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お友達が増えました!

 春瀬はるせ 香澄かすみ

 早速、わたしは彼女のことを調べることに決める。

 善は急げ!翌日から、彼女の様子を探ることにしたのはいいのだけどーー。

 間違いない。このゲームのヒロインだわ。

 わたしは、一目彼女を見て確信する。

 桜色の緩やかなウェーブを描く長い髪に、蜂蜜色の瞳、瞳を縁取る睫毛はアイメイクも不要な位で。陶器のような白い肌。華奢で折れてしまいそうなほど細い線の体。幼いながらに成長すると美少女になることが想像することのできるーー所謂、原石の塊っていうやつね。たしかに麗華さんの言う通り顔色は優れないし、悲しげに俯きがちな姿勢から儚げな雰囲気を纏っているけど、元気になればかなりのモテ子になるのでは!? そして、あわよくばヒロイン視点の物語ストーリーを拝み倒したいものだ(わたしは、80%までしかクリアできてないのでね……泣)。


 香澄さんのことを調べる日々を続けること数日、いや数週間経った頃だろうか?

「あなたは……?」

 小さな声で紡がれる、か細い声にわたしは現実に引き戻される。

「わたしは、蒼井 海です!麗華さんのお友達の香澄さんですよね?」

 まさかの本人から声かけられてしまうという想定外の事態に、元気よく返事をする。

 男は度胸!女は愛嬌よね!?

「え、えぇ……。その、最近よくお会いしますねーー?」

 困惑を隠せないのか、香澄さんは視線を彷徨わせながらわたしにおずおずと問いかける。 

 さすが、ヒロイン!かわいい!

 そんな挙動不審なしぐさですら絵になる。これがヒロイン補正なのか!?

「実は、最近香澄さんの元気がないと麗華さんが心配されていて、様子をうかがっていたのですよ」

 わたしは動揺をちっともださずに、あっけらかんと白状する。

 麗華さん、ごめん……。

「まぁ……そうでしたのね」

 香澄さんの陰っていた瞳にほんの少し、光が灯ったのをわたしは見逃さなかった。

 これはきっと、うれしいんだろうな。

「実はーー、」

 香澄さんは、覚悟を決めたのかわたしにどうしてこうなってしまったのかをゆっくりと一生懸命話し始めてくれた。

 香澄さん曰く、麗華さんと仲良くすることをよく思わない人たちがいて、麗華さんと香澄さんだと不釣り合いだと(家柄的な面を踏まえて)口を酸っぱくして言われるようになったのだという。

 言葉だけならまだしも、麗華さんたちにも危害を加えたり良くないことを吹聴するような勢いだったので自ら距離を置いたのだという。麗華さんのおうちは、有名な由緒あるお家柄で、香澄さんのおうちは庶民なのだという。

「でも、それを決めるのは外野じゃないと思うんだよね。あなたと麗華さんが決めることだとわたしは思います。ねぇ、麗華さんーー?」

 放課後の教室、二人きりだと思っていたけれど、やっぱり心配してきてくれていた麗華さん。

 扉の陰から姿を現して、頭を下げる麗華さん。

「ごめんなさい。わたし、あなたがこんなに悩んでいるとは露知らず――」

「そんなっ、麗華さんお顔を上げてください!」

 慌てて香澄さんが駆け寄って、中止させる。

「ね? だから思ったより親友って縁は切れないのですよ。仲直りの握手しましょう」

 私は、柔らかく微笑んで彼女たちの握手を見守る。

「では、海さんも」

「そうね、あなたには感謝してもしきれないもの」

 香澄さんと麗華さんから言われて、私も二人の輪に加わる。




「今日から私も友達ということで!」


 


「急すぎませんの!?」

「もちろん、頼もしいですっ、ふふっ」

 夕暮れの放課後の校舎に三人の笑い声が響く。

 こうして、私は春瀬 香澄さんとお友達になりました!

久しぶりの投稿です(;^_^A

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