第七話 七日間ライフ
━━通り風が僅かに吹いていて少し肌寒く感じていた。そんな中で、私はゆっくりと瞼を開いた。
寝心地はとても良いものではなかった。固い床で、少し暗く、隣では薪で火が起こされていて、そこだけ明るかった。
次いでに見上げると、そこは石、岩、土等が合わさり自然に出来たであろう天井が広がっていた。恐らく、私は洞窟の中に居るのだと推測出来た。
よく見ると、右隣には見知らぬ少女が座ったまま、カックンとしながらも寝ていた。
「此処は…」
私は呟き、ムクリと身を起こした。するとズキーンと全身の神経に痛みを感じた。
「いったぁ…」
全身筋肉痛と微かに擦り傷だろうか出来ていた。更には、左腕には布が巻き付けられている。
(それにしても、私は何でこんなところで寝ていたんだ? それに、この少女は…。 なんか、とてつもなく嫌な夢を見ていた気がしなくもないけど、よく思い出せない)
私は少女の寝姿を眺める事にした。少し水色がかった長い白髪が何とも綺麗だった。
(でも、何だろう。さっきから違和感を感じる)
私と少女は同じ床のしたで座っているのにも関わらず、何故かほぼほぼ同じ目線で、少女の顔を見ていたのである。更に、私は自分の手を開き見た。
(なんか背が縮んだようなそんな気がする。てか、全体的に縮んだ?)
そう思い始めてだろうか、突然私の心臓の鼓動が早まり、何やらざわつきと緊張がし、冷や汗を滲ませていた。
私は、手の平に小さく魔方陣を出現させた。その魔方陣はガラスのように反射するのである。
「ゴクリ」と私の唾液を飲み、魔方陣を若干ずらしながら、恐る恐る私の顔を近づけた。
そして、魔方陣に写り込んだ顔を見て言葉を失った。
そこに写り込んでいたのは、明らかに私ではない少女の顔だったのである。長い黒髪に、瞳の色はアイオライトをしており、宝石みたいで綺麗だった。
すると突然、私の脳裏に様々な光景と共に記憶が蘇って来た。
(そうだ!私はあの時、飛ばされ、此処を探索して、色んな魔物を倒した。此処で囚われた人達を救い、私はそのまま倒れたんだ。そして、今に至るって訳か…。 やっぱ、夢じゃないんだよな)
そう振り替えっていたら、その少女は目を覚ました。そして、顔を上げ私の方を振り向いた。少女の目の色は、ペリドットで透き通ったような瞳をしている。が、その瞳にはハイライトはなく、何処か哀しそうな目をしてるようにもみえた。
すると突然、私を見るに抱き付いて来たのである。
「うぐっ…」
私の全身はまだ痛むので、突然私に抱き付いて事により、反動で神経に痛みが走る。そのせいに私は辺な声をあげてしまった。
私は、この感動的に思えてくる、この空気を壊さないと、何とか痛みには耐えた。
(よっぽど心配してくれてたみたいだな)
と、私は安堵な表情を浮かべた。
━━それからして、抱き付いてから大分経ったが、未だに少女は離れなかった。そろそろ、抱き付かれるのも、しんどくなり傷も微かに痛み始めた。
私は、右手で少女の背中を軽く「ポンポン」と叩いた。が、放してくれない。というより、むしろ逆効果でさっきより強く抱き締められた。
「いだだだだ」
思わず私は急激な激痛に見回され思わず声に出た。すると、私の声に気づいたのか、少女はゆっくりと私から離れたのである。私は少しホッとした。
そして、少女は私の顔をずっと見つめている。
(これは、何か言わないと駄目な流れになってるな)
そう思い、私は少女について語った。
「そう言えば、君は洞穴で囚われたみたいだけど、何があったんだ?」
すると、彼女は何故か首を傾げていた。
(流石に、質問が直球過ぎたかな…)
「あぁ。じゃ、君の名前は?」
だが、彼女は相変わらず、わからない表情をしていた。
(あれ? おかしいな。私の質問の意味がわかってないのか━━)
と、私は何かを思い出したようで、思わず頭を抱え込んだ。
(あぁー。そうだった!そう言えば、私の言語通じなかったんだ…)
そう、あの時一番最初に助けた人物と、話したが、言葉が通じなかったのである。それを思い出し、頭を抱え込んでいた。彼女は心配そうな顔で私を見てくる。
私は、どうしたものか悩んだ。取り敢えず、私は辺りを見渡した。すると、今までに助けた人達がちらほら居たのである。
何やら警戒されている雰囲気だった。
一先ず、話せない事には何も始まらないので、彼女に私の言語を身振り手振りで教える事にした。
私の右指に小さく魔方陣を展開させ、宙に文字や絵を描いた。すると、これが物珍しかったのか、意外にも評判が良くて、周りの人達も集まって来た。
