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この世の隙間で百物語

人間リモコン

作者: 一飼 安美

 ……またオレか。次から次へとよく出てくるものだ。奇妙な作り話なんてネットを漁ればいくらでも出てくる時代、怪談話なんて困りもしないだろう。もう誰が言い出したかもわかりゃしねえ。この話も、そんなものの一つと思ってもらえれば結構だ。


 人類は昔から王政を築いてきた。一部の特権階級に権力を集中させて集落を築く。妙な話だろ?なんで誰も文句がねえんだ。あいつの何が偉いんだって、世界各地で築かれた王政の三日目には誰かが言い出して然るべきだ。しかし、王政は世界各地に存在した。秘密があるんだ。誰も文句を言わなくなる、とっておきの秘密が。


 ここに、一つのリモコンがある。このリモコンは、誰の目にも明らかなのに何をしているかわからず、目に入った時にはコントロールされ始める。何がって、人間がだよ。人間を操るための遠隔操作装置の、親機。あまりにも原始的なのに奇妙奇天烈で、理解し難く強力。そんなバカみたいな代物が、どこにでも溢れていれば親機を手に入れたヤツが王族になって、周りが従う。たったそれだけ。王様ってのは、一族自体が宝くじに当たったようなもんなんだ。


 さてこの人間リモコン、昔は当たり前に転がっていた。というか、昔転がっていたなら今でもあるというのが自然の成り行き、案外どこにでも転がっている。偶然にでも親機を手に入れた者は、取り巻きができてファミリーのボスになる。手下どもは、疑問も持たない。それほどまでに、単純強力。いつ見つけて、いつ使い始めるかで人生そのものが変わっちまう。周りがなんでも言うことを聞く。なんでもやってもらえる。これを使えばいい。そのうちそう思い始める。そこから先のことなんて、考えなくなる。


 ……いちいち言うほどのことでもないんだが、言われなきゃ気づかないってヤツが結構いるんだ。このリモコンには、副作用がある。副作用というほどのものでもないんだが……癖になるんだ。中毒性ってヤツだよ。リモコンに頼っていればリモコンに依存する。リモコンを使う以外のことを、考えなくなる。リモコン、リモコン、リモコン……気がつけば、人間より偉いリモコン様の言いなり。そのリモコンが本当に親機なのかも、定かじゃねえのによ。もっと強力なリモコンの子機になっていれば、自分の手下たちと立場は同じ。王様どころか、リモコンに動かされる奴隷みたいなもん。そんなヤツが結構いるんだ。何人か心当たりがある。まあ、普通はわからないだろうが……。なんだ、揃いも揃って見たことあるのか。偉そうにするばかりで、気が付かないだろう?昔からそうなんだよ。

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