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73:平服

百七十二センチで四十八キロって細すぎだろ、ちゃんと飯食えよ。

そりゃ胸も無くなるよ。


どうでもいい情報にげんなりしながら突っ込みを入れる。


「そこはそれ、単なる設定だから…… 

アイドルとか創作キャラのスリーサイズなんて、ファンタジー度量衡だから……」


トレスティンたちに対しては、遮音の結界を張っている。

カーマインが影武者とか言い出したから、王家の裏の工作部隊が秘密の打ち合わせをしているように見えるだろう。

中身は別の意味で聞かせられないな!


それにしても、クルスのことを突っ込んで聞き始めたら、カーマインの態度がどうもおかしい。


「一緒に買い物行くっつって、服屋でそんな話してたのか?」


「いや、そういうわけじゃないけど……」


「じゃあどうしてそんな話になんだよ。」


「ええと、前から知っていたというか、もとの落書きのそのまた片隅の走り書きといいますか……」


なんだかよく分からん。


「まあいい、女だってんなら、別に攻略対象とかそんなんじゃないんだな。」


「え、もしかすると、攻略も……できるの、かな……?」


なんでだよ!


「繊月の王国って、そういうのもありなのか……?」


「いや、カラミーテ編にはないんだけど……。」


「カラミーテじゃなければあるのか!?」


「なんと言いますか、こっちに呼ばれてきてるってことは彼女の存在に対する何かのニーズがあったという可能性が微レ存……」


「ニーズってなんだよ。攻略するのかしないのか、どっちなんだよ。」


「それはその……私が攻略しなくても、クルスが攻略されちゃうっていうか……。」


「何?」


「言えない、やっぱりこれ以上は言えない!」


よく分からんが、何を隠している……?

残念だが、女性を問い詰めるスキルなど、この俺が習得しているわけがない……!

ここは、切り替えていこう。


「それじゃ、とにかくあいつはチート級の戦力を持ってるイベントNPCって思っておけばいいのか?」


さっき見た術は、数十体のバルキリー部隊展開しつつ戦術兵器みたいな超火力範囲攻撃って感じか?

パズ&ダズのシステムの枠で実装できるものじゃない。


だが、コラボのイベント進行にかかわるキャラなら、例えばエピソードの動画上でだけ使用されるスキルもあるだろう。

別ゲーのドラマチックなシーンを再現するやつだな。


エピソード上は超人級の演出をしておきながら、実際仲間になってみると未育成のふつうの一キャラとか、どんなジャンルのゲームでもあるあるだが、あの魔法使いはどうなんだろうな。


「え? クルスはイベのキャラじゃないし。」


「は? さっき、アルトクリフの弟分とか言ってなかったか?」


「それは、CVとキャラデザが一緒ってだけで……」


またメタな話かよ!


「じゃあ、さらに別ゲーってことか……。なんで……? そのゲームともコラボしてたのか……?」


「してないよ!

と、とにかく、イベのストーリーとは関係ないから!

放っといても大丈夫だから!

むしろ構っちゃダメなやつだから!!」


なんだそりゃ。

相変わらずカーマインにしちゃ要領を得ない話だったが、イベを進めるにあたって直接関係しないのなら、いったん置いておこう。


「で、これからどうするんだ。

影武者って、俺はどうしたらいいんだ。」


ふう、とカーマインが息を吐く。


「ギルは気づいてなかったかもしれないけど、今のその格好、繊月コラボガチャで言うと、低レアの『平服アルト』なのよ。」


あ?


急に何を言い出しかと思ったが、カーマインの目つきは、宙をさまよっていたそれが、凛々しいものに戻ってきている。


ようやく本編攻略の情報ってことか。


「平服アルトは、星四つの銀レア精霊。

トレスティンに対応するスキルを持ってるけど、それ以外は大した性能はないっていう。

原作で言うと、序盤から中盤、王都の街中でデートしてるときの衣装ね。」


「ほう……?」


「で、コラボガチャにはもう一体、超激レアの『聖鎧アルト』ってのがいるわけよ。

原作でいう最終装備形態の。

ってことはさ。」


「なるほど、キャラがガチャで出ないのならば、その聖鎧とやらも、直接手に入れろってことか。」


「そういうこと。」


「どこにあるんだ?」


「分からない。けど、王家に伝えられているものだから、王城のどこかに保管されてると思う。」


「なんで分からないんだ。」


「だって、私、トレスティン倒してないし。」


「いや、攻略サイトとか見てたんじゃないのか?」


「そんな先の分まで見るわけないじゃん。

イベのエピソードのネタバレ踏んだらどうすんのよ!」


がっ!

確かに、俺は原作の名も知らんコラボイベとか、エピソード読み飛ばすタイプだったが!




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