作戦会議と3つ目の選択肢
遅れてすみません。
俺は昼休みまで色々と考え、結局、拓海達に協力を仰ぐことにした。
「昼休みだし、るきあのこともっと教えてよ!」
玲奈がそう聞いてくる。
本当に天然でやっているのだろうか……。マジで勘弁してくれ。マジで好きになるから。
俺の願いは届くことは無く、玲奈がグイグイと迫ってくる。
「ち、ちかい……。わかったから、一回離れような?」
俺はみんなの目が怖いので玲奈を宥める。
「ここでは言えないんだよね?」
「そうだな。」
俺は玲奈の問いに素っ気なく返す。
「じゃ、じゃあさ……。2人で屋上いこ?」
クッ……。可愛いすぎる。
俺は表情に気持ちが出ないよう制御する。
「お、おう!いいぞ!俺もお前にお願いがあるからな。」
すると玲奈はニコッと笑って俺の手を引っ張る。
「じゃあ、行こっか。」
俺は玲奈に手を引っ張られながら教室を後にする。
帰ったら殺されそう……。ハハ……。
※
「で、なんでお前も居るんだ?」
俺たちは屋上行くとそこに拓海がいた。
「まぁ、親友だからかな?あ、玲奈ちゃん、ごめんねー。すぐ立ち去るから。」
「あ、うん……。」
拓海はそう言うと俺に真剣な表情で言った。
「俺だけはお前のこと応援してるぞ。社会的に辛いことがあるかも知れないけど頑張れよ!」
「ん?」
え?どゆこと?なんか勘違いしてね?まぁ、俺だって『2人で屋上行こう』とか美少女に言われたら嬉しいけど……。完全に勘違いしてね?!
俺は立ち去ろうとしてる拓海を呼び止める。
「ちょ、拓海!お前なんか勘違いしてないか?」
すると拓海は頭にクエッションマークを浮かべる。
「言って良いのかわからないけど、ルッキー、玲奈に告ろうとしてたんじゃないの?」
「ちげーよ!」
俺が否定すると玲奈は少し悲しそうな顔をする。
「やっぱり、嫌だよね……。ボク男だし……。」
俺は慌ててフォローを入れる。
「違うよ?別に玲奈が男とかどうとかじゃ無くて単純に今からする話は違うってだけで俺は玲奈のこと嫌いじゃないからな!」
俺は息を切らしながら言うと玲奈の顔が少し赤くなる。
「嫌いじゃないか……。良かった。」
なんか取り返しのつかないことを言ったかも知れないが取り敢えず玲奈の機嫌が良くなったので良いとしよう。
「少し話が逸れたが、実は2人に相談があってだな。」
俺がそう言うと2人は真剣な眼差しを向ける。
「まずその前に俺の黒歴史についてだが……。まぁ、簡単に言うと引っかかったんだよ。詐欺にな。」
「詐欺?なんの?」
玲奈が聞いてくる。
あぁ、思い出しただけでイライラするわ。
「まぁ、話は中学の時に遡るんだがその前に、玲奈は今の俺を見てどう思う?」
すると、玲奈は顔を赤くしてモジモジしだす。
「カッコいいよ?それに優しいし、その、ボクはす、すき、だよ?」
あぁ、マジでヤバい。堪えろ俺ー!
