第五話 鎖の少女
━━すると、足元に展開された魔方陣が光だし、私はその足元に展開された魔方陣を足の爪先で蹴った。
そして、物凄い速度で標的まで、一直線に駆け抜けたのである。
敵と思わしき魔導師を捕捉した。どうやら、赤いフードに覆われていて顔までは見えなかった。
すかさず、私の右手に魔方陣を展開させ、敵目掛けて【魔方陣斬り】を放った。
敵は見事にスパーンと引き裂かれた。
次に移すべく、私は再び魔方陣を展開させ、今度は【魔方陣の盾】を縦に貼り、その魔方陣を足に着地すると同時に、吊るされている人物の元へ飛んだ。
そして、右手に魔方陣を展開させ【魔方陣斬り】で、その吊るされている鎖を立ちきった。
鎖は見事に切り落とされ、そのまま人物諸とも落ちた。
「このままだと間に合わない」
そう言い、私は更に足裏に魔方陣を展開させ【加速魔法】を使った。
そして、足裏に展開させた魔方陣を蹴る。魔方陣は宙に固定されて壁のように動じない。
私は落ちていく、人物の元へと駆け寄ったのである。
宙で人物を右腕で何とか抱え込む事に成功した。
━━が、私は一つ重大なミスを犯してのである。
それは、私の左腕はさっきトロールとの戦いで負傷しているのである。
右腕は人を抱えていて、左腕は未だ麻痺していて動かない。
しかも決め付けに、さっき使用した魔法は【加速魔法】なので、スピードが乗っている。
私は何も抵抗出来ぬまま、そのまま地面に衝突した。
━━「ドンッ」と大きな音が響き、そこには土埃が舞っていた。
「うっ… いてて。私、まだ生きてるよな」
辛うじて意識はあり、軽傷で済んだらしい。
咄嗟に人を庇い、私は背中を向けたまま落ちたので、何とか人には被害はなかったみたいである。
「一先ず、応急手当しとかないと…【治癒回復】」
そう言え、私とその人物に魔法をかけた。
よく見ると、その人物は小さな少女であった。というのも、フードに覆われていた為、少女とは気づかなかったのである。
━━その少女の髪は、白髪なのに何処か水色がかっていて、長い髪をしている。少し、魅力的だった。
「さてと、これでようやく終わったかな」
そう言い、私が立ち上がると━━さっき倒したはずの魔術師が、宙に浮いていたのである。
「なッ!お前さっき倒されたはずじゃ…」
更に驚いた事か、さっきフードごと切ったので、その姿が剥き出しになっていた。
なんと、その姿は木材で出来た人形だったのである。額には六芒星が刻まれていて、緑色に発光していた。
━━カカカカカカ。突然、奇妙に動き出し何やら喋っている。
「━━カラ…ノ……シノ…キニ…。」
そもそも、この世界の言語は伝わらない。何を言っているのか、全くわからなかった。
すると、さっきまで行っていたであろう、召喚の儀が再び再開されたのである。
「━━倒したんじゃないのかよ!」
地面に描かれている大きな魔方陣の中からまた、大きな腕が出てきた。
直後、さっき助けた彼女にも異変が起こる。突然、彼女が苦しみ出したのである。
よく見ると、彼女の額にはさっきの人形と同じ六芒星が浮かんでいた。
すると、地面に描かれた大きな魔方陣の中から腕だけだったのが、今度は顔まで覗き込んで来たのである。
━━そして、信じられない光景が目を過った。
そこに、映し出された光景が、なんとその大きな腕は人形を片手に握り締たのである。
そのまま、口に運んで食べたのである。
バキバキ━━と木材の折れる音が響き渡った。
そして、その魔方陣から腕と顔を覗かせている大きな魔物は、人形を平らげた。
そして、彼女の胸等辺から魔方陣が展開されたのである。
彼女は苦しみもがきながら、「ああああ。」と悲鳴を上げた。すると、その彼女の胸にある魔方陣の中から、無数の鎖が出て来たのである。
その無数の鎖は、大きな魔物に纏わり付き、そのまま魔物を引っ張り出した。
「いや、これは流石にまずいって… この身体で今の状態では倒せないって…」
私は、考えた。もの凄く考えた。何をどうしたらいいのか、若干パニック状態である。
それも無理はない。立て続けに色んな事が、次から次へと起きて頭の中は整理が出来ていない。
というのも、頭が追い付かないのである。
取り敢えず、少女から出ている魔方陣を壊そうと試みる。
腕を前に伸ばし意識を集中させ、その少女から出ている魔方陣に対し、私も魔方陣は展開させて対抗した。
「魔方陣には魔方陣でどうだ!?」
が、そんな上手くはいかない。
私の魔方陣は意図も簡単に砕け散ったのである。
しかし、私は諦めなかった。私は何度も壊されては、何度も魔方陣を展開し続けて意識を集中させた。
すると、一本光が差し込んで来た気がした。私は更に集中させ奥深くまで覗かせた。
そして、ついに見つけた。
「これが最新部にある彼女を苦しませている現況か」
私はそのまま、魔方陣に力を込め魔法を放っ━━だが、その直後私の行動を妨害するかのように、鎖が私を襲ったのである。
私は、思いっきり吹き飛ばされた。
「うぐっ」
━━そして、ついにはその魔物が完全に魔方陣から姿を現してしまったのでる。
「追々、嘘だろ…」
私は唖然として、その魔物を見上げていた。
明らかにトロールよりも大きく、石というよりかは要塞みたいな姿をしている。
そして、私は何となくだが悟った。
「これ、もしかしてゴーレムが…」
私は思わず口を滑らせて言った。
更に、そう思っているのも束の間、突如として彼女が浮き上がり、そのゴーレムの胸の中心へと向かっていったのである。
そして、ゴーレムと彼女は一つとなった。
◆◇◆◇◆
━━「ドスン、ドスン」と地響きを鳴らしながら、私を後ろから襲い迫って来る。
「くそー。後少しで壊せれた気がするのに… こうなっては、私もお手上げだぞ」
幸いにも、此処はトロールと戦っていたフロアよりも、逸れていて、洞穴になっていたのである。
取り敢えずは、此処でならいくら暴れられても何も心配はいらない。
「けど、ずっと追われ続けられるのもしんどいし、何か対策探さないと。私の短剣、トロールに突き刺したまま置いてってしまったしな… まぁ一通りの案は一応浮かんでるけど、リスク高いよな。でも、もうこれしか勝ち筋ないし、一か八か掛けるしかない!」
と言い、決意を固めた。
が、私は一つ飛んでもない過ちをしていたのである。
すると急に、ゴーレムの動きが変わったのである。突然ゴーレムは「グゴオオオ」と叫び声を放った。
そして、この後飛んでもない事が起きたのだった。
強敵な魔物
名前:ゴーレム
これは人の手によって産み出された魔物である。要塞みたいな図体が特徴的。
意思とは背かず、ひたすらに自由に動き回る。
魔力を養分とする為、魔力感知には優れている。
剣では先ず通らないので倒せない為、魔法で倒すしかない。が、魔力を養分にしているせいもあって、余り魔法技は効かないのである。




