第2話-何処へ行こう-
本日三話目
自身のステータスをあらかた鑑定し終えるとアイテムボックスに入っているものの確認を始める。
手紙に記されていた通りの物と、記されてはいないが必要そうな物が色々と入っていた。
アイテムボックスの中身は考えるだけで何が入っているのかがわかった。
頭の中にリストが浮かんでくるのだ。
それは慣れないうちは違和感を覚えるが慣れれば困らない仕様だと思う。
正直ありがたいと夏生は思っていた。
アイテムボックスに入っていた物的に考えてこの世界の文化レベルは中世から近世にかけてのヨーロッパあたりらしい。軽く与えられたと思われるこの世界の知識はザッとした概要だけであったため詳しくはわからないがそう判断した。
つまり、今夏生が身に付けている物は他人に見られたらマズい可能性があるということに他ならない。
開けた草原ではあるが周りの誰もおらず、何もない。アイテムボックスからフード付きのマントを取り出すと身に纏い、同じくアイテムボックスに入っていた衣服に着替える。
さながらプールの時の着替えのようで懐かしさを覚えた。
最後に学校のプールに入ったのは小学六年生の時だった。と何故か思い出に浸りそうになる。
このような場所にいて荷物を持っていないのもおかしい事なのでやはりアイテムボックスに入っていたカバンを取り出し肩へとかける。
アイテムボックスは鑑定と同じくらいに珍しいスキルらしいのでバレると良くないだろう。
アイテムボックスと似たもので魔法鞄というものがあるらしいのでそれだと思ってもらおう。
そちらならば多少は珍しいものの冒険者や商人でも持っいる。容量によっては安く買える場合もあるらしい。
どっちみち高いが。
「さて...何処に行こうか。」
どちらの方向に行けば街があるのか、てんで見当もつかない。
誰か通らないものかと独りごちる。
とりあえず魔法でも使ってみるかと思い、脳内で水の球を想像する。
魔物のいる世界なのだ。
アイテムボックスに入っている武器を使う事は正直まだできないので自衛の為にと練習する事に決めた。
慣れない武器は怪我のもとであるし、直接の感触は怖い。
弓術と刀術の心得は多少はあったがそれを戦闘に使うには抵抗と恐怖がある。
魔法ならば感触もなく倒せるだろう。咄嗟に使えるようにと練習をする。
その間に誰か通らないかなと思いながら。
想像力が豊かだからか、座禅の経験があるからかよくわからないが簡単に魔法を使うことができた。現代日本のオタクとしては当然なのかもしれないが。
無詠唱で色々とできる事がわかり、基礎から応用まで今まで読んだ本から影響されたようなことを色々と試した。
複数の水球-火じゃないのは火事を起こさないため-を背後に浮かべることもできたし、複合魔法のようなものも使えた。
どれくらい時間が経っただろうか。不意に吐き気を覚えた。ラノベなんかでよくある魔力が減った為に起こる吐き気かなと予想して魔法をやめる。
アイテムボックスから杖を取り出すとどちらに行けばいいかを指し示せと念じながら手を離す。右側に倒れた杖を拾うと倒れた方向へと歩き始めることに決めた。
読んでくださりありがとうございます。