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セブンスタート  作者: 落としネコ
第一星 コラシピオン
14/41

第十三話 屈辱な一日

━━店の外に出され、私は此処で突っ立っていた。

さっきまで泣いていたせいで、顔は少し赤くなっており、下にうつむき、足をモジモジさせ、見えそうになるスカートの中を手で隠していた。

よく見ると、逃げられないように右腕には鎖で巻かれていた。


唯でさえ、無理矢理この衣装をせられているだけでも恥ずかしいというのに、それをあろうことか、人通りの多いこんな街中の外に無理矢理出され、通りすがる人等に見られる始末だ。とんだ仕打ちプレイである。


取り敢えず、私は目的を早く済ませ帰る事を最優先で考えて行動する事にした。

私の頭の中は、色んな感情が渦巻いていた。私はどうにか混乱にしないように、自我を保っていた。


そして、私は一歩足を前へ進めた時、衝撃が走る。それは、余りにもスカートの中というものは、無防備過ぎて風が入り込んだのだ。こんな状況下で動けるはずもなく、ただそこに呆然と立ち尽くしていた。

全く前に進まないので、クランが痺れを切らしたのか鎖を引っ張る。すると、右腕に巻かれていた鎖に釣られ、私は自然足が前に出たのだ。


「お、おい。 引っ張るな」


私は、スカートの中に風が入って来ないように必死で抵抗していた。が、クランはそんな事はお構い無しに、鎖を引っ張り続けて、私を無理矢理前へと動かせる。

涙目になりつつも必死で堪えていた。さっきまでは盛大に泣いてしまったが、流石にこんなところで泣いていたら、それこそ恥である。


私は引っ張られるがままに足が前へ前へと進んで行った。歩く度に風が入り込んできて、どうも落ち着かなかった。

私の足はよろけながらも、頑張って転けないようにしていた。その時私は、人等が私に視線を向ける度に、嘲笑っている感じがして若干恐怖を覚えていた。


━━次第に歩くのも慣れてきたのか、私は自分で歩けるようになっていた。ただ、クランの肩を掴んで、その後ろに隠れながら歩いていた。

クランは呆れ顔をしつつも、ローブに付いていたフードを、何故か被り始めたのである。それに疑問に思いクランに問いかけた。


「ん? 何でフード被ってるんだ?」

「だって、人に見られたくない」


私は、ただ呆然とした。そもそもクランが無理矢理連れ出したというのに、自分はフードをして逃げたのである。

そんなクランを見て、私は怒りを露にさせた。


「ほほーう。 私が今こんな状況なのにクランはそうやって、見て見ぬ振りをして逃げるのか」


私はクランに向けて挑発させていた。すると、クランの口から意外な言葉が返された。


「マスターの今の格好は私より断然可愛いから、皆から注目を浴びている。 後、衣装効果で良い宣伝にもなってる」


私はまんまとエリに掴まされたようだ。私を犠牲に自分の店の宣伝に使われていたのだ。

私はもう怒りを通り越して、ただ呆れた様子でため息を履いていた。正直もう私が、どうでもよくなっていたとさえ思えてきた。次第に私の目は雲っていき、死んだような目になりかけていた。


「ははは~。 私は女の子~。 こんな格好で皆に見られて…」


私は、一人でブツブツと独り言を言い始めた。それを見かねたクランは、イラッとした様子を見せて、私の顔を見つめた。

すると突然、クランは袖から手を出し、私の胸ぐらを掴んだ。

そして、胸ぐらを掴んだ手を引き、そのまま顔を突き出し、唇と唇を触れさせたのである。


「━━んッ。」


私は、次第に雲っていた目に光が戻り、今どういう状況で何が起きたのかを理解した。


「私も今、皆から注目を浴びた。 これでお互い様」


そう言うと、クランはフードをより深く被り、顔を隠して何事もなかったかのように歩き始めた。私はただ呆然としていたが、クランが歩き始めたので、右腕に巻かれた鎖に引っ張られ、私も自然と歩き出していた。