どうやら、相手も私とどう接して良いか、わからなかったみたいである。
物や人や魔物等から言葉を教えていき、曖昧なやつは、音や鳴き声や行動で示した。
そして、私が教えた言語は、最初に比べると格段にその意味も理解しだしたようである。その中でも凄いのが、私が目覚めた時に側に居た彼女だった。
彼女は、他の人達と比べみるみる私が教えた言語を覚えていった。
逆に、私もこの世界の言語を教えて貰っていた。
それから、ある程度の時間過ぎた頃、問題が生じた。
それは、食料であった。そこは洞窟の中なので、食料となるものがなかったのである。
私が気を失ってから、大体一日くらい目覚めなかったようで、それまでは小物の魔物や洞窟から滴る水を器用に使い凌いでいたようだ。
(私は別に食料がなくとも、魔物等を吸収した時に、魔力と共に満たされてるから問題ないけど、この人達にどう改善させようか…)
私は少し考えた後、私は地面に魔方陣を手掛けた。そして私は全員を、その手掛けた魔方陣の上に乗せた。
「我が魂、我が力を持って命じよ。肉体は力を宿し、血は精神を司り、骨で全てを包み込め。━━【魔力変遷】」
すると、手掛けた魔方陣は光だし、やがて全員はある程度の空腹は凌げたようである。
そう、私の魔力を少し分け与えたのだ。だが、所詮一時的なものに過ぎない。
「あぁ。魔血になる…」
私は、少しフラ付きながらも何とか耐えた。
魔血とは、魔力貧血の事で急激に魔力が減ると、軽く目眩を起こす。なので、大型系の魔法の使い過ぎは危険であったりする。
「さてと、これで全員総勢28人に魔力が、ある程度渡せたな。よし!今から、狩りの練習するぞ」
と、身振り手振りで頑張って狩りをする事を教えた。そして、私が戦闘となり、その後ろを着いてきた。
「先ずは、この集積所の中から、武器になるものを探すか」
と言い、皆嫌そうな顔をしながらも、生きていく為に仕方なく武器を探す事にしたのである。
此処には色んなものがあり、かつて襲われた人達が身に付けていたであろう、衣服や防具、武器等がそこらじゅうにあった。
一先ず、全員は自分に合いそうな武器を拾った。
そして、武器に慣れる為、先ずは武器の扱い方を教えた。
勿論、私とも実戦した。実戦した相手は、言うまでもなく彼女だった。何故か、私の側から離れないのである。
これも結構、上達は早くて、その中には騎士だった人も居るみたいで、こんな手慣れてる人も、この洞窟に囚われていたのかと思うと、魔物とのレベルの差を改めて気付かされた。
━━それからも練習は続いた。一先ずは、ある程度だが、最低限自分の身を守れる事は教えたつもりだ。
この後も、魔物退治や、言語の習得や、食事の確保等を区別化させ、それぞれの役割に合うようにさせた。
私は勿論、洞窟内での魔物を退治し、その魔物を食料とし、その肉を焼いて皆に振る舞っていた。
そして気付けば私は、この洞窟に残って3日くらいが経っていた。怪我もすっかり治り、皆とも親しくなっていた。
「━━あッ!」
そんなある日に、私は今更ながら気づく。
「そう言えば、私が一番最初に囚われいた時に、まだ反対側の道行ってなかったな」
そんな事を思い出し、私は以前に転移魔法を配置していた事に気付き、その場から転移魔法を使った。
すると、見事成功し、その場から瞬時に一番最初に囚われた場所へと転移した。
そして、私はフロアのまだ行っていない道を歩き出した。
やがて、歩いていると出口らしきものが、見えて来た。
私は、その出口の外に出たのである。
その外の景色を初めて見る事にとなる。その空は暗く、月は若干赤く、周りも赤暗く広がっていた。私は、この世界の事について色々教えて貰っていた。この世界は、朝がなく毎日夜が続くらしい。
だが私は、それとは裏腹に違う事で頭を過らせていたのだ。
そして、ため息と共に口が出た。
「てか、こっちに出れば直ぐに外に出られたんじゃん」
と言いつつも、私は本来やらなけばならない事に、改めて気付かされた。
「そうだな。私も此処に長居し続けてる訳にはいかないよな」
そう言い、私は決意を固めた。
そして、私は皆の居る洞穴へと戻っていった。
すると、心配そうに私を探していたらしく、何やらあわただしくなっていた。
「何処に居たんですか? 突然、消えたからびっくりしましたよ」
とその人物は語った。
「す、すまない。少し実験をな」
と私は、そんなやり取りをした。
━━翌日。私は全員を集めた。
そして、私は此処を出て旅をする事を皆に話したのである。
すると、一瞬ざわつきはするものの皆は意外と冷静であった。
どうやら、薄々ながら気付いてたらしく、いつかはこうなるだろうと、皆も覚悟をしていたのだ。
