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宇宙蟹工船  作者: 豊洲 太郎
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   3 緑のみち

 両手に革のバケツを下げた青年が岩場を登っている。

 第三惑星暦1973年、ラマダン月。

 太陽は天頂を越えて灼熱と渇きが青年を苦しめた。革のとっ手は青年の一部になっていた。

 青年は足もとの砂粒の裏側にある、いのちを感じて少しずつ水をこぼしてきた。いのちは青年を讃えて緑のみちをつくった。

 地上をたどる青年にみちは見えない。


 見上げるとロックが悠然と大空に舞っている。


 「ロック!」


 ロックは呼べば必ず応えて視線を合わせてきた。青年は、いつの日にかあの優れたタカを自分のものにしたいと願っていた。ロックとても同じ思いであった。ロックは緑のみちと青年の呼び声によって己れの能力に目覚める。


 突然、なにものかの息ぶきがロックの羽先に触れた。ロックが最大限の降下を開始すると空が縦に引き裂かれた。

 青年は狙いが自分である事に気付くと、つまづいて岩陰に倒れた。転んだ勢いで全身に水を浴びた。


 澄みきった空に現れた二つの点。

 明らかに大気圏外から発射された黒点はみるみると大きくなって互いの距離を広げた。ひとつはスエズ運河に、もう一方はこのゴラン高原の岩山に着弾した。


 炎に包まれながらもロックの優れた眼は緑のみちが急速に迫るのと青年の生存とを同時に捉えた。

のちに青年は兵士として戦闘機に乗る。

 タカはふたたび大空に舞う。

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