「そ、そうか。その……なんだ。サンキューな。」
「で、話を戻すんだけど……。」
正直、すぐに話を戻して正解だったと思う。でないと俺が我慢できないからな。
「俺の中学生の時についてのことを話そうと思う。拓海は知ってると思うが……。」
俺は拓海の方をチラッと見ると「おぅ!」と適当に返事を返してくれた。
俺は話を進める。
「昔の俺はクソブサイク隠キャでさ。今では少しマシになったと思うんだけど……。なのに俺は1人の女子生徒に恋をしてたんだよ。」
「誰だと思う?」
俺は悲し紛れに玲奈に話をして振る。そうしないと思い出してしまいそうだったからだ。
「えーっと、ボクって言いたいけど、二宮さんとか?」
玲奈は冗談ぽく言う。まぁ、正解なんだけどさ。
「そう。玲奈の言う通り俺は二宮さんのことが好きだったんだよ。で、事件は突然起きたんだ。俺は1通の手紙をもらってな。」
すると拓海が話に割って入ってくる。
「それに、屋上に来てくださいって言葉があったんだよな。確か。」
「そうなんだ。しかも悪質なのが名前がイニシャルでY・Nって書かれていてね。それで俺はまんまと引っかかって屋上に放課後向かったんだ。そこには5人のクラスメイトがいたんだ。」
玲奈は恐る恐る聞いてきた。
「それで、るきあはどうなっの?」
「そっからは簡単さ。イジメが始まった。勿論だけど二ノ宮さんも俺とは距離を置くようになった。まぁ、それはしょうがないから良いんだけど……。で、そこに現れたのが拓海ってわけ。」
その話を聞いた拓海は軽い口調で言う。
「ちょっと、俺の話短くない?」
「出してやっただけでも感謝しろ。」
「まぁ、いいよ。」
本当は感謝してるよ、拓海。お前がいなかったら今頃俺は……。
まぁ、そんなことは恥ずかしくて言えないんだけどな。
「と、まぁ、俺の黒歴史はこんな感じだ。」
俺は適当にまとめると玲奈が悲しそうな表情をした。
「そっか……。なんか興味本位で聞いてごめんね……。でも、それに立ち向かったるきあはすごいと思うよ。」
そう言って、玲奈は手招きをする。俺は何のことかわからなく近寄ると玲奈はしゃがめとジェスチャーしてくる。俺はしゃがむ。
「よく頑張ったね。」
そう言って玲奈は俺の頭を撫でる。
「………。って、ちょ、何やって?」
俺は焦って言葉が詰まる。
俺は慌てて距離を置く。
「今のはご褒美だよ。」
玲奈はニコッと笑い言う。
あぁ、今にも抱きしめたいが……。抑えろーー。
俺はニヤニヤしてる拓海にチョップを入れて話を進める。
「で、ここらが本題なんだけどこれを見てくれ。」
そう言って俺は拓海達にメールを見せる。
「これってあの時とまんまそっくりじゃねーか!」
拓海が少し大きな声を出す。
「そうなんだよ。でも流石に高校生にもなってあんなことするかな?」
「まぁ、こればかりはわからないかなぁ。」
俺たちが悩んでいると玲奈があることを提案してきた。
「それじゃあ、こっちも相手の弱みを握っちゃえばいいんじゃない?」
玲奈って意外とエグいこと言うな……。ていうか今思ったけど、玲奈ってなんでこんなにも……。今はいいか。後で神様に聞こう。
俺は玲奈のギャップに驚きつつもその提案を採用することにした。
「確かに、いい考えかもね。でも、具体的にどうするの?」
「んー……。盗撮とか?」
「エグいこと考えるな……。」
俺はあまりのギャップに声が漏れる。拓海の方に目をやると拓海も結構驚いているようだった。
「だって、るきあが傷つくところ見たくないし……。」
玲奈はモジモジしながら言う。
おーい、神様。後で説明よろしくね。
俺は心の中で神様に言うと、取り敢えず感謝の念を伝えておくことにした。
「まぁ、ありがとな。それで盗撮って案だけど拓海にお願いできるか?」
「まぁ、いいけど……。玲奈ちゃんはどうするつもりなの?」
まぁ、ごもっともな意見だが、結構危険なミッションだ。最悪のケースを想定して拓海にお願いするのが最も良いだろう。
「そのことだが、当日は拓海一人で頼む。最悪乱闘になるケースもあるからな。」
「乱闘って……。まぁ、無いとは言えないが……。ここまできて玲奈ちゃんに仕事なしだとな……。」
正直巻き込みたく無いのだが、しょんぼりしてる玲奈を見て気が変わった。こう見えて玲奈も男なのだ。喧嘩くらいで身を引こうとはしないだろう。
「それじゃあ、玲奈も拓海と一緒に頼む。でももし乱闘とかになったのなら、先生を呼んできてほしい。」
すると玲奈は広角を上げて嬉しそうに言った。
「わかった!その時は任せて!」
わかるぞ、そのワクワク感。
こうして作戦会議が終わった。
※
今は5時間目の休み時間なのだが、俺は神様に玲奈について聞いてみることにした。
Dear:神様
玲奈の件について、これは神様の仕業なのですか?
上条 琉輝亜
送信っと……。俺が送信すると、その瞬間、メールのバナーが画面の上から垂れてきた。
返事が、早かったが、これも神の力なのだろう。
俺はこの不可思議な現象を適当に結論ずけ、神様からの返信を読む。
Re.神様
その通りわしの仕業じゃ。可愛い女子がおってのぅ、これはサービスみたいなもんじゃ。まぁ、ありがたく貰っておくのじゃ。
以上。
玲奈が俺との仲を深めようとしているのはどうやら神様の影響らしいです──。
追記:コピペミスしてました。大変申し訳ありませんでした。
また、『二ノ宮』→『二宮』へ変更しました。