何やら、寂しい感じもするが、仕方ないと思った。
それから私は、皆にいつ出発するかを言った。
それからも私は積極的に、魔物退治や言語の勉強、料理等を皆と共にやっていた。
皆も、私の旅路の事を教えてからか、いつも以上に張り切っていた。
皆はより一層と逞しく成長していった。
━━この時間が流れ続けている限り、いつかはその日が来てしまうのである。その時間は巻き戻る事もなく、今もずっと未来に突き進んでいる。
━━そして、7日が終わり、いよいよ明日が別れの時である。
そんな、皆が寝静まった頃、私は音を立てずに転移魔法を使った。
私が一番最初に囚われた場所まで転移した。そして、私は出口まで向かった。
「さてと、これでこの洞窟生活も終わりか。まぁ、皆には悪いと思ってるけど、どうも見送りは私には合わない。だから、何事もなかったかように、私は一人で去るよ」
と私は、一日遅く旅立つと嘘を言っていたのである。
そして、私は皆から見送りをされず、この洞窟を後にしたのであった。
━━がしかし、突如として私の身体に鎖が巻き付けられたのである。
「おい、待て! 何を一人でかっこよく出て行こうとしてる?」
何処かで聞き覚えのある声が響いた。
そして、私は振り向いた。
「なッ! お前は!?」
そう、何故か私の側にいつも居た彼女なのであった。
「私も連れてけ」
何を言い出すかと思えば、私と一緒に旅に出たいらしい。
「駄目だ!」
「やだ!」
即答である。
これからの旅で色んな危険があるかも知れないと私は思っていたのだ。
「君みたいな人を危険に晒すわけにはいかない。 てか、そんな口調だったっけ?しかも、この鎖は?」
「力にはなる。何でもする。だから連れてけ」
「いや、駄目だ! 君みたいに私と旅しようとする人は他にも居たからな」
「じゃ、この鎖外さない」
「なッ! こしゃくな」
と、言いつつも頭で魔方陣を思い描き、それを目の前に出現させ【魔方陣斬り】で切った。
そして、そのまま走って逃げた。
━━が、彼女は突然変な事を言い出す。
「私を野放しにしててもいいの?」
私は足を止めた。
「どういう事だ?」
「私、あなたが私に施した術式解除出来るよ?」
私は困惑した。それもそうだ。何故なら、こんな小さな少女が、私の長年の研究で作り込まれた術式の一つだからである。
「いや、君は嘘をついている!」
「嘘じゃないよ」
と言い、彼女は魔方陣を足元に展開させ、その周りには術式を作り上げたのである。
「そ、そんな馬鹿な事が…」
私が驚いているのも束の間、彼女はスペルを一つ言った途端、無数の鎖が魔方陣の中から出てきた。
そして、それを見かねて大きな声で言った。
「わ、わかった! 一緒に旅させてあげるから、その術式解除しないで」
そう言うと、彼女は術式を解のは辞めた。
私は、一先ず一息ついた。
━━そんなこんなで、私は無理矢理にも彼女と一緒に旅をさせる事となったのである。
「そう言えば、名前まだ聞いてなかったな」
と今後の旅をする無理矢理仲間となった、彼女の名前を聞く事にした。
「クラン。 クラン=ネルラ」
「そうか。 私は━━ハクアだ。 よろしく」
一瞬、フルネームで答えようとしたが辞めた。
次いでに、質問もしてみた。
「さっき、なんで術式解除出来たんだ?」
なんだか難しい表情をした後答えた。
「なんか、バーとして、ドーとしたら解けた」
「そ、そうなんだ。」
(あの長年の苦労とは何だったんだろう…)
と、悲しくも思いつつも最後に質問した。
「最後に聞いてもいい? 何で私の側にずっと居るわけ?」
そう問うと彼女は、一端間が空くも答えた。
「あの時、私を助けた」
「それだけ?」
「…うん」
「そうか」
何か隠してそうな素振りをしているが、私は問い詰めなかった。というよりも、聞いたところでと思ったのだ。
(━━あの時、私とキスしたくせに… バカ)
ボソッと何か言ったような気がしたが、私は気にしなかった。
名前:クラン=ネルラ(くらん=ねるら)
生年月日:9月2日
推定年齢:13歳
性別:♀
身長:139cm
体重:38.6kg
魔力がとてつもなく高い少女。
一人では魔力を制御する事が出来ず暴走してしまうが、ハクアの手によって、その魔力による暴走は防がれたのである。
魔力が高い事もあってか、色んな魔物等の標的にされる。
目の瞳はペリドット色で透き通っている、が彼女自身暗い性格な為、目にハイライトはない。
もの覚えが凄くよく実は天才?
彼女はハクアを慕うかのように後を追いかけて一緒に着いて来るのである。




