紫陽花
咲き乱れる紫陽花
艷めく
色とりどり
止まぬ雨
泣き止まぬ夜
初夏の最中
いつかを映し出すように
水溜まりに
ふと浮かぶ私は
どんな色彩をしてるのでしょうか
一夜、一夜
また遠く
頬を伝う涙も雨も降りやまずに
残り香も面影も情景も温度も
遠ざかるがままに
それでも紫陽花を見る度に想い出すだろう
薄れていくけれど
確かに在った在りし日のことを
独りで
見続けるのだろう
僅かな事だったけれど
強く強く残る痕
あなたはあたしを思い出すのでしょうか
今のあたしのように、紫陽花を見ながら
もしもそうであったら少しだけ救われる気がする
何処かで思い出しながら紫陽花を見てくれていたのなら
そして、もしも少しだけ感傷的になってくれていたのなら
いつかの初夏
紫陽花とあなた
あなたとあたし