫く。エーテルエンジンが轟音と共に爆発し、その爆風は、クニヒロの旗艦を包み込んだ。
「少佐、移乗攻撃だ。ライカ、「シマカゼ」をクニヒロ艦のブリッジにつけろ!」
俺は船長席の隣の空っぽの水槽に目をやった。今までは取り外すことができないでいた。
「コトハ、水槽に水入れとけ! 王子さまをさらってくるぞ!」
「了解。王子さまをさらってきて、ライカの部屋にあるエロ同人みたいなことするんすね?」
コトハは目を輝かせ、ライカが頬を赤らめる。
「まあ、大体そういうことだ」
俺はそう言いながらブリッジを出た。エーテルの干渉波で他の艦が近づけないわずかな間に、事を済まさなければ。少佐が先導し、俺と海兵隊員が続く。
「はーい、パーティの時間だよー!」
平和は兵を弱体化させる。今の帝国軍はアボルタージュでの白兵戦など経験したことがないのだろう。海賊だった少佐の海兵隊の敵じゃなかった。難なくクニヒロの水槽までたどり着く。
「おまえをさらいに来たぜ」
『アルク……』
「おまえは提督なんて柄じゃないんだ。「シマカゼ」航海長に降格だ」
海兵隊員が用意したネットでクニヒロを捕獲し、濡れた毛布で包み、担架に乗せる。クニヒロは観念したようだ。抵抗はしない。まるでこうなることを望んでいたかのように。
クニヒロを「シマカゼ」の水槽に入れたあと、クニヒロ艦に設置した爆破装置を作動させ、その衝撃波を利用して、サブエンジンで戦場を離脱した。あとはレオがなんとかしてくれるだろう。




