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セブンスタート  作者: 落としネコ
第一星 コラシピオン
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第二十八話 偽りの村

 ━━私が、この村に入る前、何故か結界に覆われている事に気づく。クランが、おかしくなったのは、この結界を通ってからだった。

 突然、クランがまるで別人のような口調で語り始めたのだ。これは、私の知りうるクランではなかった。


 でも、この村がクランの育ったところだと主張していた。私は、真っ先に洗脳か、意識改竄もしくは、支配乗っ取りを疑ったが、それは直ぐに打ち消された。

 仮に、クランがそれ等にかかっているのなら、私もまたそれ等にかかっているからだ。そうなると、何らしら私にも異変が及ぼすはずである。

 私とクランは、魔力に置いて契約上結ばれているのだ。


 (━━それが、違うとなると……)


 そう思うと、私は余り疑いたくはなかったが、これ等意外にも他に思い当たる点があったのである。それは、後に確信する事となった。

 私は、クランに手を繋がれ引っ張られながら、村へと入っていった。


 ━━そこで、クランに引っ張られた先に、私が目にした光景が、この村の村人達は全員、木で作られた人形だったのである。でも、建物には、光が差し込んでいて、人形達もまるで自らの意思で動いているようだった。


 そして、クランがとある建物へと足を止めた。その止めた建物の先こそ、クランは住んでいた家だったのだ。

 クランは、扉の前に立つと少し躊躇いながらも、恐る恐るドアノブを開けた。そして、クランは掛け声と共に家の中へと入った。


 「━━ただいま」


 クランは、パパとママに会えたらしく、私の手を離して思いっきり飛び込んでいった。

 この光景に私は、気分が心底悪く感じていた。だって、そこに居たのは━━ただの人形だったからである。

 その人形達は、クランにこう言っていた。


 『━━クラン。 オカエリナサイ』


 まるで、意思のないロボットのような口調で言っていた。そんな中、クランはとても感動的な雰囲気を漂わせていた。

 この時、私はクランにかかったとされる異変が、明らかとなった。これは、あの結界のせいで引き起こされた幻影魔法だった。


 それでも、何故か私にはその影響はなかったのである。私がかからなくて、クランにはかかるもの。それは、一つしかなかった。

 私が、この結果の耐性を持っているか、既に知り得ている魔法だったのだ。


 「そうか━━ついに見つけた」


 私は、何かを確定した様子で独り言を呟いた。そんな事を思っているうちに、気が付けば自己紹介に入ってたいた。

 突然、私に振られたので咄嗟に「━━どうも」と口が出てしまっていた。


 ━━そして、話しは進みどうやらパーティーをする事となった。クランは、私も一緒にと誘ってくれたが、私はその気にはなれなかった。


 「━━折角の親子との再会なんだから、三人で楽しんで来たら?」


 私は、クランに誤魔化し半分で言った。それから結局、私達は別々で行動する事になった。

 先ずは、この狂ったような村の探索をし始めた。


 (━━一先ず、この人形つくった人物でも探すか。 とは言っても、手探りってのも面倒くさいな……)


 そう思いながらも、試しに私は【歯車眼鏡(ギアスコープ)】を使い、周囲を見渡した。


 (流石に、これで魔力の流れだけで特定出来たら苦労しない━━)


