2021年10月5日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#4 海
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのTwitterをフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのTwitterから【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのTwitterのダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第5回目の今回は………
2021年10月5日放送。
妄想【愛の劇場】#4 海
奏と八巻シリーズの第四回目
自宅マンションの20畳ほどあるリビングのソファに座りながら、八巻は恋人である奏からのメールをしばらく眺めていた。
「また、今回も忙しいを理由に返信できなかった」
スマホを待ち受けに戻し、無邪気に笑う奏を見つめる。
『忙しいを理由に会おうとしない男は、あなたに興味がありません!』
女性向け恋愛ハウトゥー本には、そんな事が書いてあった事を思い出した。
「本当に忙しい事だってあるのに、勘違いされてないかな?」
八巻はスマホの中で笑う奏に問いかけるが、返事はない。
八巻が奏と出会ったのは、奏が八巻の勤務先の近くにある喫茶店でアルバイトをしていた時だった。
笑顔の可愛い店員として客達にも評判がよく、八巻もファンのひとりだった。
ひょんな事から奏に近付ける機会があった。
奏が海に行きたいと話していた時に、「車を出すから、一緒に行かないか?」と八巻から声をかけた。
奏は意外にも八巻の提案に快諾したのだ。
まさかの展開に八巻は小躍りした。
約束の日。八巻はレンタカーを借り、アルバイト先の喫茶店で待ち合わせている奏を迎えに行った。
ぎこちなくエスコートをする八巻に、奏は喫茶店で見せるいつもと変わらない可愛らしい笑顔で応える。
今、八巻の隣には”みんなの奏ちゃん“が座っている。
八巻はそれだけでドキドキが止まらない。
まさか、こんな日が来るなんて……。
八巻は心臓の高鳴りをなんとか絞り出した理性で抑える。
そして、『気になるあの子と行くなら、あのお店!このお店!』という特集の組まれた男性誌や、女の子が喜ぶデートプランをインターネット等で調べて収集した、たくさんのデートの情報を密かに復習する。
「海の前に食事かな?何が食べたい?」
八巻が切り出した。
「友達が、海の家でアルバイトをしてるんです。そこの海の家で焼きそばを食べたいです。早く海の家に行きましょう!」
奏は無邪気な笑顔を向けて答えた。
八巻の理性は奏の笑顔に負け、言われるがままに海へと車を走らせた。
幾らか車を進めると、青空が反射する青い海が広がり始めた。
奏はその景色に、キラキラしている瞳を一際キラキラさせながら、海の表情に感動していた。
八巻はその様子を横目に心を踊らせながら、奏が求める”友達がアルバイトをする海の家の焼きそば“の元へと急いだ。
海に着いた。有料駐車場に車を停める。
「八巻さん、こっちですよ!」
奏は、弾む様に目的地である友達が働く海の家へと歩き出した。
置いていかれないように八巻は奏に着いて行った。
「誠也くん!」
え?誠也くん?友達って、男なの?
奏が声をかけた誠也くんに目を向ける。
程良く筋肉のついた、すらっとした長身の男。
目元がキリッとした、清潔感のある男。
その男に奏は、八巻に向けるよりもより無邪気な笑顔を向けている。
気分が悪い。
でも、これが本当の奏の姿なのか。
八巻は腑に落ちない、何とも言えない感情を抱えながら、誠也の案内に従い海の家に入った。
奏が食べたいと言っていた、誠也が働く海の家の焼きそばをいただく。
提供された焼きそばは、そんなに美味しく感じなかった。
むしろ、海の家の焼きそばを美味いという人間の気持ちが八巻にはいまいち分からない。
「誠也くんの作った焼きそば、美味しかったでしょう?私、大好きなんです」
このくらいの焼きそばなら、俺だって作れる。
明るい表情で男友達を評価する奏とは逆に、八巻の表情は苦々しいものだった。
海の家を出て、砂浜をふたりで歩く。
奏はずっとしゃべっている。
女友達と最近遊んだ話から、バイトが楽しいという話、人気のドラマの話。
奏の事がなんでも知りたかった八巻には、とても楽しい時間だった。
少しして、八巻はのどの渇きを感じた。奏はどうだろうか。
「何か飲み物を買ってくるよ」
「焼きそばのお礼に、私がごちそうします」
八巻は奏からの気遣いを嬉しいと感じた。
「学生にお金を出させるわけにはいかないよ」
カッコいいところを見せたい八巻は、奏を喜ばせる飲み物を買うため、ジーパンの後ろポケットにあるサイフに手をかけた。
アレ?!サイフがない!!!―――。
あまりの事に、顔を曇らせる八巻。
「どうしました?」
無邪気に問いかける奏。
サイフを失くしたとは、さすがに言えない!
どーしよう!
どーーしよう!!
どーーーしよう!!!
どーーーーしよう!!!!
奏を前に、違う意味でドキドキしている八巻。
ザッババババババーーーーッン!!!
海が割れた。
突然の事に、呆気にとられる八巻と奏。
ズモモモモモ〜ンと姿を現したのは、ヒラヒラとした絹の織り布を身に纏った桜色をした海の女神。
名前をリエと言った。
「おい、そこのちょんまげ。お前、サイフの落とし物しただろ」
リエは八巻に声をかけてきた。
奏の前ではカッコ良くいたかった八巻の心を切り裂くように、エリは真実を八巻に突き付ける。
「失くしたんですか?」
心配そうに八巻を見つめる奏。
奏の表情を見た八巻は、余計に鼓動が高鳴り、心臓を壊しそうだ。
「ちょんまげのサイフ、見付けたぞ。でも、どれか分からん。答えろ」
エリは手元のサイフを八巻に見せながら続ける。
「金のサイフ」
「銀のサイフ」
「ナイキのロゴが入った、マジックテープのナイロンのサイフ」
エリは八巻にもう一度聞いた。
「どれだ?」
どれでもない!
しかし、それを言ったらこの女神はすぐに消えるだろうが、俺のサイフは出てこない。
とにかく、サイフの行方が知りたい。
「女神、それ以外に革のサイフはなかったか?」
「見てない。この3つの内のひとつじゃないのか?じゃあ、知らん。アバヨ!」
女神は消えて行った。
何事もなかったかの様に、海は凪始めた。
結局、サイフは出てこなかった。
そして、すぐに奏をアルバイト先の喫茶店まで送る事になってしまった。
奏の前ではカッコ良くいたいのだが、うまくいかない。
たまに、ふと思う事がある。
誠也は奏の元彼なのだろうか。奏は誠也に今でも未練があるのだろうか。
そして海の女神リエとは、一体何者だったのだろうか……と。
奏が待ち受けのスマホが、無邪気に鳴り出した。
慌てて着信をタップする。
耳に心地好い歌うような奏の声が、八巻の名前を呼んでいた。
ありがとうございました。
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妄想【愛の劇場】#5「図書館」




