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宇宙蟹工船  作者: 豊洲 太郎
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   6 歩きスマホは危険です

 歩行者用シグナルが赤になり「カッ・コー」が鳴り止むと「歩きスマホは危険です」の合成音声になった。

 「軍縮反対!」とペイントされた街宣車が大音量の「軍艦マーチ」をまき散らしたが、誰も見向きはしない。

 ここには「歩きスマホ」よりも危険なモノがある。


 「あら、アタシ、ハィッ、どーぞ。」


 歩道のあちこちにティシュを配る姿。

 ずいぶんと調子のいいヤツらだ。でも捜査官の眼は誤魔化せない。


 「どうぞお受け取りください。」


 ジョヴォヴィッチタイプが急接近してきた。異性の美しさは見る者の虚妄から生じる、だがそれは異性でも同性でもなかった。


 「どうぞ受け取ってください。」


 いやなモノに目を付けられてしまった。シグナルが赤になる、これで国会の捜査はタイムアウト。人類は歴史の教訓を幾重にも無駄にするのか。


 「なぜ受け取ってくださらないの?」


 コイツら、絶対に引かない。ジョヴォヴィッチタイプの瞳に暗い兆しが浮かんだ。


 「心が折れてしまいそうです、ワタシ、精神的な苦痛を感じておりますの。」


 人ごみで銃は使いたくない…


 「ワタシハ アリス。ケイコク シマス、ケイコク シマス…」


 ヤツの正体は「超ティシュ配り」ドロイド、配布率99.9%、型式「スリーナイン」。

 ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)の予言どおりに破壊的なイノベーションがこのボットどもを氾濫させてヒトの仕事を奪った。技術のオーバースペックが消費者を置き去りにした。

俺は本日何十個目かのティシュを受け取る。シグナルは青や赤になり「カッコー」と「歩きスマホ」が流れ過ぎた…


 この日「第2次ワシントン海軍軍縮条約に関する法案」は爆破予告の為に、採決されず、宇宙防衛計画は大幅に遅延した。いま思えば何らかのバイアスが働いていた。


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