1.プロローグ
2017年クリスマスプレゼント第1弾
どこにでもある普通の家庭、どこにでもいる普通の親、どこにでもいる普通の高校生。漫画やアニメ、映画やドラマを見ながら育った世代としてはそんな物は願い下げ、非日常の刺激ある日々を送る事を夢見るのではないだろうか?
だが、俺は違う。
非日常など求めてはいない。只々のんびりと平和な毎日、それこそ日当たりの良い縁側でお茶を飲みながら日光浴する余裕のある生活を送りたいのだ。だが、我が家はそんなささやかな夢を許してくれるような家庭環境ではなかった。
なぜなら、
「ただいま~」
「お、正人お帰り。今日はどうだった?」
「普通、うちに帰るまでは」
俺の事を正人と呼んだメガネに七三ヘアーのこの男は俺の父こと平川 勇介(37)でありそして、
「は~はっはっはっ! 良く帰ってきたな! 我が闇の意思を継ぐ子よ。待っていろ、今すぐこの亭主という名の勇者を仕留めてその生き血で晩餐としよう!」
この高笑いしている頭の心配な女性が俺の生みの親、母の平川 真央(36)なのである。
「ママ、また魔王の力を一つ取り戻したのかい? 昨日まではその魔法使ってなかったよね?」
「ふん、貴様に教えてやる義理などない! せいぜい我が絶対的な魔導の力の前に屈するがいい!!」
はたから見ると派手な夫婦喧嘩に見えなくもないのだが、地球上のどこを探しても魔法と光の剣で夫婦喧嘩をする家庭はウチだけだと思う。
「とりあえず着替えたら夕飯作るの手伝うから、二人ともほどほどにね」
バトルを続ける二人の腹が空腹を訴える音を鳴らすと、どちらともなく戦いは終了した。
「……ちっ興がそがれたわ。今日の夕飯はカレーだ、まーく、正人よ、野菜の皮むきを頼むぞ」
「はーい」
「ママのカレーはおいしいからね、スープカレーでよろしく!」
「たわけ! カレーはスライムのようにドロッとしたルーが一番だろうが!!」
「えー? 小鍋に水足してスープカレーもお願いできない?」
「……いいだろう、そんなに食いたいなら貴様の生き血でスープカレーを作ってくれるわ!」
「グロいからやめて」
異世界の元勇者と元魔王、それがどういうわけかこの地球のこの日本のこの町で夫婦として、そして俺の両親として生活している二人の正体だった。
俺? 一般人だっつーの!!




