変な実
さらに進むと、木の根元に丸い石のようなものが転がっていた。
近づいて触ると、プニッと柔らかく、軽く跳ねる。
「何これ、変な実?」
私が近づくと、レオンが剣で突いた。
コロンと転がったそれは、地面の凹凸にぶつかり、ボヨンと跳ね返ってきた。
「跳ねるぞ、変な実だ。」
「ちょっと待って、投げてみる!」
私が実を投げると、ボヨンと跳ねてレオンに当たった。
「柔らかいな。」
レオンがキャッチして投げ返すと、私に当たり、プニッと跳ねる。
「うわ!当てないでよ、気持ち悪い!ハハハ!」
「お前が投げたんだろ!受け取れっ…よっと!」
レオンが笑いながら別の実を拾って投げると、私ははそれを避け、木に当たった。
衝撃で実がパチンと弾け、破片がビチャッと飛び散った。
「おい、リナ、弾けたぞ。可哀想な実だな!ははは!」
「もう!あなたが投げるからでしょ!変な実ねぇ」
少し進むと、私たちも落ち着きを取り戻し、レオンは剣を手に持ち直す。
私はそのボロボロの剣を指差した。
「何これ?なんでこんなにボロボロなの?」
「………昔の傷だよ。」
レオンはなぜか気まずそうに誤魔化したが、私は特に興味がなかった。
あんまり昔話に付き合う気にはなれないし、何より今の時間が楽しいので聞くのも無粋な気がしたから。
そして……私はニヤリと笑った。
「隙あり!」
実を投げると、レオンに当たり、ボヨンと跳ねた。
「お!やったな?」
「イェーイ!私の勝ち!」
この得体の知れない実で遊ぶのは、意外と楽しく、私はすっかり気に入ってしまった。
再び二人で遊びながら奥へ進むと、光る木の枝がさらに複雑に絡み合ってきた。
周りにある光る木の数も増えている。
今度は、凶暴そうな巨大な動物が樹液に絡みつき、バタバタと暴れている。
枝がギュッと締め上げると、動物はピクッと動かなくなった。
「ひっ!」
「落ち着け。こっちに害はないんだろう?」
「気分の問題なの。ああ、嫌だー!」
「怖いなら、俺の後ろに隠れてろよ。」
「大丈夫よ。私だって強いんだからね!へへへ」
わたしが力こぶを作り虚勢を張るとレオンも乗って、ポーズを真似てきた。
さらにレオンが剣を構えてふざけたポーズを取ると、私も笑いながら「えいっ!」とそのポーズを真似る。
不気味な森を歩きながら、怖い場面も二人でふざけていると、なんだか楽しくなってきた。