しばらく無言のまま、ただ歩いていた。私は、完全にクランに謝るタイミングを逃してしまった。こんな公共の場で突然キスをし出した、クランもまた恥ずかしいはずなのに、私は何処か冷静ではなかったと反省している。


一先ず、このどんよりとした空気をどうにかするべく、私は何かクランと話せる事考えた。


「そ、そう言えば、靴屋に向かってるんだったよな? 場所わかるのか?」


私は、ぎこちない口調でクランに問いかけた。すると、クランは言葉で返すのではなく、一つの紙が手渡されたのである。私は、紙を受け取ると、その紙に書いてあるもの見た。そこには、手書きで地図らしきものが記載されていた。


(な、なんだ? この落書きみたいな図は…)


思わず口に出そうになったが、なんとか堪え心で言った。恐らく、これはエリが書いて、クランに渡されたのだろう。でも、いつクランに渡したのか考え始めた。すると、一番確率的に高かったのは、私が泣いていた時であろうなと、推測だがそう思った。


「次は、そこを右に曲がって、今度は路地裏に入り━━」


と私は口を止め、その路地裏を目にした。そこは、明らかに危険そうな雰囲気をただ寄せている。私は心配そうに言う。


「お、おい。 本当に此処通るのか? 遠回りした方が…」


すると、クランは私の言葉を無視し、ただ路地裏へと足を踏み出していった。私達はある程度奥へ進んで行くと、私達を待ち構えていたかのように、複数の悪そうな人等に囲まれた。


「ククク。 お嬢ちゃん、二人でお買い物かな? 俺等と少し遊んでかない?」


私は、言わんこっちゃないといった様子でクランに言う。


「ほら、やっぱり… でもまぁ、丁度私も気分が優れていなかったからな。 腹いせに、返り討ちにしてやる」


ひとけのない路地裏だったので、私は思う存分暴れようとしていた。最初は、歩くのも苦戦していた衣装も、今では少し慣れたのか、余り気にしなくなっていた。

すると、クランは今まで無言だったのが、口を開いたのである。


「大丈夫。 マスターは私が守る」


何とも、主人公らしからぬ台詞を口にしたのだ。すると、クランは何処からともなく、鎖を出して、数人の向かって鎖を飛ばした。私は、思わず叫んで言う。


「ま、待て! 殺すな」


すると、その一打は数人の腹目掛けて飛ばされたのだ。そして、思いっきり腹にめり込むと「ガハッ」いった様子で、その場に倒れ込んだのである。

私はどうやら勘違いをしていたらしく、思わずその場で叫んでしまった。でも、完全に私も腹いせに倒そうとしたのに全てクランに持っていかれてしまった。


一先ず、こんなところで道草をしている訳にも行かないので、先へ進み、ようやくこの路地裏から出たのであった。路地裏を抜け、次のところを右に少し行くと、目的であった靴屋に着いた。


そして、店に入ると、そのカウンターの前には、咥え煙草に、グラサンに、新聞紙であろうか広げて読んでいる。短髪で色は白髪が多めの若干黒がかっていて、瞳の色はシルバー色で目付きがとても悪い。明らかに外見も悪そうな、おじさんがそこに座っていた。

