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セブンスタート  作者: 落としネコ
第一星 コラシピオン
24/41

第二十三話 二人の気持ち

 ━━そして、私はその場で少しよろけながらも立ち上がる。何故か、クランはくっ付いたまま離れようとはしなかった。

 クランの体重が、そのままのし掛かる。よっぽど、心配していたらしい。


 けど、そろそろ重たく感じてきたので、クランを退かそうとした。だが、クランは私に抵抗し、しっかりと抱き締められ、離れる気は更々なかった。


 私は、ため息混じりに、その重たい足で一先ず、敵の元へと歩き出した。すると、クランは私が歩くのを感じてか、私から離れると、同時にこう言う。


 「━━もう、動いて大丈夫?」


 私は「ああ……」とだけ言うと、クランは何やら私の前に立ちはだかるや、そのまま体勢を低くさせ、私のお腹をじっと見詰めた。

 すると、突然クランは私の開いたお臍を、親指で「ツン」とつついたのである。


 私は訳のわからないまま「━━ッ」と、電流が走る感覚がし、そのまま腰まで響く。と、私は腰が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。

 そして、クランが私にこう言った。


 「━━まだ、動いたら駄目」


 お前は私の母かと、一瞬言おうかと思ったけど、あれだけ危険を犯して、クランを心配させてしまっている事もあり躊躇してしまった。


 だが、私もこんなところにずっと居る訳にもいかない。それに、衣服に血が付着している事もあり、血を落とせる場所も見つけなければならなかった。そして、何よりも私達を襲撃してきた、あの敵の存在である。

 ━━そして、この場所は……


 私は再び立ち上がり、頭を巡らせ考え始めた。その時、またもお臍から電流が走る感覚がした。恐る恐る顔を下に向けると、矢張クランだった。

 クランは、どうして私の邪魔をするようだった。よく見ると、クランの頬が膨れ上がり、ご機嫌斜めな様子だった。


 すると、突然クランが私を押し倒したのである。地面に落ちる直前で、クランが鎖を私に巻き付かせ、地面との衝突は避けた。

 そして、ゆっくりと地面に下ろされると、クランが私を跨がったまま、顔を近付けさせてきた。


 私は、この光景に見覚えがあった。次に何をされるのかも、おおよそ検討が付いていた。この、身動きの取れない状況で、私は思わず目を瞑ってしまった。

 やられると、思った次の瞬間、今までとは違う感覚に見舞わされた。私は、思わず「━━んくッ」と変な声が漏れるも、何とか声を出さずに堪えていた。


 そして、私は恐る恐るクランの方を見る。すると、そこにはクランが私のお臍を舌を使って舐めていたのだ。

 私は、第二手がくる前にクランを辞めさせようとしたが、それは既に遅かった。


 「━━いや……ちょっ、まっ」


 私は、つい焦り口が思うように言えなかった。そんな事はお構い無しのクランは、ひたすらに舌でお臍を舐めてくる。


 私は、つい焦り口が思うように言えなかった。そんな事はお構い無しのクランは、ひたすらに舌でお臍を舐めてくる。


 全体に、電流が流れる感覚に見舞わされ「ビクン」と、所々でビク付かせていた。何とも言えなかったこの感覚は、擽られる感覚と、電流が走る感覚とが入れ混じり、頭の中では混乱が生じていた。


 これだったら、まだキスをされた方が増しだった。そう思える程に、今のこの状況は苦痛になっていた。

 次第に、私の息も荒くなり、意識もボーとなってきた。私はされるがまま、クランにお臍を舐め回され続けられた。


 ━━そして、ようやく終わった。私は息を荒く上げながら、ぐったりとしていた。

 クランは思わず「あっ……」と声が漏れた。こっちに集中し過ぎて、完全にマスターの事までは考えていなかったようだ。


 クランは、口に付いた唾液を脱ぎとり、マスターの方を見詰め始めてきた。どうやら、怒られる覚悟で、少し怯えた様子だった。

 だが私は、もうクランに抵抗する気力も、怒れる気力もなかった。


 取り敢えず、私はクランの言う通り、私の傷が癒えるまでは、おとなしく此処に待機する事にした。

 一先ず、矢張クランには、何かしらの罰を与えてやらないと、私も気が済まなかった。


 というのも、クランは此処最近、色々やり過ぎてしまう事がただあった。私は、クランにどんな罰を与えたら、おとなしくなるのだろうと考え始めた。

 そして、私はこういうのには、疎かったので秒で考える事を辞めた。私は、パッと思い付いた事で、クランには反省して貰おうと、こう言った。


 「クラン、罰として膝枕の刑に処す!」


 しかし、迂闊だった。何とまさか"膝枕"という意味がわかっていなかったのである。クランは、首を傾げて「ひざまくら?」と疑問に復唱していた。


 私は、面倒くさながらも"膝枕"というものを教えてあげた。すると、クランはぎこちない体勢で、地面に星座させられ、その上に私が横になり頭を乗せていた。

 少し、膝をプルプルと震えさせていた。どうやら、今まで星座をした事がなかったようだ。


 (━━あれ? もしかして、結構クランにとっては罰になってるのか?)


 ━━暫くして、クランの膝の震えも収まり、どうやら慣れたのかなと思わせた。だが、それは間違いだった。クランが涙目で私にこう言ってきた。


 「ますたぁ~ 足がヒリヒリする……」


 私は、そんなクランの弱々しい声聞いてか、私は、頭を上げクランを見た。


 (━━まぁ、クランも反省しているみたいだし許すか)


 そう思い私は、クランに罰を与えるのを辞めた。そして、クランは足を崩そうと、足を動かした瞬間、それは何とも言えない声を上げ、その場で力無く倒れた。


 「━━はぁわぁ~」


 私は、その何とも言えなかった声を聞き、笑いそうになったが、何とか堪えた。折角、クランが星座を頑張っていたのに、笑う訳にはいかなかった。そして、私は少し心配してクランに声をかける。


 「クラン━━大丈夫か?」

 「━━だいじょ……ばない……」

 「大丈夫そうだな」


 私は、軽い口調でクランに返した。そして、倒れ込みクランの足を、親指でつついてあげた。すると、またもクランの口から何とも言えない声が発しられた。


 「━━はうぅ」


 流石に、今の声は反則である。まさか、クランの口からこんな声が出てくるとは思ってもみなかったのだ。

 私は、興味本位で更につついた。すると、クランは身体を「ビクン」とさせた。


 何とも言えない光景だった。さっきまで、クランが私を弄っていたのに今度は、私がクランを弄っている。

 私は、クランの反応が面白かったので、ひたすらに「えい……えい……」と、つつき続けていた。


 そろそろ、クランも限界になってきたのか、私に弱々しい口調でこう言った。


 「━━ま、ますたぁ。 もう……ゆるしてぇ……」


 私は「あっ……」とさせた様子で、流石にやり過ぎてしまった。クランが俯せのまま、倒れ込んで頭を腕に伏せていた。

 クランは、疲れきった様子で「ふぅ……ふぅ……」と息を切らしていた。


 「す、すまない━━大丈夫か?」


 流石に、クランの状況を見て、私はクランに言う。すると、クランは黙りだった。

 私は、そんな黙り込むクランを見て、申し訳程度に、頭を撫でた。


 すると、撫でた途端、クランは急に身体を縮め込んだ。そして、暫くすると、腕で伏せていた顔をチラッと私に見せてきた。

 何か、言ってくるのかと思いきや、また暫くして、クランは顔を伏せたのだった。

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