 と、私の思考は突如と止まった。そして、私が目にした先には、明らかにあそこだけ膨大な魔力が注ぎ込まれていたのである。

 よく見ると、膨大な魔力は上へと伸びていた。どうやら、結界を出させている根源だと思われた。


 私は、冗談混じりで「まさかな……」と言った様子で、苦笑いさせていた。

 それから、私はどうせ行き悩んでいたので、仕方なくその膨大な魔力が流れている場所へと足を進めた。


 ━━すると、向かった先にあったのは、ぽつんと一件聳え立つ屋敷だった。私は、それを見るなり、こう口が溢れた。


 「━━こんな村に、屋敷ってどんなセンスしてんだ……」


 明らかに、後から建てられたであろう屋敷がそこにはあった。しかも、この屋敷から魔力が流れ込んでいた。

 私は、勝手ながらも屋敷の扉を開けて、中へと入り込んで行った。すると、その屋敷の玄関には、無数の木で作られた人形が並べられていた。


 どうやら、この人形達は動く様子はなく、ただそこに置かれていた。だが、今にも動きそうな人形は何処か不気味が悪かった。

 それから、私は屋敷の中を色々見て回った。


 ━━各部屋を探索していると、矢張部屋の中にも人形達が散らばっていた。

 まるで誰かに監視されているようであった。そして、更に奥へ進むと、最後は残すところ一つの部屋となった。


 この部屋だけは、明らかに他の部屋とは雰囲気が違っていた。そもそも、他の扉より明らかに大きく、変な模様が刻み込まれていた。


 私は、恐る恐るドアノブに手をかけ触れた、次の瞬間「バチッ」と大きく電流みたいな衝撃が流れ込んできたのである。

 驚きの余り、咄嗟に私は手を引いた。よく見ると、どうやらこの扉には魔法が施されているようだった。


 (━━まぁ、流石にそんな簡単には中へと入れさせてくれないよな)


 それだったら、簡単に屋敷の中へと入れたのだから、此処だけ魔法で細工しなくてもいいのにとは思った。

 でも流石に、無用心にも程があった。それに、この屋敷の主は、いったい何が目的でこんな事をしているのかも疑問がいくつか浮かび上がってきて、若干混乱しそうにもなった。


 だが、今はそんな事を思っている場合ではなかった。取り敢えず、今はこの扉にかけられた魔法を解く事にした。


 (━━解くとしても、どうやって解こう……)


 私は、頭を抱えていた。何故なら、人が細工した魔法を解く事なんて出来る訳がなかったのである。

 私が作った魔法とかだったら、いくらでも解除方法が見つかるが、これに関しては、お手上げだったのだ。


 (責めて、扉をぶち壊すくらいにして、抉じ開けるかしないと━━)


 と、私はまた考えている途中で、とある事を閃いた。それは、扉が開かないのなら、壊せばよかったのである。

 流石に、子供騙しの発想だったが今私に出来る事は、そんな子供騙しな発想しかなかったのだ。


 そして、私は早速行動に移した。先ずは、扉に向かってもどうせ壊せないだろうから、私は壁に穴を空ける事にした。

 でも、壁を壊すにしても、私の魔法なんかじゃ到底空けられる気はしなかった。


 ━━が、クランの鎖を使って、壁に鎖を捩じ込ませてやれば、穴を空けられる事は可能だろう。

 それも、以前私が地面に鎖を出させた時に、既に地面が掘れたので検証済みだった。


 私は、恐らくこの壁から空けたら、その部屋に貫通出来るだろうと予測して、隣の部屋まで行った。

 そして、私は壁に両手を突き鎖を出そうとした瞬間、私の脳裏では、こんな事が過った。


 それは、この鎖である。これを使うという事は、クランに悟られてしまうのではないかと思ってしまっていたのだ。

 だけど、私はそんな事を考えている余裕はなかった。悟られたら、悟られたまでの事。クランに気づかれたのならば、その時また考えればよかったのだ。


 私は、意を決し壁に向かって鎖を出させたのだった。そして、私が鎖を出し無理矢理捩じ込ませると、壁はそれに耐えきれずに、無数の亀裂が入った。

 すると、次第にその亀裂が広がりメキメキと音を絶て始めたのである。それと同時にどうやら鎖が別の部屋へと貫通した感覚がした。

 その後、器用に鎖を曲げると、私は思いっきって鎖を引き、その鎖から伸びた魔方陣へとしまい戻したのだ。その引っ張られた勢いで、壁は崩れ瓦礫と化した。


 これで、ようやく貫通したのだった。壁は崩れた際に、物凄く砂煙が立ち上ぼり、視界が全く見えなかった。

 そんな中、私は壁に出来た穴の中へと進んで行ったのである。


 ━━すると、その先に待ち構えていたのは、長いテーブルに椅子がズラリと並べられていて、その椅子には、人形達が座られていた。

 その長いテーブルの最前線には、人らしき人物が座っていたのである。


 私は、砂煙の中姿を現すと、その人物は私にこう言ってきた。


 「━━フフフ。 私のお屋敷へようこそ。 歓迎するわ……」


 そう言うと、さっきまで座っていた人形達が一斉に動きだし、私に向かって襲いかかってきたのだった。

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