私達を見て、眼光を飛ばし語る。


「ガキがこんなところまで何しに来た?」


予想はしていたが、見事に口も悪かった。私は間を開けるのも失礼だと思いすかさず返した。


「エリから此処を紹介されて来たんだけど」

「ああ。 エリの知り合いか。 あいつもつくづく人が悪い」


と言いい、そのおじさんは頭を掻きながら、私達への元へと来た。


「確かに、よく見るとその衣装エリがつくったやつぽいな。 で、俺に何のようだ?」

「靴頼みたいんだけど」


私は、即座に応えた。すると、おじさんは意地悪に言う。


「金貨50枚だ。 それが渡せないなら帰んな」


このおじさんは、私が子供だかといって容赦はなかった。が、私達を買い被り過ぎていた。私は、すかさず魔方陣を宙に浮かべ、その中から金貨50枚を出したのである。


「これで、頼めるな」


すると、おじさんは一瞬目を見開いたが負けじと維持を張っていた。


「一人50だ。 二人居るから金貨100枚だぞ」


私は容易くもう50枚を出させた。流石のこれには、おじさんは何も言い返せれなかった。


「負けたよ。 俺はクラリック=マーケン=ルビドだ」

「私は、ハクアで、こっちがクランだ」


と、おじさんはさっきの怖さが嘘のように晴れ、微かに笑っていた。すると、おじさんはこう話した。


「本当なら、こんな小さなガキが俺のような人見ると、直ぐ逃げ出すか、その場で泣きわめくが、お前等は違うようだな。 こんなやつは初めてだ」

「そうなのか」


私は、一言だけ添えた。


「金貨8枚でいいぞ。 少し高いと思うが、これも商売だからな。 悪く思うな」


そう言い、先払いで金貨8枚を渡した。


「さて、どんな靴にしたいんだ?」

「おまかせで頼む。 出来れば動き安いのがいいな。 今後の旅で長く履くからな」

「私は、この衣装に合うやつ」


私とクランは口々に言った。

「了解。」とおじさんは何処か嬉し気にそう応えた。すると、おじさんが私に一言語りかけた。


「おい。 お前、一つ聞きたいんだが、何でそんな格好してんだ?」


何と、おじさんは触れてはいけない領域に触れてしまったのである。私は一瞬、忘れかけていたこの衣装が全て蘇ってきた。

私は、震えながら応えた。


「こ、これ以上は、聞かないでくれ」

「お、おう。 すまない」


と、おじさんも察したかのように謝り黙り込んだ。

━━すると、突如外から「ゴーン、ゴーン」と大きな鐘の音が響き渡ったのである。それを聞いたおじさんは、こう応えた。


「おおっと、もうこんな時間か。 すまないが、明日また此処に来てくれ」

「ん? 何かあるのか?」


私は、疑問に不思議そうに言った。すると、おじさんはこう応えた。


「なんだ、知らないのか? この鐘が鳴ると、一日の終わりを指してんだ。 だから今日は店仕舞いだ」

「そうだったのか。 わかった。 また明日此処に来るよ」


私は、そう残し、エリの店に施した場所まで転移魔法を使った。

そして、私達はエリの店に戻って来たのだ。エリは、私達が戻って来た事に気づき、側までより語る。


「あら、お帰りなさい。 靴屋はどうだった?」

「まぁ、悪くなかったな」

「そうなの? それは良かったわ。 あの人怖かったでしょ?」

「まぁ、それなりに」

「でも、ああ見えて中身はちゃんとしてるから、ただ不器用なのよね…」


何処か残念そうな表情を浮かべていた。すると、更にこう告げた。


「今日は遅いから、此処で泊まりなさい」


エリはそう言うと、私は渋々ながら一晩だけ借りる事にした。

私は、ようやくこの衣装ともおさらば出来てホッとしていた。私達は、部屋着を借りそれ来た。若干不恰好ではあるが、あの衣装と比べれば、どうって事もなかった。

私はベッドに仰向けになり、今日は特に疲れた日であったと振り返り。そして、私は直ぐに就寝についたのであった。


名前:クラリック=マーケン=ルビド(くらりっく=まーけん=るびど)

生年月日:3月21日

推定年齢:38歳

性別:♂

身長:172cm

体重:68.8kg


短髪で色は白髪が多めの若干黒がかっている。瞳の色はシルバー色で目付きがとても悪い。

靴屋を経営している。それなりに名を示す名店である。だが、この表情なので、初めて来る人にとっては、とても怖がられてしまう。

本人は、そんなつもりではないのだが、何処か不器用な性格である。

何処か意地悪なところもあるが、見た目とは裏腹にとても良い人である。

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