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不透明な未来、透明な恋心
風が吹き抜けた
カーテンが揺れ、髪がなびく
ぼやけた視界の隅で
何かを見た
幻かもしれない
あまりにも一瞬で
でも、僕は間違いなく見たのだ
カーテンの奥
揺らめく影の上
僕を見つめてはにかんだ
見知らぬ少女を
それを恋と言うのなら
文句の言いようがない
初恋であり、一目惚れだった
それから、放課後に一人で
図書館を訪れる様になった
いつもの席で窓を少し開け
彼女がこちらを覗いて来るのを待っていた
黒い冬のセーラー服に身を包んだ
色白の幽霊の様な少女
それでも不気味さより先に見惚れてしまったのは
透き通る様な透明の美しさを感じたからかもしれない
彼女に会えたのは、それ以来一度もなかった
それでも僕は諦めないで図書室へ行く
本を読みながらちらちらと窓に目をやる
僕は彼女を待っている
彼女に会えることを信じてる
名前も知らないけれど
声も聞いたことないけれど
待ってる
恋は一途なものだから
恋は盲目だから
恋は一種の暴力だから
待ってる
残酷な未来があったとしても
わずかな美しさのために
僕は待ってる