第四話 シザーズ=エッジ
━━私は、絶望に浸っている場合ではなかった。
何とかして、目の前に居る三体のトロールを倒さなければならないのである。
「今の私のこの身体では力不足だ━━強化呪文試してみるか」
と言い私は、神経を集中させた。
すると、私の真下に魔方陣が浮かび上がり、周りに文字が列なり始めた。
「能力上昇呪文━━【攻撃上昇呪文】」
そう言い呪文を唱えた。
魔方陣は小さく縮小し、そのまま「パリンッ」と弾け飛んだ。
「なッ!?」
なんと、この呪文は失敗したのである。
魔方陣が弾け飛んで大きな音が響いたせいで、三体のトロールは私に気付いた。
「やっぱり、攻撃に関する魔法類は使えないみたいだな」
と言っている間にも、トロール達は私目掛けて走って来る。
私は咄嗟に武器を構え、走って来るトロール等に正面で立ち向かった。
先ず私は魔方陣を展開させ【魔方陣の盾】を走って来るトロールの足元に縦向きにし描いた。
すると、トロール等はそれに躓き、盛大に前へと転けたのである。
私は、すかさず右のトロールの首目掛けて、左右の手に握っている短剣を思いっきり刺した。
そして、短剣を抜き取った。抜いた瞬間、首は血飛沫を吹きながらそのトロールは動かなくなった。
だが、まだ終わりではない。残り二体となったトロールがまだ居るのである。
そのトロールは起き上がろうとしていた。
今度は、宙に魔方陣を展開させ【魔方陣の盾】を階段みたいにトロールの頭上まで何段か描いた。
私は、その魔方陣に飛び乗り登って行く。
そして、トロールの頭上たどり着き、そのまま飛び降りた。
私は、トロールの首筋を狙い、身体を回しながら切り裂いた。
だが、私の攻撃はまだ終わらなかった。
そのまま、地面に落下する間際に私は右手に持っている短剣を地面に突き刺した。
そして、その短剣の柄部分に足を起き着地したのである。
そこから、もう一体のトロール目掛けて飛んだ。
━━がしかし、飛ぶ際に突き刺した短剣が、飛ぶ勢いで思いっきり傾いたのである。
そのまま「ドン」と地面に倒れ落ちた。
「ッたた~。やっぱ慣れない事するんじゃなかったな…」
そうしている間にトロールは起き上がったしまった。
私も起き上がろうとした時、トロールが手にしているこん棒が、私目掛けて振り下ろされた。
すると「ドーン」と凄まじい音がし、土埃が舞う。
━━やがて、土埃は止む。
その先には、私が左手に持っていた短剣で、あの大きなこん棒を防いでいたのである。
「よぉ。いてぇじゃねぇか…」
弱々しい声で私は言った。
トロールは、驚いた様子と疑問に首を傾げている。
確かに疑問に思うのも当然だ。普通に食らえば先ず、一溜まりもない攻撃なのだ。本来であれば潰されてもおかしくはない。
だがしかし、私はその攻撃を避けるのではなく片手で防いでいた。
━━その攻撃の間際に何があったのかというと……
(まずい!このままだとモロに攻撃を食らう)
避けようとしても、風圧で飛ばされるか、地面に叩き付けられその砕けた石が飛び散り、私曰く回りの人等にも当たるかもしれないと推測したのだ。
その為、私が執った行動が、瞬時に魔方陣を展開させ【魔方陣の盾】発動させたのである。
が、これは最初に倒したトロールに試したが、意図も容易く壊されたのである。
普通にやっては壊されるだけである。
なので私は、これを五重に重ねて発動させていたのである。
そうする事により、その攻撃を防いだのである。
しかし、これだけではまだ攻撃は防ぎれない。
なので私は、足元にも同じく【魔方陣の盾】を発動していたのである。
そうする事で、その攻撃は地面へと受け流したのである。その為、攻撃を防いだのである。
とは言え、攻撃は私を通しているので、全てを無効に出来た訳ではない。
