第2話 また想定外なんですね。
(で、ここからどうすればいいのぉぉおおお!?)
あれから数分、冷静になった時雨はある悩みを抱えていた。
(俺の家庭が貴族なら捜索隊が組まれるだろうしここで誰かに見つかるのを待ったほうがいいのか?いや、それともこの体で街か何かを目指したほうがいいのだろうか…)
そう、待機するかどうかという選択である。分析をかけたところ、家族と護衛の死体は5時間ほど前のものだということがわかった。5時間、つまり自分の目が醒める前にここを捜索隊か何かが探した可能性があるのだ。確かめるために時雨は足跡などがあるかと思い地面を分析してみたが、血や瓦礫で何かが通ったかどうかというものも分からなかった。場合によっては自分が保護される可能性を捨てる可能性があるため踏ん切りがつかないのだ。
(これはどうしたもんかねぇ…)
そう時雨が考えた瞬間頭に聞き覚えのある声が響いた。
ー あー、あー。聞こえるかの?いやぁ、申し訳ない!こちらの予測外のことが起きてしまったようじゃ。今どんな状況かはわかっているだろうからここから少しじゃが君のサポートをさせてもらうよ。ー
(この声は…創造神様か?一体何が起きてるんだ。イレギュラーが多すぎやしないか!?)
ーいや、本当に申し訳ない!というか死に方も予定になかったしずいぶん不運体質なようじゃな…とりあえず1日経たないと捜索隊はこないからそれまで耐えて欲しい、周りには弱いモンスターしかいないから大丈夫じゃろ。その体じゃ走り回るとかはできないだろうから魔法を使うといい、基本的に魔力と想像力があれば魔法は使えるからの。まずは魔力を感知することからじゃ、下腹部の部分に意識を集中してみなさい、血液とは違う何かが流れているのがわかるはずじゃよ。それさえできればあとは君次第、生憎世界に干渉するのは基本的にご法度じゃからの。無責任なようで悪いがあとは自分で頑張って欲しい。ーーーー
(あっ!いなくなりやがった!…まぁいいか、とりあえず今は教えてもらったことをできるようにしないとな。下腹部に意識を集中…ん?これか?おぉっ!身体の中をぐるぐる回すのはなかなか癖になるな…あとはこれを体から出せばいいんだろうな。とりあえず水を出してみるか。)
時雨はまだ魔法を使ったことがなかったため、事故が起きないよう慎重に水が指先から出る感覚に集中していった。そうすると、予定通り、綺麗な水が人差し指から出てきた。ただし大量に。
「うっ!」
(ん?そこまで痛くないな…HPも関係しているのか?だが、想像以上の威力が出たな…どうしてだ?)
水の反動で木に叩きつけられた時雨は何が悪かったのかを考察する…
(うおおおぉぉ!これはすごいぞ!)
2時間後、すっかり日が落ち、あたりが暗くなった頃、時雨は興奮しながら飛んでいた。空を。
先ほどの失敗から時間が経ち、時雨は自分が水を出すのに失敗(厳密にいえば出すことはできたので成功かもしれないが)した原因が放出した魔力量にあることがわかった。魔法の規模の大きさは自分の想像が基になっているが、放出する魔力量を増やすことでも変えられるということがわかった。
ただ、最初の基になる想像の規模を大きくした方が消費される魔力が少ないということもわかった。要は必要なプロセスの数にあるというわけだ。
例えば大きい火球を指定した方向に放つとする。そうするとプロセスは、
大きな火球の生成→方向指定→発射
の3回に分けられるが、
小さな火球を大きくして指定した方向に放つ場合、
小さな火球の生成→火球の大きさを大きく→方向指定→発射
の4回に分けられるのだ。
他の魔法でも試しているのでこれは間違いない情報と言えるだろう。
そして今どうして時雨が飛んでいるかというと、想像力次第なら重力とかも操作できるんじゃね?という遊び心から生まれた結果によるものだ。
重力を上に向け、ある程度の高度まで行ったら無重力にし、風で進行方向の変更や加速減速をしている。これは時雨の膨大なMPがあるからできるわけで他の者がやったとしてももって数秒だろう。そもそも魔法を使えることがおかしいということも時雨はまだ知らないのだが。
こうして遊んでいると地面から何かが高速で飛んでくるのを感知した。もちろんこれは自分の微弱な魔力を乗せた風を周りにとても弱く放出することで周りの情報を感知することができるというとても高度なお手製感知魔法だ。
そして物が飛んできた方向に注意を向けると何かが動いているのが確認できた。
(感知の範囲も広げれるようにしないとな…それにしてもあれはなんだ?)
時雨は少し高度を下げ、しっかりとそれを見れる範囲まで近づいた。するとそれは低身長で顔のすべてのパーツが歪んでいる緑色の肌の生物が三匹そこにいた。
次回!時雨くん初戦闘です!うまく書けるかな…
新しいステータスも載せる予定です〜
時雨くんの異世界ネームまだ募集してるので是非応募してください^ ^
(思いつかないのだよ…)