漫才 「ドールハウス」
ボケ
「はいどうもー、バーニングトーストです」
ツッコミ
「えー、コンビ名ですよ。バーニングトーストです」
ボケ
「もうええわ! どうも、ありがとうございましたー」
ツッコミ
「終わんなや、なにがもうええねん」
ボケ
「すいません、今日は早く帰りたいんですよ。一体なにがあったんですか」
ツッコミ
「なんで俺に聞くねん。一体なにがあったんですか」
ボケ
「いま僕、ドールハウスにハマってましてね。帰って続きを作りたいんですよ」
ツッコミ
「へえ、そうなんや。ところでなに考えて生きてるんですか。聞くだけムダですかね」
ボケ
「かつてない侮辱やめてください。ドールハウス最高ですよ。ものすごいお金かけてるんですから」
ツッコミ
「いや、まずドールハウスって何ですか。あ、わかったアレや。着せかえ人形のおウチを、タテに斬り裂いたやつや。スモールライトで小さくした家を、断面図にしました的な」
ボケ
「すいません、お前を告訴していいですか。言いかたに気をつけて下さい」
ツッコミ
「ごめんごめん。え、そんな真剣にハマってんねや」
ボケ
「見たら驚きますよ。洋風の3階建てでね、煙突と暖炉があるんです。中世ヨーロッパ風の家をイメージしてるわけですよ。おや、どうかしましたか。そんなに僕の目はキラキラと輝いてますか」
ツッコミ
「1アンペアも輝いてないですね。なに、なんでそんな急にドールハウス始めたんですか」
ボケ
「これ話すと長いんですけどね。将来自分の家を建てるなんて夢のまた夢なんで、せめて模型でいいから理想の家を築こうと思ったわけです。意外と短く説明できました。僕のトーク技術も上がってきたみたいですね」
ツッコミ
「なんて言うてええのか、なんて言うたらええねん。理想の家ってなんや」
ボケ
「たとえばね、リビングにたくさんの名画を飾ってるんです。もちろん模型の絵ですけどね。めっちゃ華やかな室内になるわけですよ」
ツッコミ
「名画の模型って、絵のミニチュアなんかあんの。切手みたいなサイズの」
ボケ
「言うとくけどメッチャ精巧に出来てるで。50分の1サイズの、ゴッホとかモナリザとか、ズラッと飾れるわけですよ。どうです、いま僕の目は宝石のように輝いてませんか」
ツッコミ
「1ヘクトパスカルも輝いてません。いやでも、たしかに夢はある。模型とは言え、絵のコレクションしてる気分になれるわけや」
ボケ
「現実では不可能なインテリアも、ドールハウスなら出来るわけですよ。ちなみに僕のドールハウスは666LDKです」
ツッコミ
「戦闘力みたいに言うな。666室もあんのに、絵があるのはリビングだけって。刑務所やん」
ボケ
「どこが刑務所やねん。3階のバルコニーには小鳥がいっぱい来るって設定やぞ」
ツッコミ
「来んでええ。でも、なんとなく魅力は伝わったわ。いい趣味やと思いますよ」
ボケ
「趣味っていうか世界ですね。この世には僕とドールハウス以外、存在しません。あなたも僕に話しかけてくるだけの幻です」
ツッコミ
「入院させるぞ。お願いですから現実から逃げないで下さい」
ボケ
「逃げたくもなります、悔しいじゃないですか。世の中には、余裕で本物の家を建てれる人もいるわけですよ。本物てなんや、俺の家はニセ物なんかい」
ツッコミ
「1人でなにキレてんねん、そらお前のはニセ物やろ。いやそんな上を見たらキリないやん。家どころか、ビルでも城でも建てれる人かておんねんから」
ボケ
「格差社会ですよ。お金持ちの建てた立派な家は、死後も文化遺産みたいに保護されるんですよ。ピラミッドとかね」
ツッコミ
「何千年前の金持ちまで振り返んねん。あれは自宅ちゃう、お墓や」
ボケ
「あれ、よく作る気になりましたねピラミッド。めっちゃ苦労したと思うんですけど」
ツッコミ
「ドールハウスと比較すんな。そら大変でしょ、奴隷とか何万人て必要やし。あんな石いっぱい積むの何年もかかるんちゃうの」
ボケ
「計画してから何年もかかってね、ようやく完成するわけですよ。王様、ピラミッドが完成しました」
ツッコミ
「王様も大喜びや。おお、ついに完成したか。でかしたぞ」
ボケ
「あとは王様が死ぬだけでございます」
ツッコミ
「だれが死ぬか。そうはならんやろ」
ボケ
「いやそうなるやろ。これ王様からしたら、どういう気持ちなのかなと。完成しても、なんか微妙な空気になるんちゃうかなと」
ツッコミ
「そんなん言い出したらなんも作られへんやん。あなたのドールハウスも、いつかは完成する日が来るわけでしょ。そのときは僕にも見せて下さいよ」
ボケ
「もちろんです。ていうか、あなたの部屋もちゃんと作ってますからね。風水とか気にするんなら言ってください、壁紙貼り替えますんで。あ、となりの部屋は俺の寝室やねんけど、いいですよね。2人で生活する夢の空間に育てていきましょう」
ツッコミ
「すいません、俺のことは幻と思って忘れてください。もう夢から覚めなくて大丈夫です」
2人
「「どうもありがとうございましたー」」