その為、私の左腕は麻痺を起こしている。
(小さな身体で、これだけで押さえ込んだから良いだろう…)
━━それから、トロールが困惑している間にも、私の左手を何とか離し、持っていた短剣を右手に持ち変えたのである。
そのまま私は、トロールの足元へと走った。
そして、右手に持ち変えた短剣でトロールの足首を切った。
更に、短剣の先端部分に魔方陣を展開させ、その切った切口目掛けて【魔方陣斬り】を放った。
するとトロールは、体勢を崩したのである。
私は直ぐ様、次の行動に取るべく宙に魔方陣を展開させ階段をつくる。先程の流れと同じである。
そして私は、その魔方陣に飛び乗り、トロールの頭上まで登る。
━━が、なんとトロールはさっきの光景を見ていたのか、自分の首を左手で押さえたのである。
私は、これには驚いた。
「クッ、手荒な真似しやがって…」
私はそのまま立ち止まった。
トロールは、首を押さえたまま立ち上がる。
一先ず、立ち上がると同時に私は魔方陣を展開させて、トロールの頭上まで登った。
トロールは私を見上げている。
すると、トロールは足を曲げたのである。
私は悟った。次に何をするのかを……
━━そう、トロールは私目掛けて飛んで来たのである。
私はその僅か、ある考えを思いついた。
私は、それを行動に移した。
トロールの顔は私も見上げながら飛んでいた。
これが、トロールに取っての盲点だったのである。
すかさず、私の足元に乗っていた魔方陣を、右手にある短剣で刺した。
すると、その魔方陣は粉々に砕け散り、トロールの顔へと私諸とも落ちた。
私よりも先に、砕け散った魔方陣の破片がトロールの顔へと突き刺さったのである。
そのまま、トロールは目を瞑りコントロールを失う。
私は、トロールの顔を踏みつけた後、地面へと着地した。
後からトロールも「ドスン」と地面に激突した。
直ぐ様、私はトロールの首元へ駆け寄り、右手に持っていた短剣で深く刺した。
そして、トロールは動かなくなった。
これでようやく倒しきったのである。
━━だが、落ち着いているのも束の間。また地面が揺れたのである。
私は、さっきトロール達が出てきた大きく空いた壁の奥を除き込んだ。
そこには、なんと何かの実験だろうか。奥の方で怪しげに青々しく光っているものが見えた。
「此処からじゃよく見えないな━━これを使ってみるか【歯車眼鏡】」
すると、私の右目部分から小さな魔方陣が複数重なり出て来て、クルクルと回っている。
どうやらこの魔法は使えたみたいである。
そして、そのまま奥を見た。
━━この【歯車眼鏡】は遠くにあるものを見れるだけではなく、魔力の流れもわかり青く見えたり、人物は赤く表示するのだ。
「何だ?あれは━━魔術師か?その隣に人が、吊るされているのか。あの吊るされている人物から魔力が下に流れているのか。にしても、なんて量の魔力だ…」
すると、下に魔力が流れていた場所に、地面から巨大な腕が出て来たのである。
私は、冷や汗を掻いた。
それもそのはずである。今私が光景しているものは、召喚の儀をしているのだと発覚したからである。
「まずい、まずい、まずい!今だって右腕負傷してるのに、あんなのと戦うハメになったら、流石の私でもあれには勝てそうにない!何とかして食い止めないと…」
私は魔方陣を展開させた。
「頼む。この魔法は成功してくれ!」
そして、私は叫んだ。
「【加速魔法】発動!!!」
強敵な魔物
名前:トロール
図体が大きい魔物。武器には、こん棒を使う。
その力は協力で、こん棒を一振りするだけで壁には穴が空く。
図体が大きい為、下を見下ろすのも一苦労で、更には体重が重いので、思うようには動かない。




